JR東海ICカード乗車券運送約款

JR東海ICカード乗車券運送約款の改正が3月3日付で公告された。JR西日本のサイトでも、3月13日から適用されるICカード乗車券取扱約款が2月1日現行版に加え、3月6日版及び3月20日版とともに掲載されていた。

東海道・山陽新幹線のIC定期乗車券に係る新サービスについて、両社とも約款で規定している。JR西日本は新旧対比形式でないので、改定箇所をまだ詳細にチェックしていない。以下JR東海約款を紹介する。

JR東海JR東日本JR西日本にまたがる定期券の発売については、第7条(利用エリア)に第3項が追加された。

第1項の定めにかかわらず、第32条第2項又は第3項の規定により発売する定期乗車券は、その券面表示区間内の駅においてご利用できます。

32条第2項は新設条項。

前項により、他の鉄道会社線にまたがるTOICA定期券を発売する場合は、当社線の経路及び区間が利用エリア内の駅を2以上含み、かつ東日本旅客鉄道株式会社又は西日本旅客鉄道株式会社(ただし、西日本旅客鉄道株式会社においては身体障害者規則及び知的障害者規則による割引の定期乗車券を除きます。)の旅客鉄道会社線発、着又は通過となるものに限ります。

第3項は従来の第2項(連絡定期券の条項)だが、近鉄愛知環状鉄道に加え、小田急伊豆急行との連絡定期券が追加された。また、第8項(旧第7項)でTOICA定期券の発売区間が300キロ以内と明記された。TOICAによる新幹線定期券「FREX」・「FREXパル」の発売については、詳細規程がない。

在来線TOICA定期券による新幹線乗車については、第35条の2(TOICA定期券による新幹線乗車)で、第1号が東海道本線東京・神戸間全線の新幹線停車駅相互間に拡大され、第2号として山陽本線神戸・福山間の新幹線停車駅相互間が追加された。また、在来線と新幹線の駅が異なる区間について、従来の三島・富士(新富士)間、富士(新富士)・静岡間、名古屋・岐阜(岐阜羽島)間に加えて、東海道本線品川・横浜線新横浜間(東神奈川経由)、横浜線新横浜・東海道本線小田原間(東神奈川経由)、東海道本線岐阜・米原間、東海道本線新大阪・神戸間、山陽本線神戸・西明石間、山陽本線福山・尾道間の在来線定期券で、それぞれ新幹線品川・新横浜間、新幹線新横浜・小田原間、岐阜羽島米原間、新大阪・新神戸間、新神戸西明石間、福山・新尾道間に乗車できることが規定された。

また注2として以下が追加された。

東海道本線小田原以遠(早川方面)の各駅と品川以遠(高輪ゲートウェイ又は大崎方面)の各駅との相互間を券面表示区間とするTOICA定期券にて、東海道本線(新幹線)新横浜において乗車又は降車することができます。

品川・新横浜間及び新横浜・小田原間はJR東日本に関連する事項だが、JR東日本のIC乗車券取扱規則には規定がない。Suica定期券では、新幹線乗車を認めないということか 。

リリースでは、在来線定期券による新幹線乗車可能区間東海道・山陽新幹線(東京~新岩国間)となっていた。TOICA約款では新尾道までなのは、定期券の発売区間が300キロまでだからだろうが、倉敷で米原から300キロを超え、中途半端だ。なお、JR西日本ICカード乗車券取扱約款別表9では、在来線定期券の発売区間は原(米原から313.1キロ)まで、別表10の新幹線乗車区間は、富士(新富士)から岩国(新岩国)までとなっている。

追記1(3月6日):TOICA定期券とICOCA定期券の発売区間がそれぞれ尾道新尾道)までと原までである理由がわかった。JR東海の新幹線駅2駅を含む京都・尾道間が297.7キロ、JR西日本の最遠駅亀山の一つ手前の関から原までが298.8キロで、ともにぎりぎり300キロ以内だった。

追記2(3月7日):コメントにあったTOICA約款に「フレックス」の規定がないのは、JR西日本も同じ。300キロ以内という制限も規定されていない。3社ともIC乗車券約款に規定しないのなら、単行規程を公開すべきだろう。

TOICA約款の 「新幹線」の定義は、「東海道本線(新幹線)」だから山陽新幹線は新大阪・新神戸間しか含まない。たしかに「東海道本線(新幹線)及び山陽本線(新幹線)新神戸新尾道間」とする必要があるだろう。ICOCA約款は「新幹線」を定義していない。しかし、30条の2(新幹線乗車)で「第29条第1項から第4項の規定により発売した新幹線(北陸新幹線を除きます。以下同じ。)停車駅相互間を券面表示区間に含むICOCA定期券」とし、第29条第3項で「別表8に定める他の旅客会社線」とJR東海に限定しているので、東海道新幹線山陽新幹線であることがわかる。

別表11(ICOCA定期券のSFから減額する新幹線自由席特急料金)では、新神戸から300キロ以内の豊橋までの料金を規定しているが、追記1で書いた関・原間のICOCA定期券で東海道新幹線に乗車する場合のように、JR西日本JR東海区間にまたがらないときは、第42条(他社線内における取扱範囲等)で「他社線内におけるICOCA乗車券による旅客の運送等についてのサービス内容とご利用条件は、当該相互利用他社等の定めるところによります。」により、TOICA約款の規定が適用されるのだろう。