JR東日本旅規改訂履歴更新

JR東日本旅規改訂履歴(条項順)・(日付順)を更新した。10月1日のJR東日本・四国・九州の特急料金・特別車両料金・座席指定料金の改定のほか、未反映だった8月28日の日田彦山線BRT運行開始に伴う旅規改定(8月9日の記事参照)を追加した。

各社は10月1日から、鉄道乗車自体を目的とした観光列車の特急料金・特別車両料金・指定席料金を値上げした。JR東日本のってたのしい列車などの指定席料金を840円とし、客車を使用する普通列車SLばんえつ物語)のグリーン料金を新設した。JR四国は「ものがたり列車」のグリーン料金を値上げし、JR九州D&S列車或る列車、36ぷらす3を除く)の座席指定特急料金を500円値上げした。

旅規とは関係ないが、値上げはジャパン・レール・パスにも及んだ(JR西日本リリース)。のぞみ・みずほの乗車ができないと不評だったのに対し、「【ジャパン・レール・パス専用】のぞみ・みずほ利用券」を購入することにより、乗車を可能にした。

 

 

新幹線乗継割引廃止

JR4社は9月22日、新幹線乗継割引を2024年春廃止すると発表した(リリース:JR東海JR西日本JR東日本JR北海道)。

JR東海JR西日本は3月16日、JR東日本と北海道は2024年春としている。九州新幹線はもともと割引の対象になっていない。

旅規57条の2(乗継急行券の発売)は、1965年11月1日東海道新幹線と在来線の乗継ぎについて制定された。

(乗継急行券の発売)
第57条の2 旅客が、東海道本線(新幹線)の停車駅(東京駅を除く。)及び大阪駅において、同線の特別急行列車とその他の各線の急行列車との相互に乗継ぎをする場合で、次の各号に該当するときは、東海道本線(新幹線)に接続する区間の1個の急行列車(前条第4項に規定する直接乗継ぎとなる特別急行列車を除く。)に対して割引の急行券を発売する。ただし、第126条に規定する特別急行料金を適用する列車及び区間に対しては割引の急行券を発売しない。
(1) 東海道本線(新幹線)に接続する列車の急行券が、同線の特別急行列車の乗車日(自由席特急券にあつては、通用開始日)に対して、その前日、当日又は翌日の日を乗車日又は通用開始日とする場合
(2) 乗継ぎとなる両列車の急行券を同時に購求する場合
(3) 当該乗車船に必要な乗車券を同時に購求する場合又は呈示した場合(以下これらを「関連発売」という。)

その後の変遷は次のとおり。

-1966/03/05:本州と北海道、四国の青函・宇高連絡船を経由した乗継に適用

-1969/05/10:名古屋駅での「ひかり」と「こだま」の乗継に適用(72/03/15の山陽新幹線岡山開業時に新幹線のラッチ内乗継ぎは一個の特急料金に変更)

-1988/03/18:海峡線・本四備讃線開業に際し、山陽新幹線本四備讃線との岡山駅での乗継、東北・奥羽本線津軽線・海峡線・函館本線との青森駅函館駅での乗継、「瀬戸」と四国内急行との坂出駅高松駅での乗継に変更

その後は、対象区間縮小の歴史である。ミニ新幹線への不適用、九州新幹線開業時には九州内の乗継に適用されず、さらに乗継駅が限定され、「サフイール踊り子」など適用除外の列車も指定された。また2023年4月には岡山駅での四国特急との乗継割引も廃止となった。制定後59年を経て全廃されることになる。

JR西日本は、3月16日開業の北陸新幹線金沢・敦賀間の特急料金について国土交通省認可申請したと発表した(リリース)。北陸新幹線富山・敦賀間と在来線特急列車「サンダーバード」・「しらさぎ」とを敦賀駅で改札を出ないで乗継ぐ場合の特急料金は、新幹線と在来線の特急料金をそれぞれ割引き、その合算額に1列車分の座席指定料金を加算する。大阪・金沢間の通常期指定席特急料金は、現行の2,950円に対し、従来の乗継割引適用すると3,570円、新規割引料金は4,570円となる。

日田彦山線BRT・宇都宮ライトレール

日田彦山線BRTと宇都宮ライトレールの開業日(それぞれ8月28日と8月26日)が近づいてきた。JR東日本サイトの運送約款に、旅客営業規則、旅客連絡運輸規則、 ICカード乗車券取扱規則の一部改正が7月20日付で記載されている。

旅客営業規則は、

日田彦山線添田・夜明間に係る乗車券類の取扱い)
第16条の6 日田彦山線添田・夜明間の一部又は全部の区間を乗車する旅客に対しては、乗車券類の発売を行わないものとする。

