1999年の西武鉄道旅規

阪神の1962年旅規に続き、旅規ポータルに西武鉄道旅客営業規則1999年1月1日現行を掲載した。
パスネットの不思議の脚注2に書いているように、環状線を有する西武は、JRの70条特定区間と同様の規定がある(東急や東京メトロなどと同じく太線区間通過だけでなく、区間内駅発着にも最短経路による運賃を適用)。また、157条には、定期乗車券でこの環状線区間を乗車する場合の選択乗車が規定されている。
興味深いのは、29条の2の実習割引の規定。

(実習割引普通乗車券の発売)
第29条の2 学校または体育会等が、学生・生徒(幼稚園の園児を含む)の実習若しくは体育を目的として、鉄道の沿線に相当の設備を常置し、これが使用のため一定区間において、1箇月500人以上教職員・学生・生徒を往復旅行させる場合で、第29条の3の規定による実習旅客運賃割引証を提出したときは、その旅客運賃割引証1枚について1人1回に限り、普通旅客運賃を割引した往復の割引普通乗車券を発売する。

割引率は、92条の2に5割引きと規定されている。実際に適用されているのは、どんな学校だろうか。なお、定期乗車券については、JR旅規の36条4項など、実習のため実習場等まで乗車する場合の通学定期乗車券の発売の規定がある。
全体的にJRの旅規を基にしているが、大手私鉄の旅規としてはかなりずさんな表記である。読点(、)の使い方に統一性がなく、「通り」と「とおり」や、「ヵ年」と「箇年」などが混用されている。対キロ区間制の普通運賃は77条に規定され、別表1号に普通運賃表が記載されているが、別表は本文から参照されていない。また、237条の2の(手数料の収受)2項(駅員無配置駅における乗車変更等の取扱)は、237条(乗車変更等の取扱箇所)に置くべき条項である。
1999年現行の旅規だから、現在は訂正されているのかもしれない。しかし東急、東京メトロ近鉄を除く大手私鉄が旅規をウェブに掲載していないのは、このように公開すると突っ込まれる条文があることを認識しているからではないだろうか。