1個の急行列車とみなして発売する急行券

一昨日更新したJR's Rule on Passenger Ticketsを書いていて気になったことがある。1個の列車に1枚の急行券というのが旅規の大原則であるが、旅規第57条第2項に「1個の急行列車とみなして発売する急行券」の例外規定がある。新幹線については、第1号で

東京・新青森間、大宮・新潟間及び高崎・金沢間の新幹線の2個以上の特別急行列車に乗車する場合であつて、駅において出場しないで乗継ぎとなるとき。ただし、大宮駅又は高崎駅で乗継ぎとなる場合であつて別に定めるときを除く

とあり、東海道・山陽・九州新幹線については、同条第7項に

第1項本文の規定にかかわらず、旅客が東京・博多間及び博多・鹿児島中央間の新幹線の2個以上の特別急行列車に乗車する場合(のぞみ号又はみずほ号(以下これらを「のぞみ号等」という。)を乗り継いで乗車する場合及びのぞみ号等とのぞみ号等以外の新幹線の特別急行列車とを乗り継ぐ場合を含む。)であつて、駅において出場しないで乗継ぎとなるときは、全区間に対して別に定める特別急行料金により1枚の特別急行券を発売することがある。(後略)

と定めている。一方東北新幹線の「はやぶさ」・「こまち」とそれ以外の列車の乗継については、同条第8項に

第2項第1号の規定により、旅客が東京・新青森間を運転する特別急行列車はやぶさ号又は東京・盛岡間を運転する特別急行列車こまち号(以下これらを「はやぶさ号等」という。)とはやぶさ号等以外の新幹線の特別急行列車とを乗り継いで乗車する場合は、大宮駅で乗継ぎとなる場合であつて別に定めるときを除き、駅において出場しない限り、全区間に対して別に定める特別急行料金により1枚の特別急行券を発売する

と規定されている。「発売する」と「発売することがある」を使い分けているのは、東北新幹線JR東日本1社で意思決定できるのに対し、東海道・山陽・九州新幹線には3社が絡むためだろうか。
第57条第2項第1号*1は、もともと東海道・山陽新幹線にも適用されていた。「のぞみ」が登場した1992年3月14日の改定で

新幹線の特別急行列車(東京・新大阪間を運転する特別急行列車のぞみ号(以下「のぞみ号」という。)に乗車する場合を除く)に対して発売する特別急行券については、大宮駅で乗継ぎとなる場合であつて別に定めるとき又は東京駅で乗継ぎとなる場合を除き、2個以上の特別急行列車に乗車するときであつても、駅において出場しない限り、1個の特別急行列車とみなして特別急行券を発売する。

と、赤字部分の挿入により、特急料金の異なる「のぞみ」が除外され、同条第5項に

旅客がのぞみ号とのぞみ号以外の新幹線の特別急行列車とを乗継いで乗車する場合は、東京駅で乗継ぎとなる場合を除き、駅において出場しない限り、全区間に対して別に定める特別急行料金により特別急行券を発売することがある

と、現行第7項と同様の規定が挿入された。このときは、「ひかり」と「こだま」の乗継は本則が適用されていた。
これが現行のようになったのは、2011年3月12日の九州新幹線博多延伸開業時である。東海道・山陽新幹線九州新幹線の特急料金を通算しないため、「全区間に対して別に定める特別急行料金」を「のぞみ」の乗継と同様に適用する意図だろう。その結果、同一料金の「ひかり」と「こだま」の乗継も第7項に委ねられることになった。
もともと1個の急行列車とみなして急行券を発売することと、その急行券に適用する料金は別の話だと思う。第57条第2項第1号では、大宮・高崎駅でのV字型乗継または東京駅での乗継を除く全ての新幹線のラッチ内乗継について、1枚の急行券を発売すると定めたほうがすっきりする。「別に定める特急料金」は、第125条に規定されているのだから。

*1:1992年7月1日の改定以前は、第1項本文に記載