第三セクター鉄道等協議会は、鉄道事業者41社が加入する団体である。会員資格は
(1)日本国有鉄道経営再建特別措置法に基づいて、地方交通線若しくは、国鉄新線を引き受けた鉄道事業者
(2)整備新幹線開業に伴い、JR旅客鉄道株式会社から分離される並行在来線を引き受け、又は、引き受ける予定の鉄道事業者で、入会を希望する鉄道事業者
法律の正式名称は日本国有鉄道経営再建促進特別措置法(昭和55年法律第111号)。 地方交通線は、同法8条で「運営の改善のための適切な措置を講じたとしてもなお収支の均衡を確保することが困難であるものとして政令*1で定める基準に該当する営業線」と定められ、そのうち旅客輸送密度4,000人/キロ以下(代替道路なしなどの除外条件あり)の路線(日本国有鉄道経営再建促進特別措置法及び同施行令における地方交通線及び特定地方交通線について)が「特定地方交通線」に指定され、バス転換すべきものとされた。一方、同法12条に
日本国有鉄道は、日本国有鉄道法第四十五条第一項の規定にかかわらず、地方交通線の貸付け又は譲渡を受けて地方鉄道業を営もうとする者に対し、政令で定めるところにより、当該地方交通線を貸し付け、又は譲渡することができる。
と、地方鉄道による特定地方交通線の鉄道継続の余地を残した。
また、同法14条から16条に日本鉄道建設公団(現鉄道建設・運輸施設整備支援機構)が建設中の「国鉄新線」のうち、完成後国鉄が経営した場合特定地方交通線の基準に該当すると認められる路線について、地方鉄道法に基づく免許の付与、建設後の地方鉄道業者に対する貸付・譲渡が規定された。これらの地方鉄道はほとんど第3セクターとして設立された*2。
会員区分(1)は34社あり、うち地方交通線を引き受けた事業者が28社。高千穂鉄道、北海道ちほく高原鉄道、神岡鉄道、三木鉄道は路線廃止により退会した。28社のうち、三陸鉄道、秋田内陸縦貫鉄道、阿武隈急行、樽見鉄道、愛知環状鉄道、北近畿タンゴ鉄道*3、土佐くろしお鉄道は、その後路線を延伸または新線を開業した。「国鉄新線」事業者は鹿島臨海鉄道、野岩鉄道、北越急行、智頭急行、井原鉄道、阿佐海岸鉄道*4の6社ある。
会員資格(2)の整備新幹線並行在来線転換事業者の会員は、青い森鉄道*5を除く7社。
整備新幹線並行在来線のJRからの経営分離は法律ではなく、政府与党合意に基づく。1990年12月24日の整備新幹線着工等についての政府・与党申合せで「建設着工する区間の並行在来線は、開業時にJRの経営から分離することを認可前に確認すること」とされ、1996年12月25日の政府・与党合意整備新幹線の取扱いについてで「具体的なJRからの経営分離区間については、当該区間に関する工事実施計画の認可前に、沿線地方公共団体及びJRの同意を得て確定する」とされた。
旧東海道本線西臨港貨物線を運行する名古屋臨海高速鉄道や鉄道建設公団が建設した東京臨海高速鉄道、首都圏新都市鉄道も第3セクターの鉄道事業者であるが、経営再建促進特別措置法の対象ではないので協議会の会員になっていない。