南海と泉北高速が経営統合

南海電鉄は、100%子会社のる泉北高速鉄道社との経営統合に基本合意したと発表した(リリース)。2025 年度早期の経営統合に向けて検討を進めるとのこと。京成電鉄新京成電鉄との合併(2025年4月1日実施予定)に続く100%子会社との経営統合である。

リリースは、統合後の運賃について「初乗り運賃の二度払い解消等、地域からのこれまでの声に応えることができるよう検討を進めてまいります。」としている。例に挙げている南海難波・泉北泉ケ丘間の運賃は、通勤・通学定期運賃は値下げしているが、普通運賃は現行の490円のまま。乗継割引運賃が適用され、難波・中百舌鳥間350円*1、中百舌鳥・泉ケ丘間240円の双方の運賃から50円ずつ計100円割引いている。南海の同一キロ帯運賃も同額の490円で、難波・泉ケ丘間は、南海の運賃体系に統一しても運賃は変わらない。しかし他の区間は、下表のように微妙に異なり、旅客にとって損得が出る。

難波から キロ 乗継運賃 南海運賃
深井 17.1 450 420
泉ヶ丘 21.2 490 490
光明池 25.5 550 540
和泉中央 27.7 590*2 610

なお、上場鉄道事業者の100%子会社の鉄道事業者は、他に次の各社がある。

千葉ニュータウン鉄道は第3種事業者。箱根登山鉄道は、小田急の100%子会社小田急箱根HDが100%所有する孫会社。また非上場の岡山電気軌道和歌山電鐵の株式を100%所有している。

*1:20円減額の特定運賃

*2:加算運賃20円を含む

「最長片道切符のルート変遷」更新

「最長片道切符のルート変遷 1961-2022」を最長片道切符のルート変遷 1961-2023と改題し、英語ページのThe Longest One-way Ticketとともに更新した。読者の指摘を受け、8月28日の日田彦山線添田・夜明間のBRT化によるルート変更に対応した。

Excel2010以降「問題が大きすぎるため、ソルバーでは処理できません」とソルバーで最長ルートの計算できない。今回のルートも最長片道切符の流儀とバリエーションの計算結果を借用した。距離は58.7キロ短縮し、再び10,700キロを下回った。

今回から、表1の最長片道切符ルートの変遷は、ルート変更区間だけでなく全ルートを記載した(英語ページは、最新ルートだけ)。外国人の読者の要望に応えたもの。

 

JR旅客制度特例の変遷など更新

データルームのJR旅客制度特例の変遷などを更新した。

JR東日本の「きっぷあれこれ」を眺めていて、分岐駅通過列車の特例から大阪・新大阪間及び夜明・日田間が削除されていることに気がついた。前者は3月18日の大阪駅うめきた地下駅の開業で「はるか」と「くろしお」が大阪駅に停車することになったため、後者は8月26日の日田彦山線添田・夜明間のBRT化によるものと思われる。また、横浜市内発着の乗車券による鶴見・武蔵小杉間の市外乗車の記載が漏れていたことにも気づいた。2019年11月30日相鉄・JRの相互乗り入れ運転実施に伴い、羽沢横浜国大駅が横浜市内駅に追加され、横浜市内発着の乗車券で同駅を利用する場合の区間外乗車が特定分岐区間とともに設定されていた。どちらも旅規ではなく基準規程の条項なので、見逃していた。

また、12月6日に駅名改称 1987-2023を更新し、読者から指摘を受けた漏れ・誤記を追加訂正した。さらに「読み」のみが変更になった4駅、多良木、東多良木(たらき→たらぎ)、小野上(おのかみ→おのがみ)、越前竹原(たけわら→たけはら)を見つけ、本日更新した。

以前コメントがあったように、本年度の「鉄道要覧」で伊予鉄道松山駅前がJR松山駅前に、松山市駅前松山市駅に変更になった。この改称日は伊予鉄道の「道は、みらいへ 創立百二十五周年史」の年表に次のとおり記載されており、12月6日の更新時に「駅名改称 1987-2023」に追加した。

