鉄道事業者の資本関係(2)

 


鉄道事業者間の資本関係の第2回は東日本の私鉄及び公営事業者。

第1回と同様社名の太字は鉄道事業者(*は貨物専業、**は第3種事業者)、水色の網掛けは上場会社。地方公共団体は、鉄道事業者のみ記載。%は持株比率で赤は過半数所持、青は筆頭株主を示す(比率は「鉄道要覧」記載の2021年3月31日現在の数字。富士急行関連と非鉄道事業者の持株比率はウェブで検索した)。

持株会社制をとっているグループで、複数の鉄道事業者持株会社のもとにぶら下がる形態と、主たる鉄道事業者が他の鉄道事業者の株式を保有する形態とがある。東急は前者で、持株会社東急の下に東急電鉄伊豆急HDなどが並ぶ形。各社の株式を所有していた旧東京急行電鉄持株会社に移行した後も、そのままである。西武は、西武鉄道伊豆箱根鉄道近江鉄道の株式を保有。株主が国土計画から西武HDに変更になっただけで、西武鉄道自体の法人格は変更がない。

富士急行は、伊豆箱根鉄道が会社分割した十国峠の子会社化、富士山麓電気鉄道の分社化を記載した。岳南電車の親会社の岳南鉄道も、伊豆箱根鉄道の前身である駿豆鉄道が出資し設立した。岳南鉄道への出資比率25.5%は富士急行本体によるもので、ピカ、富士急トラベル、富士急静岡タクシーなどグループ各社の出資を併せると80%を超える。

みちのりHDは、経営不振の地方交通企業に出資し、再建をになう持株会社岩手県北バス、会津バス茨城交通などバス会社が傘下にあり、最近東証スタンダード市場上場の佐渡汽船に出資した(Kabutan市場ニュース)。

追記(4月17日):コメントをいただき、小田急の相鉄HDに対する出資を記載し、相関図を更新した。

小田急が相鉄の株式を所有しているという記憶はあったが、「鉄道要覧」は鉄道事業者の主要株主しか記載しておらず、相鉄HDの株主構成のチェックを怠っていた。なお、小田急の持株比率は徐々に低下している。2021年3月21日の日経記事は、小田急持株比率が20年11月の5.81%から4.38%に低下したと報じている。手元にある1996年版「鉄道要覧」によると、1996年3月31日現在の旧相模鉄道に対する小田急の持株比率は7.06%だった。