国土交通省東北運輸局は3月25日、JR東日本が申請していた「仙石線及び東北線の接続線鉄道事業」を許可した(プレスリリース)。仙石線の高城町駅付近と東北本線の松島駅付近に0.3キロの接続線を整備し、石巻・仙台間の快速列車を運行するというもの。見逃していたが、計画は昨年10月18日JR東日本仙台支社からリリースされ、新聞でも報道されていた(事業概要の図は、2012年10月18日の仙台支社プレスリリース)。
国土交通省の許可を報じたレスポンスの3月26日付記事によると、運休中の高城町・陸前小野間の復旧(一部を内陸寄りにルート変更)と同時に2015年に開業するとのこと。仙石線と東北本線の電化方式が異なることから、ディーゼルカーによる運行となる。
興味深いのは、同記事の次の箇所である。
申請によると、整備区間は東北本線松島〜仙石線高城町間(宮城県松島町)の0.3kmだが、実際は東北本線塩釜〜松島間と仙石線松島海岸〜高城町間の線路が隣接する部分に渡り線を建設するため、東北本線から分岐する部分を松島駅構内の扱い、仙石線に合流する部分を高城町駅構内の扱いとして建設することになる。
接続線に営業キロが設定され、JRの線路名称に記載されるのか、運賃計算はどうなるのかという疑問が生じる。
旅客列車(臨時列車を含む)の運行があるJRの短絡線・線増別線は、営業キロ設定の有無から次のように分類される。
会社・路線 | 区間 | 旅1種 | 貨2種 | なし | 備考 | |
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JR北海道・函館本 | 七飯〜大沼 | ○ | 藤城線 | |||
JR東日本・東海道本 | 東京〜品川 | ○ | 総武快速・横須賀線 | |||
鶴見〜横浜羽沢〜東戸塚 | ○ | 羽沢貨物線 | ||||
JR東日本・山手 | 大崎〜旧蛇窪信号所 | ○ | 旧蛇窪信号所は大崎駅構内の扱い | |||
駒込〜田端信号場 | ○ | |||||
JR東日本・武蔵野 | 新小平〜国立 | ○ | ||||
西浦和〜与野 | ○ | |||||
武蔵浦和〜別所(信) | ○ | |||||
南流山〜北小金 | ○ | |||||
JR東日本・青梅 | 立川〜西立川 | ○ | ||||
JR東日本・奥羽 | 青森〜青森信号場 | ○ | ||||
JR西日本・東海道本 | 梅小路〜丹波口 | ○ | JR貨物の2種事業廃止 | |||
吹田〜梅田〜福島 | ○ | |||||
JR四国・瀬戸大橋 | 児島〜坂出 | ○ | ||||
JR九州・鹿児島本 | 陣原〜折尾 | ○ | ||||
JR九州・筑豊本 | 折尾〜東水巻 | ○ |
旅1種は旅客会社の第1種事業路線として営業キロが設定されているもの、貨2種は第1種事業者が存在せず、JR貨物のみに第2種事業の営業キロが設定されている路線である。営業キロ設定の有無にかかわらず、運賃・料金は並行する旅客線の営業キロで計算される*1。
仙石・東北接続線は鉄道事業として許可されたのだから、東北本線の支線として松島・高城町間に営業キロが設定されることになるだろう。この場合、仙台・高城町間の営業キロは、東北本線経由23.7キロ、仙石線経由25.0キロとなる。仙台・高城町間や仙台・石巻間では運賃は変わらないが、仙台・矢本間などでは仙石線経由の運賃が高くなり、問題となる。
このため、第69条経路特定区間として、
あおば通又は仙台以遠(東照宮又は長町方面)の各駅と、高城町以遠(手樽方面)の各駅との相互間(○東北本線経由、仙石線経由)
が制定されるかもしれない。なお2002年12月1日の旅規改定で廃止されるまで、仙台以遠と松島又は松島海岸など、東北本線と仙石線関連の3選択乗車区間が存在した。