亀有・金町の運賃訴訟

10月20日朝日新聞(東京版)の記事。JR常磐線「亀有・金町利用者だけ割高」 50年来の運賃問題で提訴

 約50年前からくすぶる運賃問題が、法廷に持ち込まれた――。JR常磐線亀有駅金町駅(いずれも東京都葛飾区)の利用者が、「他の利用者に比べて不当に高い運賃を負担させられている」として19日、JR東日本東京メトロ、国に2万6980円の賠償を求めて東京簡裁に提訴した。
 原告は、長年是正を訴えている市民団体「亀有・金町の鉄道問題を考える会」の代表世話人で医師の松永貞一さん(74)ら16人。
 常磐線は1971年に各駅停車区間緩行線)と快速線に分離され、各停区間東京メトロ千代田線と相互乗り入れが始まった。各停区間にある金町、亀有両駅から上野方面に行くには現在、北千住か西日暮里で乗り換える必要がある。
 北千住で乗り換えれば、運賃は常磐線のみの利用と扱われる。ただ、北千住では地下2階から地上2階へ上がる必要がある。松永さんは「足が悪い人や車いすの人には無理だ」と話す。
 2駅先の千代田線・西日暮里なら比較的容易に乗り換えられるが、千代田線を利用したことになり、初乗り運賃が2度生じる。上野方面に向かう山手線に乗ればさらにJRの初乗り運賃を払う。
 原告側によると、運賃は西日暮里乗り換えの方がICカードや切符で4~6割、定期券だと8~9割ほど割高になる。例えば亀有―上野のIC運賃は、北千住乗り換えなら220円、西日暮里乗り換えは361円になる。
 松永さんらは「特定の旅客への不当な差別的取り扱いを禁じた鉄道事業法に違反する」と主張。国も不合理な運賃の是正をしなかったと訴えている。請求額は16人が1年間、西日暮里を経由して余計にかかった差額分とした。(後略)

亀有・上野間の西日暮里乗換えのIC運賃361円は、JR亀有・北千住間157円、メトロ北千住・西日暮里間168円、JR西日暮里・上野間136円の合算額461円から100円減額したものである。パスネットの不思議に書いているように、2007年3月18日PASMOがデビューし、Suicaとの相互利用サービスが始まった時点で、ICカード乗車券でメトロの北千住・西日暮里間を経由する場合、前後のJR区間を通算する通過連絡運輸は適用せず、JR区間の運賃の合算額から100円差し引いた。この間を乗車券を利用すると、通過連絡運輸が適用され、前後のJR区間のキロが通算されて7.4キロ170円にメトロ運賃170円を加算した340円となる。

亀有・金町の鉄道問題を考える会のサイトは、まだこの提訴について記載していない。このブログで何度か取り上げた北総線値下げ裁判の会のように、訴状などを掲載してほしいと思う。北総裁判でも「特定の旅客への不当な差別的取り扱いを禁じた鉄道事業法に違反する」が主張されたが、「全ての旅客に同様に適用され、特定の旅客によって異なるものでないから」該当しないと退けられた(2013年4月20日記事)。「亀有・金町利用者だけ割高」が認められるか、かなりハードルが高いと思われる。会のサイトには、種々の資料が掲載されている。読んで続報を書くつもり。

続報続・亀有・金町の運賃訴訟