2021年春のJR旅規等の改定予想

JR東海JR九州及びJR北海道が昨年春のダイヤ改正に伴う旅規改定を公告した*1のは、それぞれ2月13日、2月10日、2月10日だった。例年どおりなら今年もあと10日ほどかかるだろう。その前に2021年3月13日施行の改定内容を予想してみる。

旅客制度に影響を及ぼす路線や駅の新設等がなく、今年の旅規改定はそれほど多くないだろう。未指定特急券が発売される特急「湘南」が別表第1号の2(列車群)に追加されるくらいではないか。昨年3月の改定の首都圏の普通列車グリーン車乗継規定のように、基準規程から旅規に格上げとなる条項があれば、大歓迎だが。

むしろ、本州3社のIC乗車券規則の改定がメインになると思われる。1月19日3社が連名でリリースした、東海道・山陽新幹線に係る在来線および新幹線におけるIC定期券のサービス向上についてが各社の規則に規定され、大幅な改定となるだろう。2019年9月20日の3社連名リリースの予告が実現したもので、新サービスは、次の3点。

  1. 各社のサービスエリアをまたぐ在来線定期券をICカードで発売
  2. 新幹線定期券「FREX」・「FREXパル」をICカードで発売
  3. 在来線ICカード定期券による「新幹線乗車サービス」の利用可能区間を拡大

1.に伴い、TOICAのサービスエリアを熱海、国府津米原まで、ICOCAのサービスエリアを亀山まで拡大する。 ただし、サービスエリアをまたがり、かつ定期券区間外を乗車する場合は、自動改札機を利用できない。

2.は東海道・山陽新幹線(東京・新岩国間)の新幹線駅相互間及び新幹線と在来線を含む区間のIC定期券を、運賃計算キロ300キロの範囲内で発売するもの。現在新幹線IC定期券は、JR東日本が東北・上越北陸新幹線で発売している「Suica FRRX」・「Suica FREXパル」だけだが、各社が東海道・山陽新幹線で自社のICカードで発売する。自社の在来線が定期券の区間に含まれる場合発売するので、御茶ノ水・沼津間などSuica定期券で東海道新幹線に乗車できることになる。

3.は現在三島・岐阜羽島間に限られているTOICA定期券での新幹線自由席乗車(自由席特急料金をSFから減額。JR東海ICカード乗車券約款35条の2)を東京・新岩国間に拡大する。

現在発売されている磁気券「FREX」・「FREXパル」は、旅規35条、36条の規定にかかわらず300キロまでの区間に発売されており*2、旅規の規定外の制度で、単行規程も公開されていない。東海道・山陽新幹線IC定期券が発売されることを機に、旅規35-37条が改定されるかもしれない。

またJR東日本の「Suica FREX」・「Suica FREXパル」は、ICカード乗車券取扱規則に規定されていない*3が、これもJR東日本ICカード規則に規定されるのではないか。

追記(2月2日):3.の在来線IC定期券での新幹線乗車は、JR東日本でも新幹線停車駅が2駅以上含まれるSuica定期券で可能である*4JR東海と異なり、JR東日本ICカード乗車券取扱規則はこれを規定していない。定期券用新幹線自由席回数券の設定がある区間については、通常の自由席特急料金を割り引いた、「Suica定期券用特急料金」(回数券の1枚当たりの金額と同額)が設定されており、新幹線IC定期券「Suica FREX」・「Suica FREXパル」とともに約款に規定すべきだろう。

*1:JR東日本は、2020年度から改定公告をウェブに掲載

*2:基準規程54条は、(2011年以降改定されていなければ)旅規37条(制限距離を超える定期乗車券の発売)を参照し、「200kmを超える定期乗車券については、これを必要とする事由を記載した長距離定期乗車券購入申込書を提出させる」としている

*3:26条3項の「別に運送条件を定めたSuica定期乗車券」に該当すると思われるが、運送条件は通達等に委ねられている

*4:このページの新幹線利用可能区間の地図は、上越妙高まで含まれているが、これは「Suica FREX」のページの地図を転用した間違い。安中榛名以遠は並行在来線がなく、在来線のSuica定期券は存在しない