  • 1987/04/01:電停名を「国鉄駅前」から「JR松山駅前」に変更
  • 2001/10/01:電停名を「市駅前」から「松山市駅」に変更

伊予鉄社内では従来要覧に記載されていた「松山市駅前」ではなく「市駅前」だったようだ。

Railways of Japanとクイズページの全国の鉄軌道路線リストを更新し、12月4日の能勢電鉄鋼索線廃止を記載した。12月27日には休止中の東京都上野懸垂線が廃止される。特殊路線の廃止は相次ぎ、スカイレールサービス広島短距離交通瀬野線が2024年4月末に、立山黒部貫光無軌条電車線(立山トンネルトロリーバス)が2024年12月1日に廃止される(リリース)。どちらもEVバスに転換する 

市区町村名と駅名(1949年)更新

データルームの市区町村名と駅名(1949年)を更新した。6月19日の記事のコメントでNさんから市町村変遷の誤記の指摘を受けたが、その後も廃止路線の駅などを綿密にチェックしていただき、5カ月間10数回にわたりメールのやり取りが続いていた。「一旦これで一段落」ということで、あらためてここで紹介することにした。

国鉄駅については「停車場変遷大事典 国鉄・JR編」(JTB、1998)(以下大事典)が情報源。私鉄駅は、「鉄道廃線跡を歩くⅡ」(JTB、1996)の巻末に記載の「全国廃線私鉄の停車場一覧」を参考にしたが、掲載されている事業者が限られていた。「新・鉄道廃線跡を歩く1-5」(JTB、2010)各巻末の「国鉄・私鉄の廃線停車場一覧」は、掲載当時未見だったが、掲載社数がかなり増え参考になった。

私鉄の現存駅が1949年当時当時所在していた市町村については、国立情報学研究所歴史的行政区域データセットβ版によったが、β版としているだけに、境界変更などに対応していないものも散見された。廃止駅についてはNさんから紹介を受けた今昔マップが、新旧の地形図を左右に対照表示していて参考になったが、掲載している地域が限られている。

私鉄の路線名は不明な点が多い。国鉄の線路名称が公示され官報にも掲載されたのに、私鉄で路線名の改称を公表している会社は少ない。私鉄史研究の第一人者、和久田康夫氏の「私鉄史ハンドブック」にも事業者名の変遷と区間の表示はあるが路線名は記載されておらず、私鉄の路線名は信頼できる資料がない。

国土交通省鉄道局「鉄道要覧」記載の路線名が資料になるが、前身の運輸省鉄道監督局監修「私鉄要覧」が刊行されたのは、昭和45年度版(1970/03/31現行)が最初。それ以前の変遷は一般刊行書ではわからない。今年の「鉄道要覧」は相鉄の本線・いずみ野線がそれぞれ相鉄本線相鉄いずみ野線と変わっているが、路線名の改称は公表されておらず、改称時期は不明。

自治体の境界変更(一部の分離編入)も注意を要す。大事典によると、札沼線の北龍駅の所在地は開業時の1931/10/10が雨竜郡北竜村、営業休止から再開した1956/11/16が雨竜郡沼田町。この間駅は移転していない。これは、「市町村名変遷事典」(東京堂出版、1990)に「昭18.4.1一部を雨竜郡沼田村に分離・編入」と記載があり解決した。ほかにも、1949年当時名取郡秋保村にあった仙山線奥新川駅が1955年4月1日大字新川が宮城郡宮城村に分離編入され、宮城村所在となったなどの例がある。

Nさんにはこれまでのご協力を感謝します。まだ誤記や漏れがあると思うので、気が付いた方はお知らせください。

 

 

 

