名鉄が回数券廃止

2011年2月11日にICカードmanaca」のサービスを開始して1年が経過し、名鉄が明日2月29日限りで回数券(普通回数乗車券、時差回数乗車券、土・休日割引回数乗車券)の発売を終了する(2010年12月13日付プレスリリース)。これに代わり、3月1日から、特殊割引回数券(通学用割引回数券、身体障害者割引回数券、知的障害者割引回数券)及びmanacaの利用区間外の蒲郡線(吉良吉田・蒲郡間)と広見線新可児御嵩間)で「蒲郡線 回数きっぷ10テン」、「広見線 回数きっぷ10テン」を発売する(2011年12月15日付プレスリリース)が、大手私鉄の一般回数券廃止は、名鉄が初めてである。
名古屋市交通局豊橋鉄道は、昨年2月のmanaca導入時に、それぞれ地下鉄1区特別きっぷ(200円区間の22乗車分で3800円。2月29日まで使用可)と回数券の発売を終了していた。このほかにもカード乗車券の導入を機に回数券を廃止した事業者には、次の各社局がある(福岡市は休止)。

事業者 廃止日 代替カード
福岡市 2001/10/01 JR九州福岡市地下鉄共通「ワイワイカード」利用時、地下鉄運賃を20円引。その後「はやかけん」のポイントサービスに移行
高松琴平電鉄 2005/02/02 IruCa」利用時運賃を利用回数に応じて10-30%(一般用)割引
鹿児島市 2005/03/31 「Rapica」チャージ額の10%及び利用金額の1%(10円単位)のプレミアム
遠州鉄道 2007/08/01 「ナイスパス」チャージ額の10-13%プレミアム
土佐電鉄2009/01/24 「ですか」利用金額の5%を「ですかポイント」として還元。ノーマイカーデーに運賃を10%割引
広島電鉄 2009/10/31 PASPY」利用時運賃を最大10%割引
京福電鉄 2011/04/01 「らんでんカード」チャージ額の10%プレミアム

各社は、回数券の割引額に相当する金額をカード乗車券のプレミアムまたは割引額として還元している。伊予鉄の「ICい〜カード」の10%割引(10円単位に四捨五入)も回数券廃止の代替措置だと思うが、導入以前に回数券が発売されていたことを確認できない。また、富山ライトレールは、開業時から回数券を発売せず、「passca」の利用者に200円の運賃を170円に15%割り引いている。一方、利用額に応じて運賃の割引を行っているPiTaPa各社は、各種回数券の発売を継続し、旅客に選択の余地を残している。
名鉄は、manacaマイレージポイント(毎月の利用金額及び利用回数によりポイントを付与)で代替しようとしているが、ポイント付与率は金額ポイントが0-8%、回数ポイントが0-6%である。昨年4月9日の記事に書いたように、月間10,000円(40回)、20,000円(80回)利用しても、ポイント付与率はそれぞれ8.6%、10.3%と、3か月間有効の回数券のプレミアム付与率(普通回数券10%、時差回数券20%、土休日回数券40%)に比べて大きく劣る*1名鉄の回数券廃止は、実質的な値上げである。

*1:なお、福岡市交通局のポイントも回数券のプレミアム付与率よりかなり低い