9月22日開業する西九州新幹線の運賃・特急料金をJR九州が発表した(4月27日リリース)。興味深いのは次の箇所。
諫早~長崎間は、長崎本線として並行する在来線が存在するため、長崎本線の営業キロ(24.9 キロ)と同一とし、480 円とする旨認可申請を行いました。その他の区間については、建設キロを営業キロとしますので、認可申請は行いません。
諫早・長崎間は新在同一扱いとなり、旅規16条の2が次のように改定されると思われる。
(東海道本線(新幹線)、山陽本線(新幹線)、鹿児島本線(新幹線)、長崎本線(新幹線)、東北本線(新幹線)、高崎線(新幹線)、上越線(新幹線)及び信越本線(新幹線)に対する取扱い)
第16条の2 次の各号の左欄に掲げる線区と当該右欄に掲げる線区とは、同一の線路としての取扱いをする。
(1) 東海道本線及び山陽本線中神戸・新下関間 東海道本線(新幹線)及び山陽本線(新幹線)中新神戸・新下関間
(2) 東北本線 東北本線(新幹線)
(3) 高崎線、上越線及び信越本線 高崎線 (新幹線)、上越線(新幹線)及び信越本線(新幹線)
(4) 鹿児島本線中博多・新八代間及び川内・鹿児島中央間 鹿児島本線(新幹線)中博多・新八代間及び川内・鹿児島中央間
(5) 長崎本線中諫早・長崎間 長崎本線(新幹線)諫早・長崎間
一方、大村線竹松駅と諏訪駅の中間に新大村駅が設置され、新大村・諫早間も並行在来線となる。この区間は、「大村線中新大村・諫早間 大村線(新幹線)中新大村・諫早間」のように同一扱いされない。
新大村・諫早間の新幹線の営業キロは建設キロの12.5キロで、運賃280円。一方在来線は、新大村駅が竹松と諏訪のちょうど中間に設置されるとすると、13.8キロ(擬制キロ:15.2キロ、380円)となる。新幹線と並行在来線で運賃が異なるのは、前例がある。1996年1月10日の三島会社の運賃改定により、山陽新幹線新下関・博多間新幹線と在来線の運賃が異なることとなった。同区間は新在別線となったが、旅規に16条の3が新設された。
(新幹線と新幹線以外の線区の取扱いの特例)
第16条の3 次の左欄に掲げる線区と当該右欄に掲げる線区に関し、第26条第1号ただし書、第2号ただし書及び第3号にそれぞれ規定する普通乗車券の発売、第68条第4項に規定する鉄道の旅客運賃計算上の営業キロ等の計算方並びに第242条第2項に規定する区間変更の取扱いにおける旅客運賃・料金の通算方又は打切方については、前条第1項の規定を準用する。
山陽本線中新下関・門司間及び鹿児島本線中門司・博多間 山陽本線(新幹線)中新下関・小倉間及び鹿児島本線(新幹線)中小倉・博多間
新下関・博多間は新在別線だが、乗車券の発売要件や運賃計算においては、新在を同一路線として取り扱うということ。これに基づき、従来どおり東京都区内-福岡市内などの往路新幹線、復路在来線という往復割引乗車券が発売されている*1。新大村・諫早間も同じ取り扱いになり、往路新幹線・復路在来線の往復乗車券が発売されるのではないだろうか。
西九州新幹線は、線路名称としては、西九州新幹線武雄温泉・諫早間及び長崎本線(新幹線)諫早・長崎間となるのだろう。旅規16条の4は、並行在来線がJRから分離された整備新幹線の区間について、新幹線は単一の路線として扱うという規定だが、西九州新幹線も単一路線として追加されることになるだろう。
(東北新幹線、北陸新幹線、九州新幹線
及び、北海道新幹線及び西九州新幹線に対する取扱い)
第16条の4 東北新幹線盛岡・新青森間、北陸新幹線高崎・金沢間及び、九州新幹線新八代・川内間及び、北海道新幹線新青森・新函館北斗間及び西九州新幹線武雄温泉・諫早間については、単一の線路として旅客の取扱いをする。
*1:新幹線と在来線-同一路線扱いの虚構と矛盾に詳述している