しなの鉄道北しなの線

信濃毎日新聞12月4日の記事によると、しなの鉄道北陸新幹線の延伸開業によってJR東日本から分離移管される信越本線の長野・妙高高原間を北しなの線として事業許可申請をする。これで花輪線好摩と同様、飯山線が豊野でJRのネットワークから孤立することになる。
1997年10月の北陸新幹線長野開業にあたって、信越本線篠ノ井・長野間はしなの鉄道に移管されず、しなの鉄道の列車がJRに乗り入れている。ドル箱区間がJRに残ったことが、しなの鉄道の経営が苦しい理由の一つとされている。その後の整備新幹線開業ではこのやり方が改まり、盛岡・好摩間はIGRに移管され、花輪線の列車がIGRに乗り入れることになった。今回の長野・豊野間はこれを踏襲して、JR飯山線の列車がしなの鉄道に乗り入れることになる。盛岡・好摩間と同様、青春18きっぷなどでは乗車できない。
整備新幹線開業に伴う在来線の経営分離は、新幹線とローカル線の両方を所有運営することになるJRの負担を軽減する措置である。しかし、運行実態を離れてしゃくし定規に鉄道ネットワークを分離するのは問題である。新幹線は飯山を経由するのに、飯山線豊野・飯山間がJRに残るというのも矛盾している。
JRのネットワークを維持し、移管を受ける第3セクターの利益も損なわないためには、鉄道事業法の第2種事業者の制度を活用すべきだと思う。篠ノ井・豊野間や盛岡・好摩間は、JRが第1種事業者として路線を保有・運行し、第3セクターも第2種事業者として運行する方式である。伯備線井原鉄道の清音・総社間や、七尾線のと鉄道の七尾・和倉温泉間に前例がある。第3セクターは、第2種事業者としてこの区間の運賃収入を得ることができる。JRに支払う線路使用料は旅客会社とJR貨物のようにアボイダブルコスト方式とすれば、自社で線路を保有するのとくらべ負担にならない。北陸新幹線金沢延伸開業に伴う経営分離では、七尾線からの直通列車がある津端・金沢間も同様の取扱いをすべきだと思う。
信濃毎日の記事では「運賃は篠ノ井―軽井沢間のしなの鉄道線と同一とする方針」とのことだが、北しなの線しなの鉄道線とにまたがって乗車するときは、初乗り運賃の負担が大きくなる。この軽減のためには、JRを介した通過連絡運輸を実施する必要があるが、どうなるだろうか。逆のしなの鉄道を介した飯山線から篠ノ井線の通過連絡運輸は、これまでの例から実施されるだろう。