旅規第250条

まず、旅規250条の全文を引用する。

(特定区間等の途中駅が変更の開始又は終了となる区間変更の場合の旅客運賃の計算方)
第250条 第69条に規定する特定区間又は第157条に規定する選択乗車区間の適用のある普通乗車券を所持する旅客が、旅行開始後に、当該特定区間又は選択乗車区間の途中駅が変更の開始又は終了となる区間変更をする場合は、旅客運賃計算の変更開始駅又は変更終了駅を次の各号に定める駅として旅客運賃の計算をする。
(1)第69条の特定区間内の場合は、特定区間内の分岐となる駅とする。
(2)第157条の選択乗車区間内の場合は、旅客運賃計算経路の駅が変更の開始又は終了となる場合はその駅とし、旅客運賃計算経路でない一方の経路の駅が変更の開始又は終了となる場合は、その選択乗車区間が開始又は終了となる駅とする。
2 第70条第1項に規定する特定区間の適用のある普通乗車券(第70条第2項の適用のあるものを除く。)を所持する旅客が、旅行開始後に、同区間内の駅を変更開始駅とし、同区間外にまたがる区間変更をする場合は、同区間内における入口の駅を旅客運賃計算の変更開始駅として旅客運賃の計算をする。
3 第70条第2項に規定する特定区間の適用のある普通乗車券を所持する旅客が、旅行開始後に、同区間内の駅を変更開始駅とし、同区間外にまたがる区間変更をする場合は、旅客運賃計算の変更開始駅を次の各号に定める駅として旅客運賃の計算をする。
(1)第69条第1項第5号に規定する特定区間内の場合は、特定区間内の分岐となる駅とする。
(2)第70条第1項に規定する特定区間内の場合は、同区間内における旅客運賃計算経路上の入口の駅とする。

立法の趣旨は明らかである。運賃計算経路と異なった経路の迂回乗車を認める特定区間・選択乗車区間において、運賃計算経路以外の区間内の駅を変更開始駅とする区間変更を行う場合は、当該特定区間または選択乗車区間の開始駅を変更開始駅として運賃計算を行う。これにより、旅客の便宜のため認めた運賃計算経路以外の経路の乗車の取扱いが、正当な運賃の支払いを逃れる手段となることを回避したのである。第69条第6号の特定区間は山科・近江塩津間の湖西線東海道本線北陸本線だから、「特定区間内の分岐となる駅」とは、両線が分岐する山科と近江塩津である。

とここまで書いて、念のため、平林喜三造「旅客営業規則概説」(中央書院、昭和37年再版)を確認し、愕然とした。現在の250条に相当する、当時の旅規252条(特定区間等の途中駅が変更の開始又は終了となる方向変更または経路変更の場合の旅客運賃の計算方)の解説として

仙台発横浜着の普通乗車券を所持する旅客が運賃計算経路の東北本線を乗車し宇都宮から日光へ変更する場合は、変更開始駅を宇都宮として、変更区間を宇都宮・日光間、不乗区間を宇都宮・横浜間とした方向変更として取り扱う。又、この乗車券所持の旅客が、運賃計算経路外の常磐線を乗車し我孫子から成田へ変更する場合は、変更開始駅を我孫子として、変更区間我孫子・成田間、不乗区間我孫子・横浜間とした方向変更として取り扱う*1

とある。それなら、「特定区間内の分岐となる駅」は米原ではないか。不勉強で、これまで250条の趣旨を全く誤解していた。昨日の記事は撤回する。
しかし、いくつかの疑問が残る。米原三河三谷間が変更区間米原牛ノ谷間が不乗区間であれば、当然米原が変更の開始駅となる。249条の通常の区間変更の場合となんら変わらない。69条特定区間区間変更について、あえて250条で「特定区間内の分岐となる駅」を区間変更の開始駅として定める必要はない。70条特定区間と157条選択乗車区間区間変更だけを、特例として定めればよいはずである。
また、157条の選択乗車区間の非運賃計算経路については、選択乗車区間の開始駅を変更開始駅としている。なぜ、69条特定区間と選択乗車区間とで、異なる取扱いにしたのだろうか。このあたりについて、識者のコメントを頂ければ幸いである。

*1:さすがに国鉄が損をしない不乗区間の距離が短い例しか掲げていない。「不足額は収受し、過剰額は払いもどしをしない」は当時も同じだが、旅行開始後の乗車券の払いもどしを受けられるのは、通用開始の日から2日以内で、変更開始駅以後の原乗車券区間のキロ程が300キロメートルをこえる普通乗車券だけと、条件が厳しかった。