東京メトロの事業計画

東京メトロは3月30日記者会見を行った。メディアでは大震災による運賃収入の減少ばかりが報道されているが、会見は2011年度の事業計画の発表が目的だったようだ。この事業計画に九段下駅の壁や連絡改札を撤去してノーラッチ接続させるという記述があると、読者から情報提供を受けた。
平成23年度(第8期)事業計画(説明資料)の22ページ、参考2「都営地下鉄とのサービスの一体化について協議の上、推進することで、お客様の利便性向上を図ります。」に、平成23年度の取組みとして

都営地下鉄と以下の事項について、協議の上推進します。
九段下駅の乗換利便性向上に向けて、壁の撤去工事に着手します。
・その他、改札通過サービス等の乗換改善方策について、検討します。
・運賃の乗換負担軽減策として、通算運賃制度や乗継割引の拡大等について具体的な検討を行い、平成23年夏までに結論を取りまとめます。

と記載されている。図によると半蔵門線押上方面と新宿線新宿方面は、背中合わせに同一ホームを使用しており、その壁と連絡改札口を撤去するようだ。
東京都の猪瀬副知事が火をつけた東京メトロ都営地下鉄の統合問題は、読売新聞の2月1日記事にあるように、統合についての結論を見送り、乗り継ぎの際の利便化など、サービス改善を優先的に進めることになった。同記事には、その具体例として、九段下の壁撤去のほか

が示されている。
九段下だけでなく六本木までノーラッチ接続となると、東京メトロ都営地下鉄の運賃制度は、乗継割引の拡大などの手直しでは済まないだろう。「東京都交通局90年史」に掲載されている平成11(1999)年9月の「都営交通ネットワーク及び運賃制度検討委員会報告書」には、

また、今後の課題として、ヨーロッパの諸都市などで導入されている共通運賃制、ゾーン制についても、検討を続ける必要がある。

との記述がある。夏までに決定するという新たな運賃制度がどうなるか、今後の動きに目が離せない。