市区町村名と駅名(1949年)更新

データルームの市区町村名と駅名(1949年)を更新した。6月19日の記事のコメントでNさんから市町村変遷の誤記の指摘を受けたが、その後も廃止路線の駅などを綿密にチェックしていただき、5カ月間10数回にわたりメールのやり取りが続いていた。「一旦これで一段落」ということで、あらためてここで紹介することにした。

国鉄駅については「停車場変遷大事典 国鉄・JR編」(JTB、1998)(以下大事典)が情報源。私鉄駅は、「鉄道廃線跡を歩くⅡ」(JTB、1996)の巻末に記載の「全国廃線私鉄の停車場一覧」を参考にしたが、掲載されている事業者が限られていた。「新・鉄道廃線跡を歩く1-5」(JTB、2010)各巻末の「国鉄・私鉄の廃線停車場一覧」は、掲載当時未見だったが、掲載社数がかなり増え参考になった。

私鉄の現存駅が1949年当時当時所在していた市町村については、国立情報学研究所歴史的行政区域データセットβ版によったが、β版としているだけに、境界変更などに対応していないものも散見された。廃止駅についてはNさんから紹介を受けた今昔マップが、新旧の地形図を左右に対照表示していて参考になったが、掲載している地域が限られている。

私鉄の路線名は不明な点が多い。国鉄の線路名称が公示され官報にも掲載されたのに、私鉄で路線名の改称を公表している会社は少ない。私鉄史研究の第一人者、和久田康夫氏の「私鉄史ハンドブック」にも事業者名の変遷と区間の表示はあるが路線名は記載されておらず、私鉄の路線名は信頼できる資料がない。

国土交通省鉄道局「鉄道要覧」記載の路線名が資料になるが、前身の運輸省鉄道監督局監修「私鉄要覧」が刊行されたのは、昭和45年度版(1970/03/31現行)が最初。それ以前の変遷は一般刊行書ではわからない。今年の「鉄道要覧」は相鉄の本線・いずみ野線がそれぞれ相鉄本線相鉄いずみ野線と変わっているが、路線名の改称は公表されておらず、改称時期は不明。

自治体の境界変更(一部の分離編入)も注意を要す。大事典によると、札沼線の北龍駅の所在地は開業時の1931/10/10が雨竜郡北竜村、営業休止から再開した1956/11/16が雨竜郡沼田町。この間駅は移転していない。これは、「市町村名変遷事典」(東京堂出版、1990)に「昭18.4.1一部を雨竜郡沼田村に分離・編入」と記載があり解決した。ほかにも、1949年当時名取郡秋保村にあった仙山線奥新川駅が1955年4月1日大字新川が宮城郡宮城村に分離編入され、宮城村所在となったなどの例がある。

Nさんにはこれまでのご協力を感謝します。まだ誤記や漏れがあると思うので、気が付いた方はお知らせください。