福井鉄道の軌道延伸に賛否両論

福井鉄道の軌道区間、市役所前から福井駅前の分岐線を地元ではヒゲ線と呼んでいるらしい。ヒゲ線をJR福井駅西口広場に延伸する計画に賛否両論があるようだ。
福井新聞11月20日記事

沿線の団体がヒゲ線延伸で要望書 福武線利便性向上へ福井市長らに
 福井鉄道福武線の沿線3市(福井、越前、鯖江市)の市民団体で構成する「福井鉄道福武線サポート団体等協議会」と福井市内の沿線住民でつくる「市福井鉄道福武線サポート団体協議会」は19日、それぞれ駅前線(通称ヒゲ線)延伸に関する要望書を東村新一市長と見谷喜代三市会議長に提出した。利便性向上のため、駅前線を延伸しJR福井駅西口広場に乗り入れることを求めている。
 要望書によると、北陸新幹線開業によって、関東圏から多くの観光客が福武線を利用して沿線観光地を訪れると予想。沿線3市住民も福武線福井駅まで行き、新幹線を利用する人が増えるとした。その上で乗り換えの利便性向上が望まれるとして延伸を求めた。同協議会の加藤和男会長と市サポート団体協議会の町井廣会長が東村市長に要望書を提出した。
 東村市長は「交通結節機能は重要。地元商店街から反対意見があり、県都の位置付け、近隣自治体との連携も考えなければならない。さまざまな意見を踏まえしっかり判断したい」と応じた。
 一方、延伸に反対している福井駅前五商店街連合活性化協議会など3団体は9日に延伸反対の請願を見谷議長宛てに提出している。
 見谷議長は「趣旨を理解し、反対の請願とともにしっかり議論させていただきたい」と述べた。2団体は二つの要望書を一本化し、連名で陳情とする方向で検討している。
 加藤会長は「今、延伸しなければ、この先50〜100年はできないだろう。観光客を沿線観光地に呼び寄せ、地域の活性化につなげたい」と話している。
 市は11月内に、駅西口全体のデザインに関する基本方針を策定する方針。

福井新聞の過去記事を読むと、賛成・反対両派による住民に対するアンケート結果も、正反対の結果となっている。

記事実施団体回答者賛成反対
10月28日公共交通利用促進研究会21063%27%
11月15日福井まちなかNPO5928%60%
同時に尋ねた公共交通機関の利用状況についても大きな違いがある。賛成派によると、

公共交通の利用頻度については、毎日利用する人は11%、週に数回が15%、月に数回が44%、ほとんど利用しない人が28%。よく使う公共交通(複数回答)として、福井鉄道えちぜん鉄道を選んだ人はともに27%、JRが20%、バスは26%だった。

一方反対派のアンケートでは、

また路面電車の利用頻度については「ほとんど利用しない」が78%に上り、路面電車の必要性は65%が「いらない」と回答した。北陸新幹線開業後の福井鉄道の存続に関しては「維持は難しい」が52%だった。

反対派は、延伸による交通渋滞の悪化と延伸の整備費の費用対効果を理由にあげるが、「福井鉄道はかなりの部分が税金で賄われており、ほとんど利用しない人が実質的に支えている」ことを問題としている。富山港線LRT化や地鉄市内線の環状化を行った富山市のようなコンセンサスが出来ていない。
1998年豊橋鉄道市内線が豊橋駅前まで0.2キロ延伸した例もある。駅前に乗り入れにより利便性を高めて、公共交通機関を維持してほしいものだ。