京成が新京成を合併

京成電鉄は、2025 年4月1日を合併効力発生日として、100%子会社の新京成電鉄を吸収合併すると発表した(リリース)。

新京成電鉄東京証券取引所1部上場だったが、2022年4月の市場区分再編の際スタンダード市場に移行し、同年9月1日に京成電鉄が全株式を取得、上場廃止になっていた。

千葉日報10月31日記事

京成電鉄市川市)は31日、新京成電鉄鎌ケ谷市)を2025年4月に吸収合併すると発表した。同日開催の取締役会で決議した。現在の路線と駅、従業員の雇用は維持する方針。「新京成線」の路線名を存続するかは今後検討する。新京成の運賃については京成線に組み込まず、現在の運賃体系を維持する方向で調整している。

乗り物ニュースも「新京成線の運賃については京成線に組み込むのではなく、現在の運賃を引き継ぐ方向で国土交通省と協議中とのことです。」と報じている。

新京成線の運賃が別建てになると、京成は本線系統*1千原線成田空港線と4種類の運賃体系をもつことになる。新京成は10月1日運賃を値上げしたが、京成の本線系統の運賃よりも安い。

*1:東成田線押上線千葉線、金町線を含む

第11回全国の鉄道路線五番勝負(難易度分析)

全国の鉄道路線五番勝負・難易度分析 (問題別回別)、全国の鉄道路線五番勝負・全想定解及び全国の鉄道路線五番勝負・ヒント集を、第11回の結果を追加して更新した。

終了時にコメントしたように、出題者の想定に反して難易度が高かった。回別総合難易度は、第1回に次ぐ2位(銅メダル所要時間が1位、誤答率4位)。完答所要時間も1位だった。問題別では、問四がE難度、問二と問五がD難度、問一と問三がC難度で、A、B難度はなかった。指標別にみると次のとおり。

総合難易度 問四>問二>問五>問三>問一
金メダル所要時間 問ニ>問四>問五>問一>問三
銅メダル所要時間 問四>問二>問五>問三>問一
10位所要時間 問四>問三>問二>問一>問五
誤答率 問四>問二=問五>問一>問三
完答者正答順 問四>問三>問二>問一>問五
出題者事前予想 問四>問二>問三>問五>問一

金メダルから10位まで問二と問五の難易度順位が下がり、問三の順位が上がったのは、ヒント効果だろう。問二、問五はアナグラムが易しかった。問三を最後に解答した2名からアナグラムが解けなかったとコメントがあった。

完答者正答順は10位の所要時間と同じ傾向。

  解答者 問一 問ニ 問三 問四 問五 相関係数
1 勿来丸 1.5 3.5 1.5 5 3.5 15 0.687
2 2 4 2 5 2 15 0.822
3 海辺を飛ぶ鳥 3 3 3 3 3 15  
4 駿河の民 2 3 4 5 1 15 0.886
5 鳴子こけし 2.5 2.5 2.5 5 2.5 15 0.827
6 やまやま 1 4 5 2 3 15 0.217
7 高準 3 4 1 5 2 15 0.518
8 白桃 1 2 5 4 3 15 0.652
9 いくさべゆうと 1 2 4 5 3 15 0.852
10 かしわ 2 3 4 5 1 15 0.886
  平均 1.900 3.100 3.200 4.400 2.400 0.946*1  
  標準偏差 0.775 0.775 1.418 1.075 0.876 0.984*2  

金曜夜の開始時間に立ち会えない解答者が複数あり、朝型の出題者にとっても好都合なので、次回の第18回全国のJR駅五番勝負は、土曜の朝開始に変更しようと考えています。次のようなスケジュールになります。

  • 土曜06:00出題
  • 日曜06:00第1回採点、第1ヒント
  • 月曜06:00第2回採点、第2ヒント
  • 月曜18:00-21:00第3回採点、アナグラムヒント解凍(第3ヒント)
  • 火曜06:00終了

ご意見をお聞かせください。6時は勘弁、せめて7時になどのご要望も承ります。

*1:平均の標準偏差

*2:標準偏差の平均

第11回全国の鉄道路線五番勝負(終了)

共通項を発表し、第11回全国の鉄道路線五番勝負を終了します。今回もご参加いただきありがとうございます。問四に不手際がありました。コメントで指摘を受け、非該当路線を想定解に追加しました。

