青い森鉄道の新運賃体系

12月4日の東北新幹線新青森延伸開業関連の最後の更新は、鉄道事業者の運賃比較青い森鉄道の新運賃体系を反映した。
青い森鉄道営業キロは、移管された八戸・青森間を加えて100キロを超えた。100キロ超の運賃表は、JR旅客6社と東武名鉄近鉄、南海、肥薩おれんじ鉄道だけで、青い森鉄道が12社目である。
青い森鉄道の普通運賃は、グラフに示すように既存区間の27キロまでの運賃カーブをそのまま延長したものである。JR東日本時代の対キロ運賃制もキロ刻みも変更せず、従来の運賃を1.37倍している。

100キロまでの運賃を線形回帰すると、従来の27キロまでとくらべて、初乗り運賃レベルが134円から62円に低下し、上昇勾配が17.3円/キロから22.4円/キロに上昇した。短いキロ範囲の線形回帰では、10キロまでの初乗り運賃部分に引きずられ、対キロ区間制的な運賃構造を示すが、長距離でみると初乗り運賃部分の比率が低下し、本来の対キロ制運賃の傾向になる。
他の事業者との総当り方式による青い森鉄道の運賃レベルは、得点順位が78位から88位に、勝率順位が73位から82位にそれぞれ後退した(運賃レベルが高くなった)。短距離の運賃が安い対キロ制のため、従来の27キロまでの比較では対キロ区間制の事業者に対し健闘していたが、対戦範囲が長距離になるほど運賃が比例的に上昇し負けがこむ。
ところで、青い森鉄道の運賃は、50キロ以上が10キロ刻みで、220−230円上昇する。初乗り運賃の190円より大きく、乗車券分割の逆転現象が起こりうる*1並行在来線が転換した第3セクター各社は、肥薩おれんじ鉄道が対キロ区間制であり*2しなの鉄道は対キロ制のままだが12キロ以上の運賃を1キロ刻みにした。長距離路線を有するIGRいわて銀河鉄道青い森鉄道は、対キロ区間制への変更やキロ刻みの縮小が必要だろう。

*1:JR本州3社の幹線も、初乗り運賃140円に対し、50キロ超の上昇幅は160−170円

*2:JR九州も100キロまでは対キロ区間制だが、遠距離逓減度が大きくなった