国鉄旅規改訂履歴1958-1987更新

「旅規ポータル」の国鉄旅規改訂履歴1958-1987(条項順)・(日付順)の乗車券類様式の画像の追加が1970年から1975年まで進んだ。全体のほぼ5分の4が完了した。
2月23日の記事に書いたように、筆者は乗車券類に記載された利用条件に興味を覚える。今回は特別補充券や特殊指定共通券(マルス券)の裏面に記載された、特定都区市内発着の乗車券の途中下車に関する注意事項の変化を紹介する。
1958年10月1日の全面改正時の旅規156条(途中下車)第3号は、

第156条 旅客は、旅行開始後、その所持する乗車券によつて、その券面に表示された発着区間内の着駅以外の駅に下車して出場した後、再び列車等に乗り継いで旅行することができる。但し、次の各号に定める駅を除く。
(3) 第86条又は第87条の規定によつて発売した乗車券を使用する場合は、乗車券面に表示された東京都区内、大阪市内又は東京電車環状線内にある駅

で、都区市内の数が増加し、東京電車環状線が山手線に変わっただけで、現行規定と同じである。しかし、様式の注意事項は次のように変化した。
1958年10月1日の旅規は、第226条(車内補充券の様式)第1号第1種様式裏面に「注意」として、次のとおり記載していた。

東京都区内・大阪市内又は東京電車環状線内発又は着のものは、同一の都区内・市内又は環状線内で途中下車できません。

その後、64年10月1日の改定で、横浜・新横浜間が追加され、68年10月1日には「注意」が「ご案内」となったが、「途中下車できません」は変更なかった。これが現在のようになったのは、モノクラス制を実施した1969年5月10日の改定で、特定都区市内を6都市に拡大したときである。

発駅又は着駅が、東京都区内、横浜市内・川崎・鶴見線内、名古屋市内、京都市内、大阪市内、神戸市内又は東京電環と表示されている場合は、その区間内にある国鉄線各駅で乗車又は下車できますが、これらの各駅で下車したときは、前途は無効となります。

その後、72年9月1日に札幌など5市が特定都区市内に追加され、東京電車環状線が山手線に変わり、現在に至っている。
「前途は無効となります」は、車内補充券のご案内が採用する以前から、特殊指定共通券(マルス券)で使用されていた。特殊指定共通券は、1964年2月1日旅規第223条の2に登場したが、乗車券・特急券一体型が発売されるようになった65年10月1日改定で「ご注意」として、

発駅が、東京都区内、大阪市内、東京電環又は横浜・新横浜間となっている場合には、その区間内にある国鉄線各駅から乗車できますが、これらの各駅では途中下車できません。
着駅が、東京都区内、大阪市内、東京電環又は横浜・新横浜間となっている場合には、その区間内にある国鉄線各駅で下車できますが、前途は無効となります。

と記載された。その後、68年10月1日に「ご案内」となり、

発駅又は着駅が、東京都区内、大阪市内、東京電環又は横浜・新横浜間となっているときは、その区間内にある国鉄線各駅で乗車又は下車できますが、これらの各駅で下車したときは、前途は無効となります。

と変更になった。1969年5月10日に車内補充券と同じ表現になり、現在に至っている。
現行の旅規第222条の2(特殊共通券の様式)第1号ロの様式は、東京都区内から京都市内の片道乗車券であるが、券面に「東京都区内途中下車禁止/京都市下車前途無効」と表示されている。一方、223条(特殊指定共通券の様式)第4種のマルス券、東京都区内から名古屋市内の片道乗車券は、「券面表示の都区市内各駅下車前途無効」である。前者は、65年10月1日の特殊指定共通券の表現と一致し、後者は68年10月1日の改定後の表現であるが、なぜ両者が混在しているのだろう。
本日の更新では、リンク集JR東海の旅客連絡運輸規則、ICカード連絡運輸運送約款などを追加した。連絡運輸の範囲を示す「別表」も掲載されている。