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対キロ区間制への移行(2)

間隔があいてしまったが、第2回は、区間制から対キロ区間制への移行について。区間制は、路線をほぼ等距離の区間に区分し、通過する区間の数に応じて運賃を定める。多くの鉄軌道事業者が対キロ区間制に移行した結果、現在一般路線で現在区間制を採用している…

対キロ区間制への移行(1)

6月5日の記事で地下鉄・私鉄事業者が1960年代以降、運賃制度として対キロ区間制を採用したと書いた。地下鉄が均一運賃から対キロ区間制に移行したのは、路線網の拡充によって均一運賃では対応できなくなったためである。それではなぜ当時主流だった対キロ制…

貨物運送約款

規則鉄ではあるが、貨物運送約款にはなじみがなかった。最大の理由は、荷主として契約の当事者となる機会がなかったからだが、旅規のように容易に条文が入手できなかったためでもある。冊子版の規則集が発行されているわけでなく、「貨物運送規則」・「貨物…

対キロ区間制のルーツ

現在日本で採用されている鉄道旅客運賃の計算方法は、対キロ制、対キロ区間制、区間制と均一制の4種類がある。この中で最も古いのは区間制で、1872年京浜間の鉄道開業時に採用された。各駅間を1区(品川・川崎間は2区)として6区に分け、下等運賃は1区6銭2厘5…

関西私鉄の運賃制度

関西私鉄の金額式回数券のルーツを調べるために、国会図書館で各社の社史を閲覧してきた。関西私鉄大手五社はいずれも創業100年を迎え、次のとおり百年史を刊行している。 事業者 設立年 開業年 社史 刊行年 南海電気鉄道 1884(大阪堺間鉄道 1885(阪堺鉄道) …

富山地鉄も回数券廃止

富山地鉄も3月17日からICカード乗車券「ecomyca」(えこまいか)の鉄道線でのサービス開始に伴い回数券を廃止する(2月24日付プレスリリース)。区間回数券は3月16日限りで発売を終了し、金券式の鉄道・バス共通回数券と環境回数券は4月30日まで発売する。 …

名鉄が回数券廃止

2011年2月11日にICカード「manaca」のサービスを開始して1年が経過し、名鉄が明日2月29日限りで回数券(普通回数乗車券、時差回数乗車券、土・休日割引回数乗車券)の発売を終了する(2010年12月13日付プレスリリース)。これに代わり、3月1日から、特殊割引…

九段下駅のホーム壁撤去

東京メトロの12月8日のリリースによると、九段下駅のホーム壁撤去工事は、12月15日の終電後に開始されるとのことである。完成は、これまで平成24年度中と発表されていたが、年度末の2013年3月。 11月3日の記事で書いたとおり、これまでの目黒・白金高輪間に…

メトロ・都営のサービス一体化

昨日東京メトロと東京都交通局から「東京の地下鉄のサービス一体化に向けた取り組みについて」がリリースされ、2月3日の「東京の地下鉄の一元化等に関する協議会」で合意されていたメトロ・都営のサービス一体化への取り組みのうち、 九段下駅ホームの壁撤去…

謎の通過連絡運輸

画像は読者から提供を受けた、御殿場線富士岡から小田急線経由御茶ノ水ゆきの乗車券のコピー。運賃の700円は、5割の身障者割引が適用されており、無割引の運賃は1,400円。富士岡・松田間と新宿・御茶ノ水間のキロが通算され、JR区間の38.1キロ650円と小田急…

続・北総線運賃訴訟第4回口頭弁論

9月5日の記事では触れなかったが、被告(国)の準備書面(3)で気になる点があった。確認したいことがあったのと、書いておきたいネタが続いたので、1週遅れになってしまった。 それは、京成の第2種区間は従来の相互乗り入れと変わらないから、運賃収入を北総…

北総線運賃訴訟第4回口頭弁論

6月28日と6月29日の記事で、北総線の運賃認可取り消しを求めた行政訴訟について、第3回口頭弁論までの原告(北総線沿線住民)と被告(国)の主張を紹介した。7月28日に第4回口頭弁論が開かれたが、これに提出された原告と被告の準備書面が8月末になって北総…

東京都交通局のポイントサービスToKoPo

昨日の日経朝刊に出ていた、PASMOで都営交通を利用するとポイントがたまるサービス、東京都交通局のサイトに6月27日付けプレスリリースが出ていた。 1回の乗車について、地下鉄と舎人ライナーは2ポイント、都電は1ポイント、土日に利用した場合は、1日につき…

夏休みのフリーきっぷ

Free-ride Ticketsを更新して、夏休みのフリーきっぷを追加した。 今夏のお買い得きっぷは、ぐんまワンデーパスSPと パワフルXスマイルちばフリーパスだろう。「ぐんま」は、群馬県内のJR(両毛線は全線)、東武(伊勢崎線多々良・韮川間、佐野線渡瀬・佐…

北総線運賃訴訟(3-原告の再反論と感想)

[2-被告の反論]で紹介した第2回口頭弁論時の被告の反論に対し、原告は第3回口頭弁論に提出した準備書面(2)で、以下のとおり再反論した。 線路使用条件: 鉄道事業法1条の趣旨から、線路使用条件の認可は、線路の適切な維持管理が確保されればよいというだけ…

北総線運賃訴訟(2-被告の反論)

