JR発足時の旅規

デスクトップ鉄のデータルーム別館に、1987年4月JR発足時の新会社の旅規を掲載した。この更新にあわせて、JR・公営鉄軌道企業の約款サイトへのリンクを掲載し、僭越ながら、「旅規ポータル」と名乗ることにした。
新会社の旅規は、「国鉄」が「当社」または「旅客鉄道会社」に、「国電区間」が「電車特定区間」に変更になった程度で、1987年3月27日に改定された国鉄最後の旅規をほぼ踏襲している。しかし、民営化が旅客会社の地域分割を伴ったことによって、二つの条項が挿入された。
一つ目は第14条の3。旅客会社を地域分割しても運賃は通算するという、政府の公約に基づく措置である。

(他の旅客鉄道会社線を通じて連続乗車する場合の営業キロ、賃率換算キロ又は運賃計算キロの通算)
第14条の3 当社線と他の旅客鉄道会社線を通じて連続乗車する場合の営業キロ、賃率換算キロ又は運賃計算キロは、旅客の乗車船区間に対し、前2条の規定を適用して計算したものによる。
2 前項の規定による営業キロ、賃率換算キロ又は運賃計算キロは、旅客運賃・料金の計算その他この規則に定める取扱いをする場合に適用する。

この条項は、三島会社の運賃値上げ時に、「擬制キロ」が付け加えられ第14条の4に移転して現在も存在する。
もう一つ、第263条の2が新幹線と並行在来線の事業者が異なる区間の運賃精算の目的で、挿入された。

(新幹線に乗車する場合の特殊取扱)
第263条の2 第16条の2第1項第1号に規定する線区に有効な乗車券を所持する旅客のうち、熱海・米原間及び新大阪・新下関間相互発着となる乗車券以外の乗車券であつて、新幹線以外の線区を有効とする乗車券(別に定める乗車券に限る。)を所持する旅客が新幹線に乗車する場合は、乗車の際係員が交付する新幹線振替票を所持するものとする。
2 前項の規定により交付した新幹線振替票は、新幹線下車の際、係員に引き渡すものとする。
3 新幹線振替票の様式は、別に定める。

新幹線と在来線−同一路線扱いの虚構と矛盾で書いたように、新幹線振替票は、交付洩れ・回収洩れが多発して機能しなかったようで、1年後の1988年4月1日の改定で旅規から削除された。