JR西日本ICカード乗車券エリア拡大

JR西日本ICカード乗車券の取扱いエリアを拡大している。7月15日から紀勢本線和歌山・和歌山市間に導入、和歌山市駅を接続駅とする南海とのIC連絡定期券も同日から発売開始した。
10月6日には、2018年春、和歌山線大和新庄・五条間にICOCAを導入すると発表した(リリース)。これに伴い、

和歌山駅7・8番のりば(和歌山線和歌山市駅方面ホーム)に、阪和線きのくに線との「のりかえ改札機」を2018年春(予定)に設置いたします。和歌山線和歌山市駅方面からお越しのお客様、これから和歌山線和歌山市駅方面をご利用のお客様につきましては、「のりかえ改札機」にて和歌山駅までの運賃を確認いたしますので、金額が不足している場合は乗り越し精算をしていただく必要があります。

とのこと。和歌山線大阪近郊区間内だから、和歌山駅までの運賃が目的地駅までの運賃よりも高くなることがある。金額が不足している場合でも、改札機にタッチさせて「乗り越し精算していただく」ことにはならない。どんな取り扱いになるのだろう。
JR西日本は、ICカード乗車券の相互利用の拡大も進めている。9月28日、高松琴平電気鉄道と「IruCa」エリアに(リリース)、広島電鉄広島高速交通広島県バス協会と「PASPY」エリアに(リリース)、それぞれ来春からSuicaなど10交通系ICカードの全国相互利用サービスを導入すると発表した。現在は、PASPYエリアでICOCAのみ利用可能である。
追記(10月9日):中間改札と乗り越し精算がセットの舌足らずなリリース文に過剰反応せずに、鶴見駅鶴見線中間改札機を思い浮かべればよかった。ICカード乗車券でタッチしても自動改札機の画面に鶴見駅到着時点のSF残額が表示されるだけで、入出場などの情報は書き込まれず、下車駅の簡易改札機にタッチして運賃が引き落とされる。浜川崎で南武支線に乗り継ぐ旅客には、簡易改札機にタッチしないようにとの注意書きがあり、近郊区間のう回乗車にも対応している。
コメントにあった加古川、姫路の中間改札機は、鶴見駅と同様入出場などの情報を書き込んでいないと思われる。ICOCAエリア内駅(加古川線西脇市まで、播但線寺前まで、姫新線播磨新宮まで)で下車する旅客は、下車駅の簡易改札機にタッチさせ、西脇市などより先のICOCAエリア外で下車する旅客には乗車券への変更を誘導しているのだろう。これにより、大阪近郊区間加古川線の通過旅客にも対応している。
和歌山線は、現在ICOCAエリアではなく、和歌山・五条間は来春以降もICOCAエリア外なので、加古川、姫路のICOCA中間改札機とは性格が異なる。ワンマンカーの運転手の負担軽減のために、乗車券への変更誘導は今すぐ実施すべきだろう。
追記2(10月18日):JR西日本は2018年夏、ICOCAエリアをさらに拡大する(10月18日リリース)。
山陽本線相生・和気間、赤穂線播州赤穂・長船間、北陸本線近江塩津大聖寺間に導入し、近畿圏と中国圏、北陸圏のエリアがつながり、一体化する。それに先立ち、2018年春から利用できる距離を200キロに制限する。ただし、大阪近郊区間内相互発着、在来線特急列車停車駅相互間及び大阪近郊区間内の駅と特急列車停車駅相互間は200キロを超えても利用可能。
この距離を制限する理由はなにか。いわきから松本まで400キロを超えるJR東日本の首都圏エリアには制限がないから、システム的に対応できないというわけではないだろう。
追記3(10月19日):10月18日のリリースは、もう1件あった。2019年春には、境線に車載型IC改札機(ICカードリーダー)を導入する(リリース)。
車載型ICカードリーダーは、主として路面電車に設置されている(10月11日の富山ライトレールの信用降車参照)。富山地方鉄道は、鉄道線の車両にも設置し、無人駅から乗降する旅客にタッチするよう、案内している(カードのご利用方法)。
Wikipediaによると、ICOCAの発行枚数は2017年7月現在約1570万枚。これに対しSuicaは2015年3月末で5070万枚あった。この著しい格差がJR西日本が精力的にICOCAエリアを拡大している背景にあるのだろう。