バス事業者の約款

9月4日の記事に続き、バス事業者の運送約款を調べてみた。ウェブに約款を掲載している事業者には、JR北海道バスJRバス関東京成バス小田急バス西東京バス富士急シティーバス東海バス南海バス阪急バス京阪バス一畑バス中国JRバス広電バス備北交通などがあるが、国土交通省の標準約款をそのまま使用している。標準約款にはない条項は、JR北海道バスJRバス関東、京成バス、小田急バス西東京バス南海バス京阪バスが第1条(適用範囲)で、各社のICカード規則の適用について言及しているくらい。阪急バスの約款の末尾には「運送約款取扱い細目」という項目があり、

(当社が取り扱っていない乗車券等)
当社は、運送約款に規定する次の乗車券等は取り扱っておりません。
1、定期回数乗車券
2、手荷物運賃

と注記するほか、約款に規定されていない昼間割引回数乗車券、往復乗車券などを記載している。多少なりとも標準約款をカスタマイズしているのは、JR北海道バス。標準約款の第12条(定期回数乗車券の使用方法)がなく全63条で、有料手回り品関連の第43条と第45条が「削除」となっている。
公営バス事業者の約款は運賃条例と同施行規則の二本立てが一般的である。そのなかで八丈町営バス乗合自動車条例一般乗合旅客自動車運送事業運送約款の二本立てで、運送約款は国土交通省の標準約款を使用している。三宅村営バス南アルプス市営バスなど例規集に施行規則が掲載されておらず、条例だけという事業者もある。条例・施行規則のタイトルと内容は事業者ごとに異なっており、バラエティーに富んでいる。
京都市には京都市乗合自動車旅客運賃条例京都市乗合自動車旅客運賃条例施行規程のほかに、京都市乗合自動車乗車細則があり、第3条に

(乗降場所及び乗降順序)
第3条 旅客は,停留所において,乗合自動車の所定の出入口から乗降しなければならない。
2 乗車の際,降車する旅客があるときは,その降車が終ってから先着者整列順に乗車しなければならない。

と規定されている。高槻市乗合自動車の乗車規程にも

第2条 乗客は、乗車する際、降車する乗客があるときは、その降車終了後乗車しなければならない。

という同じ規定がある。8月22日の記事にコメントがあった長崎電軌の旅客運送規則第6条は、必ずしも特異なものではなかった。旧京都市電にも同様な規定があり、これにならったのではないだろうか。
公営バス事業者の条例・施行規則の特徴は、いずれも運賃を規定してする条文があることだが、運賃の規定については稿を改める。

追記:(9月10日):その後見つけたバス事業者の約款を追加した。冒頭に追加したのは、国土交通省標準約款をそのまま使用している事業者だが、カスタマイズしている事業者もあった。はとバスは定期乗車券、有料手回り品、荷物運送の条項がなく、全41条。また仙台市交通局京都市交通局には、八丈町と同じく、条例・施行規則とは別に、一般乗合旅客自動車運送事業運送約款があった。仙台市は、全52条(枝番あり。有料手回り品と荷物運送の条項がない)、京都市は全52条(定期回数乗車券、有料手回り品と荷物運送の条項がなく、1日乗車券、全線定期券等を追加)である。