「鉄道事業者の運賃比較」更新

デスクトップ鉄のデータルームの鉄道事業者の運賃比較を更新した。
本稿では、各事業者(路線)の運賃パターンを線形回帰し、初乗り運賃レベルと運賃上昇勾配の二要素に分解し、各事業者の運賃構造を分析している。運賃カーブが徐々に寝てゆく遠距離逓減運賃の事業者については、線形回帰では実際の運賃との誤差が大きかった。そこで、遠距離逓減度を示す指標を得ようと指数関数による回帰を導入した。
原点を通る指数関数[y = mxn]の[n]と原点を通過しない指数関数[y = p + qxr]の[r]である。距離比例的な運賃の指標として[n]大が、遠距離逓減的な運賃の指標として[r]小が有効であることがわかった。
また、各社の運賃の高低を比較する"ものさし"として、事業者(路線)間の運賃表の対キロ運賃を対応するキロ範囲で直接比較する総当りリーグ戦を行い、各対戦の運賃差額を"得点"とする方式に変更した。この方法によって「運賃が安い事業者・高い事業者」のリストを全面改訂した。"得点"の順位よりも、対戦の勝率による順位のほうが実態に近いようである。
6月9日の記事で、京成空港線都営地下鉄、京阪、神戸電鉄の運賃カーブを比較したが、[y = mxn]を用いていた。その結果、

京成がいうように、空港線はn=0.422で、この4社局の中で遠距離逓減度は最小である。

と結論付けたが、運賃カーブが徐々に寝てゆく遠距離逓減運賃の事業者については、[y = p + qxr]を用いるべきだった。京成空港線の[r]は、0.263で、京阪の0.236よりも大きいが、神戸電鉄の0.278よりも小さい(逓減度が大)。なお、都営地下鉄は1.003となった。初乗り運賃の下駄を履き、ほぼ直線的に運賃が上昇する運賃パターンの(線形回帰がより近似な)事業者については、[r]は遠距離逓減度を示す指標として適切ではない。