が新設され、156条2号ハの福岡近郊区間日田彦山線区間が城野・今山間から城野・添田間に変更となる。

旅客連絡運輸規則は次の条項が新設される。

第1条の2 日田彦山線BRT添田・日田間の一部又は全部の区間を乗車する旅客の取扱いは、別に定める。

 ICカード乗車券取扱規則は、別表第6号のIC カード乗車券が利用できる交通事業者(鉄道)に、宇都宮ライトレールが追加される。

旅規16条の6は「日田彦山線添田・夜明間」となっており、この区間の鉄道はBRT化後も存続し、BRTは鉄道代行バスという位置づけのようだ。気仙沼線大船渡線BRTも2012年、2013年の開業当初は同じ扱いだった。両線の鉄道事業が廃止された2020年4月1日。

連規1条の2の日田彦山線BRTの規定は、気仙沼線大船渡線BRTでは旅規に規定されている。

第17条 気仙沼線BRT柳津・気仙沼間及び大船渡線BRT気仙沼・盛間の一部又は全部の区間を乗車する旅客の取扱い等については、別に定める。

JR九州の5月26日リリースによると、日田彦山線BRTの事業主体(土地、車両の保有等)はJR九州、運行主体(運行、運行管理等)はJR九州バス(一部を日田バスに再委託)としている。JR東日本の直営でミヤコーバス・岩手県交通に運行委託している気仙沼線大船渡線BRTと異なり、JR九州バス道路運送法に基づく事業者のようだ。連期の規定が添田・夜明間ではなく添田・日田間になっているのもこのためだろう。

旅規16条の6は、あくまでも旅規に基づく乗車券類のことで、連規に基づく連絡乗車券が発売される。上記リリースによると「BRT 完結のきっぷ及びBRTと鉄道を乗り継ぐ区間のきっぷはJR九州の駅のみ発売」とのこと。また、連絡乗車券の運賃は鉄道運賃とBRT運賃の併算額から100円割引くので、現行鉄道運賃より安くなる区間がある。

第10回全国の鉄道路線五番勝負は、8月25日(金)21時に開催します。開始日現在の路線を基準に出題するため、宇都宮ライトレールの開業には対応しません。

 

 

 

JR四国運賃値上げに伴う旅規改定

JR東日本旅規改訂履歴(条項順)・(日付順)を更新し、5月20日JR四国運賃値上げに伴う旅規改定を追加した。

既報(2022年9月10日の記事)のとおり、JR四国は、100キロまでの運賃を賃率に拠らない対キロ区間制とし(77条の3、1項1号)、三島会社の100キロまでの運賃はすべて対キロ区間制になった。101キロからの200キロまでは、賃率を3円/キロ引き上げ、19円20銭とした(77条の3、1項2号)。201キロ以上の賃率は据え置き、本州三社、三島会社と同賃率*1JR四国は、これまで61キロ以上1,000キロまでの運賃を別表第2号イの2で特定していた*2が、同別表は削除され、100キロ以上の運賃は本来の対キロ運賃に戻ることになる。

また、1996年の運賃改定時に擬制キロ制を導入した際、激変緩和措置として制定された地方交通線関連の特定運賃(普通運賃:77条の7ほか、定期運賃:95条の3ほか)が廃止された。このため、別表第2号イの2のほか、11の別表が削除された。また、旅規85条の2の児島・宇多津間の加算運賃に対し、85条の3で規定していたこれを緩和する特定運賃が廃止され、85条の2の本則どおり適用されることになった。

*1:JR九州は101キロ以上

*2:JR九州も対キロ制の101キロ以上2,000キロまでのほとんどのキロ帯において特定額

私鉄の鉄道駅バリアフリー料金規定

3月18日は、首都圏の鉄道事業者が鉄道駅バリアフリー料金の収受を開始した日でもあった。2月8日の記事に書いたとおり、JR東日本の旅規は、鉄道駅バリアフリー料金を運賃とは別の特殊料金として、旅客運賃と「あわせ収受する」と規定した。バリアフリー料金を適用した東京メトロ東武鉄道西武鉄道小田急電鉄相模鉄道横浜高速鉄道各社の3月18日改定の旅規もJR東日本と同様の規定であるが表現が異なる。

西武は、JR東日本の規定にもっとも近い。「第9節 鉄道駅バリアフリー料金」を新設し、

(鉄道駅バリアフリー料金)
第140条 鉄道駅バリアフリー料金は次のとおりとする。
(1) 大人片道普通旅客運賃とあわせ収受する額 1乗車につき10円
(2) 定期旅客運賃(通学定期旅客運賃を除く。)とあわせ収受する額
     1ヵ月 600円
     3ヵ月 1,710円
     6ヵ月 3,240円

と規定、普通運賃と「あわせ収受」するとした。

(旅客運賃と鉄道駅バリアフリー料金のあわせ収受)
第66条 第140条に定める鉄道駅バリアフリー料金は、当該乗車にかかる旅客運賃(前条第1号イに定める通学定期旅客運賃を除く。)とあわせ収受することとし、鉄道駅バリアフリー料金のみでは取り扱わない。

