8月15日の記事に関連して、読者がメールで興味深いブログ記事を教えてくれた。千葉ニュータウン中央・舞浜間(経由北総鉄道、東松戸、武蔵野・京葉線)のIC定期券を所持する筆者が、東松戸で乗換えず、そのまま北総、京成、都営地下鉄で都内まで乗車する「実験」を行い、そのとき減額された運賃について書いている。前記事で書いた西船橋からメトロ東西線経由の最低廉運賃が、都営地下鉄の駅で乗降したときにも、メトロ都営乗継割引運賃として適用されていることが判明した。
- 押上→東松戸間、北総線経由で¥383!?:都営浅草線押上駅から京成・北総を経由して、定期券区間で下車したとき減額された運賃は、押上・西船橋間の都営メトロ乗継割引運賃の383円。(押上・東松戸間の京成・北総経由運賃は626円)
- チバニュー→白金台間、舞浜〜チバニュー間の定期でいくらか!?:千葉ニュータウン中央からアクセス特急で三田、三田から都営地下鉄三田線というルートで白金台で下車したとき減額された運賃は、西船橋・白金台間のメトロ運賃の278円。(東松戸・白金台間の北総・京成・都営経由運賃は863円)
- 東京メトロ→都営地下鉄の乗り継ぎ―改札という壁:中目黒から日比谷線で東銀座、都営浅草線に乗換えて千葉ニュータウン中央まで。日比谷線東銀座出場時に195円(メトロ運賃)減額、千葉ニュータウン中央出場時に382円(東銀座・西船橋間の都営メトロ乗継割引運賃)減額され、計577円。(中目黒・東銀座・東松戸間のメトロ・都営・京成・北総乗継運賃は947円)
- 北総線使い倒しシリーズ4 東日本橋から新宿線へ:千葉ニュータウンから乗車、東日本橋=馬喰横山で新宿線に乗換え神保町まで。東日本橋で341円(西船橋・東日本橋間のメトロ都営乗継割引運賃)、神保町駅で41円*1(西船橋・神保町間のメトロ都営乗継割引運賃382円との差額)の計382円。(東松戸・神保町間の北総・京成・都営乗継運賃は812円)
定期券併用によって本来の運賃から39%〜68%減額されている。筆者は、この実験を行うまで都内に行くときは、北総鉄道の高額運賃を回避するために西船橋からメトロに乗車していたが、実験の結果「東松戸から先の北総線に乗り、都内へ出ることへの恐怖心が、かなり薄れてきました。これからも北総線を使い倒す!」と書いている。筆者がこの実験を思い立ったのは、「できるだけ乗らずに済ます北総線」の記事だったという(「できるだけ 乗らずに済ます 北総線」がおしえてくれた、ICカードのカラクリ)。
同書は、このブログで何度か書いた北総線値下げ裁判の会の編著で、月刊千葉ニュータウンが発行したもの。裁判原告の座談会で、千葉ニュータウン・千葉中央間(経由北総、新鎌ヶ谷、新京成、京成津田沼、京成)の定期券で通学していた高校生が北総線で都内に行ったときの履歴が京成津田沼から都内だったという発言があり、北総線沿線では知られた運賃節約の手段だったらしい。ブログの筆者は千葉ニュータウン・都営浅草間の例を書いているが、北総・京成・都営の770円*2に対し、減算額は京成津田沼(京成)押上(都営)浅草の544円である。
この高校生は新鎌ヶ谷の中間ラッチを通らなくても最安ルートの運賃が引かれることを知った後、千葉中央から新京成経由ではなく、京成高砂経由のノーラッチルートで帰ったことがある。このときは、千葉ニュータウン中央の改札で「定期券のルートと異なります」という表示がでて出場できず、結局京成津田沼−京成高砂−新鎌ヶ谷の運賃を取られたという(pp196-198)。定期券の区間外へは、ラッチ通過にかかわらず低廉な運賃が減額されるのに、定期券の区間内駅相互間では経路中にあるラッチを通過しないと、実乗車ルートの運賃が課されるようだ。
IC乗車券の運賃減額ルールでは、乗客が利用しているのに運賃収入が得られない事業者や、逆に利用していなくても運賃の分け前に与る事業者がでてくるが、定期券が絡むと矛盾が一層拡大する。北総鉄道は未収運賃の補填を受けているのだろうか。