続・IC乗車券の運賃計算経路

8月15日の記事に関連して、読者がメールで興味深いブログ記事を教えてくれた。千葉ニュータウン中央・舞浜間(経由北総鉄道、東松戸、武蔵野・京葉線)のIC定期券を所持する筆者が、東松戸で乗換えず、そのまま北総、京成、都営地下鉄で都内まで乗車する「実験」を行い、そのとき減額された運賃について書いている。前記事で書いた西船橋からメトロ東西線経由の最低廉運賃が、都営地下鉄の駅で乗降したときにも、メトロ都営乗継割引運賃として適用されていることが判明した。

定期券併用によって本来の運賃から39%〜68%減額されている。筆者は、この実験を行うまで都内に行くときは、北総鉄道の高額運賃を回避するために西船橋からメトロに乗車していたが、実験の結果「東松戸から先の北総線に乗り、都内へ出ることへの恐怖心が、かなり薄れてきました。これからも北総線を使い倒す!」と書いている。筆者がこの実験を思い立ったのは、「できるだけ乗らずに済ます北総線」の記事だったという(「できるだけ 乗らずに済ます 北総線」がおしえてくれた、ICカードのカラクリ)。
できるだけ乗らずに済ます北総線同書は、このブログで何度か書いた北総線値下げ裁判の会の編著で、月刊千葉ニュータウンが発行したもの。裁判原告の座談会で、千葉ニュータウン・千葉中央間(経由北総、新鎌ヶ谷新京成京成津田沼、京成)の定期券で通学していた高校生が北総線で都内に行ったときの履歴が京成津田沼から都内だったという発言があり、北総線沿線では知られた運賃節約の手段だったらしい。ブログの筆者は千葉ニュータウン・都営浅草間の例を書いているが、北総・京成・都営の770円*2に対し、減算額京成津田沼(京成)押上(都営)浅草の544円である。
この高校生は新鎌ヶ谷の中間ラッチを通らなくても最安ルートの運賃が引かれることを知った後、千葉中央から新京成経由ではなく、京成高砂経由のノーラッチルートで帰ったことがある。このときは、千葉ニュータウン中央の改札で「定期券のルートと異なります」という表示がでて出場できず、結局京成津田沼京成高砂−新鎌ヶ谷の運賃を取られたという(pp196-198)。定期券の区間外へは、ラッチ通過にかかわらず低廉な運賃が減額されるのに、定期券の区間内駅相互間では経路中にあるラッチを通過しないと、実乗車ルートの運賃が課されるようだ。
IC乗車券の運賃減額ルールでは、乗客が利用しているのに運賃収入が得られない事業者や、逆に利用していなくても運賃の分け前に与る事業者がでてくるが、定期券が絡むと矛盾が一層拡大する。北総鉄道は未収運賃の補填を受けているのだろうか。

*1:原文の42円は間違い

*2:筆者は889円と書いているが、三社割引が反映されていない