鉄道事業者の資本関係(3)

続いて第3回は西日本の私鉄及び公営事業者。Gはグループの略。

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関西の近鉄GHD、京阪HD、阪急阪神HDは会社分割で旧鉄道事業者持株会社に移行した。第2回に書いた東急と西武の対比、持株会社のもとに鉄道事業者がぶら下がるか、鉄道事業者の下につくかは、三者三様。京阪は傘下の鉄道事業者をすべて持株会社の下に置く東急型。近鉄は西武型で、近畿日本鉄道が本体から分離した各事業者にそれぞれの第3種事業者とともに出資する。

阪急阪神HDの下には、阪急電鉄阪神電気鉄道と上場会社神戸電鉄が並び、さらに阪神が上場会社山陽電気鉄道などを、阪急が能勢電鉄北大阪急行電鉄などを傘下に置く。旧阪急電鉄が出資していた神戸電鉄は、持株会社化に伴い阪急HDに移行したが、阪神が出資の山陽は、阪神本体とともにグループ入りし、阪神出資のまま継続。旧阪急電鉄出資の能勢電鉄などは分社化した現阪急電鉄に移管された。

神戸高速鉄道には、阪急阪神HD傘下の第2種事業者4社と神戸市が出資している。大阪モノレールへの出資は、近鉄・京阪の持株会社阪急電鉄

富山地方鉄道立山黒部貫光は株式を持ち合い、相互が筆頭株主になっている。本社の所在地も同じで、富山県北陸電力みずほ銀行などが両社の株式を保有している。

大井川鐡道はかつて名古屋鉄道のグループ会社だった*1。2015年北海道のホテル会社エクリプス日高が事業再生支援のスポンサーとなり、増資を引き受けるとともに名鉄から株式を取得、2017年完全子会社とした。

伊勢鉄道の株式を所有している三岐鉄道筆頭株主太平洋セメント。現在も藤原工場(旧小野田セメント)の原料、製品の貨物輸送を行なっている。太平洋セメントは、石灰石の貨物輸送を行っている岩手開発鉄道(旧小野田セメント)と秩父鉄道(旧秩父セメント)の筆頭株主でもある。

*1:1996年の「鉄道要覧」によると持株比率6.93%