今回問四、問二に難易度が高めの問題を出題しましたが、他の問題も難問化し、第2ヒント提示まで完答者がでないとはまったくの想定外でした。1日目の解答数21よりも2日目の28、3日目の26の方が多いという異例の事態でした。

問題 共通項 想定解数
問一 読みが「い」で始まる路線 37
問二 人口2万人以下の市に駅がある路線 30
問三 村を通過する路線 39
問四 自治体名の読みが包含関係にある2自治体の駅を結ぶ路線
(名称の由来が共通するペアに限る)
36
問五 10文字以上(表記)の駅がある路線 30

全想定解を記載した全国の鉄道路線五番勝負想定解・解説 をこのあと掲載します。想定解の漏れがあれば、ご指摘ください。以下、問題別に。

問一。前回問二(都道府県名を含む路線)の「港」と同じく、旧国鉄転換路線(鉄道建設公団が引き継いだ未成線の新規開業を含む)を並べて迷彩としたが、さすがにすぐ見破られた。転換路線は50以上と想定解数に差があるので、非該当の提示はしなかった。「い」は最多の37路線(相鉄・「いずみ野」線が最新の鉄道要覧で「相鉄いずみ野」線となり外れた)。以下「か」の31、「と」の29、「お」・「た」の28がトップ5。

問ニの人口は、現時点で一覧できる最新版の2022年10月1日の推計人口。駅がある市の中で人口最少の夕張市の石勝線、新幹線で唯一該当するJR東日本北陸新幹線、隣接する尾鷲市と熊野市のJR東海紀勢本線、非JR路線の市で最多人口の伊豆急行線を出題した。第1ヒント前正答なしは想定外だったが、写真ヒントが易かったようで、解答が伸びた。

問三。村にある駅は第5回JR駅五番勝負で出題したことがある(難易度C)。上越新幹線を出題し、駅なし路線も含むことを示した。想定難易度は中程度だったが、写真ヒントの南小谷駅(小谷村)で正答が伸びると思っていた。

問四。表記ではなく読みが一致する自治体ペアとして、富士見市ふじみ野市東上本線を出題した。大阪市東大阪市のペアが4路線で最多。二位は広島市東広島市の3路線(離れているので気が付きにくいが、呉線は両市に駅がある)。非該当の上越新幹線魚沼市を通過する(問三の「駅なしも可」と対比)。ふじみ野駅駅名標(所在自治体を記載)の写真ヒントで正答が続くと思っていたのだが...

問五は、新規開業の宇都宮ライトレールに10文字以上の駅が最多の5駅あることから出題。常磐新線流山セントラルパーク=10文字)と千歳線サッポロビール庭園=9文字)で線引きとした。副駅名付きの駅は「鉄道要覧」記載のものを正式駅名とし、富山港線を出題し、非該当に島原鉄道線を提示した。最長駅名は、富山地鉄・呉羽線のトヨタモビリティ富山Gスクエア五福前(五福末広町)の25字だが、呉羽線は3駅しかなく、出題すると超低難度になってしまうので外した。これもヒント前正答1は想定外。

難易度分析と想定解分析は、後日掲載します。次回は間隔をあけて、1月後半に第18回全国のJR駅五番勝負を開催する予定です。次回もぜひご参加ください。

追記(10月31日):コメントがあった問四の想定解について。初めは、第3ヒントの参考ページ「他の市区町村名を含む市区町村」で想定解が絞り込める、表記の包含関係を考えていた。日立市那珂市ひたちなか市富士見市ふじみ野市など近隣の同じ名称に由来するペアを外したくないので、読みの包含関係に変更し、想定解の漏れはある程度覚悟していた。しかし非該当に提示すべき津市と松阪市のペアなどが意識から抜け落ちていた。

共通項は長くなるが「自治体名の読みが包含関係にある2自治体の駅を結ぶ路線(名称の由来が共通するペアに限る)」に変更する。和歌山線(葛城市とかつらぎ町)は想定解に追加する。