続・乗車券の発売日

OSAKA CITYさんのコメントによると、やはり新線を経路に含む乗車券は、開業日以前を有効開始日としては発売されないようだ。このような過渡的取扱いの通例が区間変更によるというのは想像できたが、その場合過剰額を払いもどすというのは知らなかった。
九州新幹線の開業に伴う区間変更の取扱いが通例どおりなら、東京都区内発長崎本線新鳥栖以遠の在来線経由の乗車券を所持する旅客が博多・鳥栖新鳥栖間を新幹線経由に区間変更したときは、変更区間の運賃差額の90円(630-540)が払いもどされることになる。キロ地帯の境界にある久保田着と牛津着を例にして、区間変更したときの運賃と、あらかじめ九州新幹線経由の乗車券を購入する場合の運賃を比較してみた。

在来線経由運賃 区間変更の収受額 合計 新幹線経由運賃 差額
東京都区内・久保田間 13,890 -90 13,800 13,890 -90
東京都区内・牛津間 14,210 -90 14,120 13,890 230
東京都区内・久保田間の場合は、区間変更によって過剰額が払いもどされると、あらかじめ新幹線経由の乗車券を購入するよりも安くなり、東京都区内・牛津間の場合はその逆になる。区間変更の取扱いは、このような矛盾を抱えている。やはり、有効期間中に開業する新線区間を経由する乗車券は、開業以前の日を有効期間の開始日として発売してもよいと思う。
話が脱線してしまったが、本題の乗車券の発売日の話題に戻す。旅規第21条の乗車券類の発売日が規定されたのは、1958年10月の旅規全面改訂のときである。それ以前の1952年の旅規及びその取扱細則にも、1921(大正10)年にそれまでの単行規程を集大成して、初めて制定された「国有鉄道旅客及び荷物運輸規則・同取扱細則」にも、乗車券類の発売を原則として当日有効からのものとし、前売りを制限する規定はみあたらない。
これに対して、第20条の乗車券の発売範囲を自駅発のものに限定する規定は、1952年の旅規にも存在していた*1。乗車券は出札口で常備券等により発売されたから、設備する乗車券類の種類に制約があったため、この制限が定められたのだろう。しかし、乗車券の前売りを制限する理由はわからない。1958年の全面改訂で、第21条の乗車券類の発売日を規定したのは、どんな意図からだったのだろう。

*1:第14条乗車券の発売箇所。なお、1921年の旅規・細則には見当たらない