東武小田急も、東武と同様それぞれ「第8節 鉄道駅バリアフリー料金」を新設しているが、次のとおり旅客運賃に加算するとし、「あわせ収受」という表現をとっていない。

(旅客運賃と鉄道駅バリアフリー料金の合計額の計算方) 
第72条 普通旅客運賃には規則第130条に規定した料金を加算するものとし、普通旅客運賃と鉄道駅バリアフリー料金の合計額を基準に運賃を算出するものについては、これを基準に計算するものとする。
2 通勤定期旅客運賃には規則第131条に規定した料金を加算するものとし、通勤定期旅客運賃と鉄道駅バリアフリー料金の合計額を基準に運賃を算出するものについては、これを基準に計算するものとする。 

東京メトロは折衷版で、

(鉄道駅バリアフリー料金)
第42条の3 旅客運賃のうち、鉄道駅バリアフリー料金を加算するものについては、旅客運賃と鉄道駅バリアフリー料金をあわせて取り扱うこととし、鉄道駅バリアフリー料金のみでは取り扱わない。
2 旅客運賃を基準に算出するものについては、旅客運賃及び鉄道駅バリアフリー料金の合算額を基準として計算する。

とし、第51条、第57条などで、普通運賃・通勤定期運賃に鉄道駅バリアフリー料金を加算すると規定。横浜高速鉄道は、普通運賃・通勤定期運賃に加算するという規定だけ。

相鉄の旅客営業規則はあいかわらず、2021年7月1日施行版だが、3月18日改定の対照表(トップページからリンクされていない)を見つけた。バリアフリー料金規定は東武小田急スタイル。また新横浜線延伸区間の加算運賃を規定している。昨年12月30日限りで廃止された普通・時差・土休日回数券の規定は削除されていない。

東京都営地下鉄もメトロ南北線と共用する三田線目黒・白金高輪間にバリアフリー料金が加算されるが、東京都地下高速電車旅客営業規程は改定されていない*1

各社のICカード乗車券規則は、PASMOの標準約款にあわせてほぼ同文*2

(鉄道駅バリアフリー料金)
第6条の3 第6条第2項に規定した大人片道普通旅客運賃には、鉄道駅バリアフリー料金として1乗車につき10円を加算するものとする。
2 大人片道普通旅客運賃を基準に運賃を算出するものについては、前項により算出した大人片道普通旅客運賃を基準として計算するものとする。

ここでもJR東日本は「あわせ収受」である。

IC運賃と鉄道駅バリアフリー料金のあわせ収受)
第29条の2 旅客規則第140条第1項に規定する区間内相互発着となる区間に乗車する場合は、同条第2項第1号に定める鉄道駅バリアフリー料金を第33条から第35条及び第37条に規定するIC運賃とあわせ収受します。

本日旅規ポータルのリンク集及びJR東日本旅規改訂履歴(条項順)・(日付順)を更新した。旅規改訂履歴には4月1日施行の改定も含めた。

*1:東京都地下高速電車ICカード乗車券取扱規程も同じ

*2:東京メトロは「ものとする」がない

最繁忙期・繁忙期・閑散期

既報のとおり、4月1日からJR東海JR西日本JR四国JR九州がシーズン別特急料金に最繁忙期を導入し、4区分になる(JR九州は閑散期がない3区分)。グリーン車・寝台車の特急料金にも適用される。

発表されている2023年度のカレンダーで、それぞれの日数を比較した。

  JR東海・西日本・四国・(九州)
  最繁忙期 繁忙期 通常期 閑散期
JR北海道
東日本・
西日本
(北陸幹)
最繁忙期 17 8 4 1 30
繁忙期   31 10   41
通常期 1 34 133 17 185
閑散期     19 91 110
18 73 166 109 366

最繁忙期は、JR東海などの18日に対しJR東日本などは30日と倍近い。JR東日本などの最繁忙期で、JR東海などが閑散期としているのが1日ある。それは4月27日(木)で、前後の26日はどちらも閑散期、4月28日は最繁忙期である。逆にJR東海などの最繁忙期5月7日(日)は、JR東日本などが通常期である。ゴールデンウィークの旅客のピークは、東日本が1日早く始まり、早く終わるのだろうか。

4月1日のJR旅規改定

JR東日本の運送約款のサイトに、2023年4月1日施行の旅規改正公告が掲載された。3月18日施行の改定に続く今春の旅規改定の第2弾で、3月18日改定後の規則と対比している。

JR東海JR西日本JR四国JR九州の最繁忙期設定に伴うシーズン別特急料金の期間規定が別表に移行する。57条の3第1項の本文には先行したJR北海道JR東日本JR西日本北陸新幹線)の期間規定が残る。シーズン別料金のグリーン車・寝台車への適用もあり、同じ文章の繰り返しで、125条が大幅に変更になる。

今回の改定ではJR西日本の運賃・料金の値上げが目立つ。B特急料金の廃止(57条の3第2項)、鉄道駅バリアフリー料金(140条)、私鉄対抗の特定運賃の改定(別表第2号イの6、別表第2号レ)、のぞみ・みずほの特急料金の改定(別表第2号ネ)がある。新幹線特急料金値上げは認可された上限料金の範囲とのこと(2022年7月13日リリース)。

近年特急の乗り継ぎ割引が縮小されてきたが、新幹線及びサンライズ瀬戸から四国内特急への乗り継ぎ割引も廃止となる。