JR東日本は、12月6日、2026年3月の実施に向けて国土交通大臣に鉄道旅客運賃の上限変更認可申請を行った(リリース)。旅客制度上も興味深い点がある。主な点を挙げると、
- 「電車特定区間」、「山手線内」の運賃区分の「幹線」への統合
- 全区間において「IC運賃≦きっぷ運賃」
- 私鉄対抗の特定運賃区間の一部廃止
- バリアフリー料金の廃止
- JR他社にまたがる運賃について、JR東海・JR西日本の基準額に対し加算額を設定
- 東京・熱海間を新在別線化
JR東海とJR西日本がこのタイミングで全面的な運賃改定を行わないため、民営化以降ほぼ同一の運賃体系を採用してきた本州3社間に、賃率の変更による運賃格差だけでなく、制度上も差異が生じた。1は、JR西日本が2025年4月1日から大阪環状線内の廃止とともに電車特定区間を拡大し賃率を改定するのと対照的な動き。5の加算額は、現行の三島会社にまたがる運賃の加算額と同様の扱い。6は、JR西日本とJR九州で運賃が異なる新下関・博多間と同じ扱いになる。
3の私鉄対抗特定運賃については、別途書くつもり。
追記(12月10日):コメントがあった最長片道切符への影響について。小倉・博多間で新在をまたがった経路の片道乗車券が発売できるかという問題は、旅規16条の3に基づき新幹線と在来線を同一の路線として扱うという解釈に収れんしたようだ(新幹線と在来線 - 同一路線扱いの虚構と矛盾の「新下関・博多間の特例」参照)。新在別線となる東京・熱海間のうち品川・小田原間はもともと新在別線で、この間の最長片道切符ルートは新在にまたがっており、東京・品川間と小田原・熱海間は経路が閉じているので、最長片道切符の経路に与える影響はなさそう。
旅規16条の3は、片道新幹線、片道在来線の往復割引乗車券が発売できるように手当てしたものなので、往復乗車券の発売がなくなる2026年春時点に、この条項がどうなるか注目される。