北総線運賃訴訟、住民側敗訴

注目していた北総線運賃訴訟で、東京地裁は住民の訴えを退ける判決を言い渡した。NHKのニュースから。

北総鉄道値下げ訴訟 住民敗訴
東京と千葉県を結ぶ北総鉄道の運賃が高いのは、乗り入れている別の鉄道会社が線路の使用料を実質的に支払っていないためだとして、沿線の住民が、国に線路の使用許可を取り消すとともに運賃の値下げを命じるよう求めていた裁判で、東京地方裁判所は住民の訴えを退ける判決を言い渡しました。
東京・葛飾区から千葉県印西市までの32キロ余りの区間を走る第三セクター北総鉄道は、JRや大手私鉄と比べて、同じ距離を乗車した場合の運賃がおよそ2倍から3倍と、割高になっています。
裁判で沿線の住民らは、運賃が高いのは、北総鉄道に乗り入れている京成電鉄の「成田スカイアクセス」が、線路の使用料を実質的には支払っていないためだとして、国に線路の使用許可を取り消すとともに、運賃の値下げを命じるよう求めていました。
26日の判決で、東京地方裁判所の定塚誠裁判長は「線路の使用条件は、鉄道事業者相互間の関係を規律するもので、利用者に直接影響を及ぼすものではないため、原告に訴えの資格はない」と指摘し、「北総鉄道の運賃については国の判断内容にかしがあると認められる証拠はない」などと述べ、住民の訴えを退けました。(中略)
一方、国土交通省は「結論においては、いずれも国の認可処分を否定するものではないが、原告には訴えを起こす権利がないという主張が運賃については認められなかったため、今後の対応について法務当局と検討したい」とコメントしています。(後略)

太字で示した箇所がポイントで、京成が北総に支払う線路使用料の認可について利用者の原告適格を認めなかった。
後段の国土交通省のコメントにある「原告には訴えを起こす権利がないという主張が運賃については認められなかった」は、運賃については原告適格が認められたということだが、時事通信の記事は次のように書いている。

 訴訟ではまず、原告に訴えを起こす資格があるかが争われた。判決は、鉄道は仕事や学業のために欠かせない移動手段である一方、運賃は鉄道会社が決めており、違法に高額な運賃が設定された場合、生活基盤を揺るがしかねないと指摘。鉄道事業法が利用者の利益保護を理念に掲げている点を踏まえ、訴える資格を認めた。
 その上で、北総線の運賃は近距離が遠距離に比べ不当に割高で、特定の利用者に対する不当な差別に当たるとした原告側の主張について、「北総線の運賃は全ての利用者に同様に適用されるものだ」と否定。北総鉄道の業績向上に伴い、運賃を引き下げるべきだとした訴えも、「鉄道事業法が定める適正な価格を、現時点で超えるとは言えない」と退けた。

違法な高額運賃の設定については、利用者に原告適格があるが、原告が主張した超遠距離逓減運賃は特定の利用者に対する不当な差別に当たらず、違法ではないと結論付けた。