特定都区市内等着の乗車券の区間変更

10月23日の記事に対するコメントで、所持する乗車券の運賃と同額の駅までの乗越しに関するJR東日本の特例、具体的には三島→東京山手線内の乗車券で武蔵境に乗り越す場合の取扱いについて紹介があった。使用開始後の乗車変更の本則は旅規249条であり、特定都区市内等着の乗車券については基準規程275条に次の規定がある。

(特定都区市内等に関連する乗車券で区間変更をする場合の旅客運賃の計算方)
第275条 特定都区市内又は東京山手線内着若しくは発の乗車券を所持する旅客が、区間変更の取扱いを申し出た場合は、次の各号に定めるところにより旅客運賃を計算するものとする。
(1) 規則第249条第1項第1号に規定する区間変更の取扱いをする場合は、変更する着駅の方向の駅に関連するそれぞれの特定都区市内又は東京山手線内の出口となる駅着のものとして取り扱う。
(例) 仙台発横浜市内着の乗車券を所持する旅客が、豊橋まで区間変更を申し出たときは、戸塚(横浜市内の出口の駅)・豊橋間(普通旅客運賃は規則第86条の規定により横浜・豊橋間)の普通旅客運賃を収受する。この場合、北九州市内又は福岡市内着の乗車券を所持する旅客が、小倉・博多間を新幹線に乗車する区間変更の取扱いを申し出たときは、北九州市内又は福岡市内の出口の駅からの営業キロ又は運賃計算キロによつて普通旅客運賃を計算するものとする。
(2) 規則第249条第1項第2号及び第3号に規定する区間変更の取扱いをする場合は、原乗車券の着駅又は発駅を当該特定都区市内又は東京山手線内の中心駅着又は発のものとして取り扱う。
(例) 下関発東海道本線経由東京都区内着の乗車券を所持する旅客が、金山から中央本線経由に変更を申し出たときは、金山・東京間の東海道本線経由と中央本線経由の区間変更として取扱いをする。

基準規程275条1号は「規則第249条第1項第1号に規定する区間変更の取扱いをする場合」の規定である。例示されている、仙台発*1横浜市内着の乗車券で豊橋まで区間変更する場合は明らかに旅規249条1項1号の「着駅又は営業キロを、当該着駅を超えた駅又は当該営業キロを超えた営業キロへの変更」にあたる乗越しだが、三島→東京山手線内の乗車券で武蔵境まで乗車することが乗越しにあたるのか、という疑問が生じた。
三島→東京山手線内の乗車券の運賃計算経路は、三島・品川・東京間であるから、旅規249条1項2号の「着駅を、当該着駅と異なる方向の駅への変更」という解釈も可能ではないか。それなら249条2項1号イ(ロ)に基づき、新宿・武蔵境間の運賃ではなく、品川・東京間の運賃と品川(新宿)武蔵境間の運賃の差額を収受することになる。三島→東京山手線内の乗車券で新宿から中央線方面に区間変更する場合、1号の乗越しか、2号の方向変更かによって、収受額は次のように差がでる。方向変更の方が安いか、または同額なのである。

着駅1号2号
大久保14050
東中野14050
中野16050
高円寺160140
阿佐ヶ谷170140
荻窪170140
西荻窪220220
吉祥寺220220
三鷹220220
武蔵境310300
このような問題があるから、2011年11月16日の記事に書いたように、すべての区間変更を発駅からの運賃差額計算に変更すべきというのが私の考えである。
三島→東京山手線内の乗車券の武蔵境までの区間変更を乗越しとして扱う明確な規定があれば、ご教示願いたい。ただし、その規定が基準規程ないし内部通達であれば、旅客にとって不利な契約条項を約款以外で規定するという点で、有効ではないと思う。

*1:原文のまま