仙石東北ラインの運賃制度

JR東日本仙台支社が1月29日付で、石巻線および仙石線の全線運転再開と仙石東北ライン開業に伴う営業キロの変更及び運賃の適用等についてというリリースを発表した。
石巻線の全線運転再開は従来の発表通り3月21日、6月といわれていた仙石線の再開と仙石東北ライン開業は5月30日になった。石巻線浦宿・女川間の営業キロ女川駅の移転により0.2キロ短縮、仙石線陸前大塚・陸前小野間は内陸側移設により1.2キロ短縮される。石巻線仙石線営業キロの変更は、ダイヤ改正にあわせて開業前の3月14日から適用され、運転再開前の代行バス利用の運賃に反映される。
仙石東北ラインは、東北本線塩釜〜松島間と仙石線松島海岸〜高城町間の線路が隣接する部分に渡り線を建設するものだが、松島・高城町間に営業キロ0.3キロを新設する(3月14日適用)。これに伴い、普通乗車券の区間外乗車と定期乗車券の他経路乗車の特例が設定される(5月30日適用)。
普通乗車券の区間外乗車は、

松島又は愛宕以遠(品井沼方面)の各駅と、高城町以遠(松島海岸又は手樽方面)の各駅との相互間(松島・塩釜間)を乗車する場合に、塩釜・松島間の区間外乗車の特例を設定します。

というもの。定期乗車券の他経路乗車は、

仙台以遠(長町方面、あおば通又は東照宮方面)の各駅と高城町以遠(手樽方面)の各駅との相互発着(東北本線経由)の定期乗車券においては、乗車経路通りの発売を行いますが、下車しない限り他方の経路の乗車も可能とします。なお、券面経路外の駅で下車した場合は、別途定期券面区間外の運賃を収受します。

となっている。それぞれ基準規程149条(特定の分岐区間に対する区間外乗車の取扱いの特例)と153条(定期乗車券による他経路乗車の取扱いの特例)に追加されるのだろう。

追記1(2月1日):コメントいただいたように、仙石東北ラインの営業キロは3月14日から運賃に適用される(本文中に明記した)。開業前に営業キロが設定され、運賃計算に使用されるのは初めてだろう。
基準規程153条の定期乗車券の他経路乗車は、営業キロが長い経路の定期券で短い経路の乗車を認める、一方向の規定である。仙台・高城町間は、仙石線経由が25.0キロ、東北本線経由が23.7キロであるから、短い東北本線経由の定期券で仙石線経由の乗車ができることになり、これまでにない取扱いである。仙石線経由の定期券で東北本線経由の乗車が従来の取扱いであり、これがリリースに明記されていないのは、単なる漏れだろう。基準規程には双方向に規定されるのではないだろうか。
仙石東北ラインは、線路名称上東北本線の支線として扱われることになるのだろう。東北本線区間表示は、同区間が最後に付け加えられ

東京・田端・仙台・盛岡間、日暮里・尾久・赤羽間、赤羽・武蔵浦和・大宮間、東京・白石蔵王・古川・盛岡間*1、長町・宮城野・東仙台間、岩切・利府間及び松島・高城町

と変更になると思われる。

追記2(2月3日):レスポンスの記事5月運行開始の仙石東北ライン、運賃計算上は3月「開業」に、開業前の営業キロ設定についてのJR東日本仙台支社のコメントが記載されている。

仙台支社は「ダイヤ改正(3月14日)、石巻線の再開(3月21日)、仙石東北ラインの運行開始(5月30日)のたびに営業上の扱いの変更を順次実施すると、サービス上も業務上も混乱の元になる。3月14日のダイヤ改正時に一括で実施することにより、混乱を防ぎたい」としている。

面倒なのは、運賃表(掲示物及び自動改札機内臓データ)の書換えだろう。3月21日の女川駅移転の0.2キロ短縮は軽微なものなので、仙石東北ラインのキロ設定と仙石線の改キロは5月30日でもよかったのではないだろうか。現に営業上の扱いの変更は、3月14日の営業キロ設定による運賃変更と、5月30日の区間外・他経路乗車と「順次実施」している。旅客に不利になることはないとはいえ、逆にコメントで議論されているような混乱が起きている。
3月14日の北陸新幹線金沢・長野間乗車をもってJR完乗を計画している知人がいるが、仙石東北ラインについて「営業キロ乗りつぶしルールとしてきた身としては、いささか心残りだが、開業前に乗りようもないので、やはり予定通り「かがやき」完乗を行う」と言っている。何とも中途半端な2か月半である。

*1:盛岡・新青森間は東北本線(新幹線)ではなく、東北新幹線