第1回口頭弁論で被告は、原告には行政事件訴訟法第9条の原告適格を有しないと主張した。裁判の会のサイトに被告の答弁書が掲載されていないが、近鉄特急の利用者が大阪陸運局長による特急料金認可の取り消しを求めた近鉄特急料金訴訟において鉄道利用者個人…

北総線運賃訴訟(1-原告の主張)

北総鉄道沿線住民が国土交通省による北総線運賃認可の取消しを求めた行政訴訟について、昨年11月11日、第1回口頭弁論の毎日の記事を紹介した。被告(国)は原告(住民)に訴えの利益がないと却下を主張したが、裁判長は認可の適法性を立証するよう国側に求め…

河原町・関空間の割引運賃

京都新聞の記事 河原町−関空1200円に 阪急など企画乗車券 14日から発売 京都市と大阪市、阪急電鉄、南海電気鉄道などは9日、河原町−関西空港間を1200円に値下げした企画乗車券「京都・関空アクセスきっぷ」を14日から発売する、と発表した。阪急京都…

東京メトロの事業計画

東京メトロは3月30日記者会見を行った。メディアでは大震災による運賃収入の減少ばかりが報道されているが、会見は2011年度の事業計画の発表が目的だったようだ。この事業計画に九段下駅の壁や連絡改札を撤去してノーラッチ接続させるという記述があると、読…

manacaのマイレージポイントとPiTaPaの割引

manaca(マナカ)の他のICカード乗車券にない特徴は、月間の利用金額や利用回数に対してSFを付与するマイレージポイントを本格的に導入したことだろう。PASMOの導入時に東京メトロや小田急が自社系列のクレジットカード一体型のPASMOで、乗車回数・金額に対…

運賃無料の列車・バス

昨年1月30日の記事で、諏訪湖周辺の町おこしイベント「スワいち」の各会場を結ぶ無料の臨時列車の運行について書いた。今回は同様のイベントで定期列車の運賃が無料になるという岩手日報の12月28日の記事。 初売り連携、にぎわい創出事業 大船渡で2、3日 大…

青い森鉄道の新運賃体系

12月4日の東北新幹線新青森延伸開業関連の最後の更新は、鉄道事業者の運賃比較に青い森鉄道の新運賃体系を反映した。 青い森鉄道の営業キロは、移管された八戸・青森間を加えて100キロを超えた。100キロ超の運賃表は、JR旅客6社と東武、名鉄、近鉄、南海、肥…

北総鉄道運賃訴訟口頭弁論開始

毎日新聞の記事から 北総鉄道:高額運賃問題 国に適法の立証求める 第1回口頭弁論で東京地裁 /千葉 北総線の高額運賃問題で沿線住民らが運賃認可取り消しなどを国に求めた行政訴訟の第1回口頭弁論が10日、東京地裁であり、国側は「住民に訴えの利益はな…

羽田空港国際線・国内線乗継無料乗車証

羽田空港新国際線ターミナルの使用開始が迫ってきた。京浜急行電鉄と東京モノレールが国内線と国際線の乗継客の運賃を無料にするという報道はおかしいと、8月2日と8月5日の2度にわたって書いた。その後、乗継運賃の負担者及びその原資についての報道は見当た…

パスネットの不思議更新

連絡運輸乗継運賃割引制度の歴史を調べ、数回にわたって報告した。本日パスネットの不思議を更新し、脚注[3]と[4]に、調査結果を記載した。 これまでブログで紹介したものも含めて、首都圏の乗継運賃割引制度は、次の通り拡充されてきた。 1961/06/01 営団・…

北総線運賃訴訟

北総線沿線住民が国に対し運賃認可の取り消しを求める行政訴訟がいよいよ始まった。asahi.comの記事。 北総線運賃、値下げ求め住民ら提訴 国相手に行政訴訟 北総線の運賃の是正を求めて、沿線住民らが17日、国を相手に運賃の値下げ命令などを求める行政訴…

営団・都営地下鉄の乗継割引等

7月25日の記事で営団と都営地下鉄の乗継割引の開始日は1961年6月1日と書いた。その内容が「東京都交通局90年史」(2003年3月、東京都交通局90年史編さん委員会編集・発行)で判明した。 当時都営(押上・浅草橋間)は20円の均一運賃で、営団は次のように線別…

続・羽田空港ターミナル間の鉄道運賃

8月2日の記事で取り上げた、京急と東京モノレールが羽田空港の国内線と国際線乗継客の運賃を無料にするという話の出所がわかった。7月27日の読売新聞に掲載された記事羽田、国内線〜国際線乗り継ぎ無料である。 京浜急行電鉄と東京モノレールは、10月21…

羽田空港ターミナル間の鉄道運賃

10月開業の羽田空港国際ターミナルが報道陣に公開され、各紙の夕刊が報じている。その中に気になる箇所がある。 国際線と国内線を乗り継ぐ旅客が増えると予想されるため、東京モノレールと京浜急行電鉄は、乗り継ぎ客については、国際・国内両ターミナル間の…

「鉄道事業者の運賃比較」更新

デスクトップ鉄のデータルームの鉄道事業者の運賃比較を更新した。 本稿では、各事業者(路線)の運賃パターンを線形回帰し、初乗り運賃レベルと運賃上昇勾配の二要素に分解し、各事業者の運賃構造を分析している。運賃カーブが徐々に寝てゆく遠距離逓減運賃…