manacaのマイレージポイントとPiTaPaの割引

manaca(マナカ)の他のICカード乗車券にない特徴は、月間の利用金額や利用回数に対してSFを付与するマイレージポイントを本格的に導入したことだろう。PASMOの導入時に東京メトロ小田急が自社系列のクレジットカード一体型のPASMOで、乗車回数・金額に対するポイントサービスを開始したが、付与率は回数券の割引率より低い。manacaは、株式会社エムアイシー(名鉄系列)と名古屋交通開発機構名古屋市交通局系列)が発行する一般のICカード乗車券1枚でどの事業者のポイントも獲得でき、付与率も東京メトロ小田急よりかなり高い。
manacaマイレージポイントはむしろ、PiTaPaの「ポストペイ」機能による割引サービスと比較すべきだろう。月間の利用総額または同一運賃区間の利用回数に応じて割引額を決定し、割引後の運賃がクレジットカードから引き落とされる。次の表に示すように、PiTaPaの割引サービスは、あらかじめ登録した区間の利用額を1ヶ月定期運賃相当額を上限とする登録型割引を併用する*1。この場合、阪急と能勢電鉄を除き、ICカード定期券は発売されない。なお京都市交通局は、利用額割引だけで、区間登録型割引もIC定期券の発売もしない。北大阪急行は、割引がないが、PiTaPa定期券を発売する。

  利用額割引 利用回数割引
区間登録割引 大阪市近鉄水間鉄道嵐電  阪急*、京阪(除大津線)、大阪モノレール神戸高速能勢電鉄*
PiTaPa定期券 神戸市、神戸新交通北神急行  阪急*、南海、阪神山陽電鉄神戸電鉄、泉北高速、能勢電鉄*
manacaマイレージポイントは、各社局によって付与する対象が異なる。名鉄は利用金額と利用回数を併用し、豊橋鉄道は利用回数のみである。名古屋市交通局は利用金額だけだが、昼間(10-16時)・土休日の利用金額に対して追加ポイントを付与する。
月間10,000円と20,000円利用したときの2ケースについて、名鉄名古屋市営地下鉄マイレージポイントを、近鉄大阪市営地下鉄神戸市営地下鉄の利用額割引と比較してみた。マイレージポイントの算出に金額と回数を併用する名鉄については40回(80回)利用したものとし、名古屋市は昼間利用が50%あるものとして計算した。
カード 社局 月間利用額
10,000円 20,000円
manaca 名鉄 860 2,060
名古屋市 1,0001,600 3,250
PiTaPa 近鉄 700 1,700
大阪市 1,000 3,450
神戸市 900 2,190
各社とも利用額に応じて、付与率・割引率が逓増する。いうまでもないが、PiTaPaが現金による割引に対し、マイレージポイントは運賃としてしか使用できず、ポイントによる乗車にはマイレージポイントが付与されない。割引率と付与率が同じならPiTaPaの割引のほうが得である。

*1:大阪市交通局の登録割引は、登録した2駅間またはその両駅からともに同一区数内にある「対象駅」まで乗車する「特定利用」について、6ヶ月定期運賃の1ヶ月分を上限としている。