消費税率引き上げに伴う運賃改定

JR各社は12月12日、来年4月1日の消費税増税に伴う鉄道事業者の運賃認可申請を行った。鉄道事業法16条1項に基づく上限運賃の変更についての国土交通大臣に対する認可申請である。
JR東日本の申請は、従来から報じられていたように、ICカード乗車券運賃を1円単位に、券売機等の運賃を10円単位とする。10円単位の現金運賃は、山手線、電車特定区間及び東京地区の特定区間内相互発着は切り上げるが、それ以外は四捨五入によることにしたため、現金初乗り運賃はすべて140円に統一され、幹線運賃は1-3、16-20、31-35、46-50、51-60キロなど多くのキロ帯において、ICカード運賃が現金運賃よりも高くなる。
11月29日の記事で紹介した国土交通省の指針「ICカード1円単位運賃が常に「現金運賃以下」となることを基本とする」は実現しなかった。これは、すべての区間で切り上げとすると、増税分以上の値上げとなることに配慮したものだろう。JR東日本は、切り上げとなる電車特定区間等の運賃について、

上記の改定によりますと改定率が超過するため、山手線、電車特定区間及び東京地区の特定区間内相互発着となる場合に適用する定期旅客運賃の改定率を低減することにより調整します。

としている。
JR東日本は、電車特定区間の路線図を示して記者会見したようだが、マスコミ報道においてその範囲が不適切である。読売

山手線内や大宮駅(埼玉県)以南、大船駅(神奈川県)以北など、ICカードの利用率が約8割に上る首都圏の一部地域

とあり、大船以南の横須賀線が漏れている。また朝日は、

この範囲では、どこから乗ってもIC乗車券の運賃が切符以下になる

電車特定区間を都区内からの同心円図で示している。横須賀線は正しく表示されているが、鶴見線が含まれているのに、より重要な中央線、青梅線五日市線が抜けている。「武蔵野線(全駅)西船橋」というのも意味不明である。電車特定区間などになじみのない非鉄の記者のために、JR東日本は複雑な路線図に代えて、適切な同心円図で電車特定区間の範囲を表示すべきだったと思う。