Welcome SuicaとPASMO PASSPORT

外国人短期旅行者向けのICカード乗車券、Welcome SuicaPASMO PASSPORTがいよいよ9月1日から発売される。改めて2月15日付のそれぞれのリリース(JR東日本PASMO協議会)を読んで、不思議なことに気がついた。

500円のデポジット不要、有効期間が28日間、SF残額の払いもどしなしは、両者に共通している。発売額は、Suicaが1,000円、2,000円、3,000円、4,000円、5,000円、10,000円の6種類、PASMOは2,000円のみ。ただしPASMOは発行手数料500円が含まれ、SF金額は1,500円である。SuicaPASMOも全国の路線に乗車できるのだから、PASMO PASSPORTを購入するメリットはない。それともサンリオのキャラクターのカード自体を目的に購入する旅行者がいるだろうか。

PASMO協議会のリリースには

お得な企画券を「PASMO PASSPORT」に搭載する等の利便性 向上につきましても検討を行っております。具体的な内容につきましては 後日お知らせいたします。

とあるが、その後発表された8月9日付リリースにも、とくに目を引く特典は記載されていない。発売箇所の記載とともに、

駅やバス車内、一部店舗で何度でもチャージして繰り返し利用できます

と記載され、通常のPASMOと同様の取扱いであることが示されたのが目新しいところ。小刻みにチャージできるというのは、PASMO PASSPORTのメリットにはならないだろう。高額のWelcome Suicaを購入した利用者は、残額を帰国時に空港の売店やレストランで使い切ることができるのだから。

9月1日発売開始なので、Suica約款PASMO約款もまだ改定されていない。JR東海は、ICカード乗車券運送約款の一部改正をいち早く掲載した。旅客の区分等のカード情報を記載した帳票の携帯・提示義務が規定されている。

追記(8月26日):PASMO PASSPORTの発行手数料500円は、腑に落ちない。PASMO PASSPORTの英語ページには、発売は外国人旅行者に限られ、購入にあたってパスポートがチェックされること、28日間の有効期間とReference Paperの携帯・提示義務を記載しているが、500円の発行手数料はどこにも書かれていない。
外国人旅行者は、現在も、通常のPSAMOを購入できる。PASMO英語サイトには、券売機でPASMOを購入する方法が示され、短期の旅行者はBlank(無記名) PASMOを、長期滞在者はNamed (記名)PASMOを購入するようにすすめている。関東地区の鉄道事業者12社局が昨年12月25日から7月末まで限定30,000枚で発売したWelcome Kanto PASMO東京都交通局リリース)は、通常のPASMOと同様日本中で使えた。デポジットを含む2,000円で発売され、500円のデポジットは解約時に返金されれた。

PASMO PASSPORTは、通常のPASMOやWelcome Kanto PASMOよりも発売条件が劣後しており、購入するメリットがない。発行手数料を取るというのは、間違いではないだろうか。本当に手数料を取るなら、英語ページに書かないのは虚偽広告である。

追記2(9月2日):東日本旅客鉄道株式会社ICカード乗車券取扱規則が9月1日現在に更新されたが、Welcome Suicaについての条項はない。第3条の用語の定義に「Suica企画乗車券」が新設され、「旅客規則第22条の2に定める当社が特別の運送条件を定めた乗車券類に準じて取り扱う」とされているので、これに含まれるものと思われる。

PASMOの約款は、「ご指定のページが見つかりません」となっている。

追記3(9月4日):コメントいただいたように、9月2日時点でリンク切れだったPASMO取扱規則のurlが変更され、復活していた。改定前の6月1日版と比較してみたが、別表1、2の取扱事業者を含めて変更点が見つからなかった。東京メトロ東京都交通局、東急のICカード乗車券取扱規則は、更新されていない。

発売当事者が約款に外国人旅行者向けIC乗車券の条項を規定していないのに、本文で改正公告を紹介したJR東海は、IC乗車券取扱約款を更新し、46条7項にPASMO PASSPORTとWelcome Suicaについてレファレンスペーパー携帯・提示義務を記載した。またJR西日本IC乗車券取扱約款も、9月1日改正に更新され、43条6項に同様の条項が挿入されている。JR北海道JR九州ICカード乗車券取扱規則は改定されていない。