旅規表記の不統一

国鉄旅規の改定履歴を追跡していて、旅規の表記に「?」と思ったことが2点ある。
電車特定区間(第78条第2項)と大都市近郊区間(第156条第2号)とで、山手線・赤羽線の配列が異なっている。78条の「・・・東北本線中東京・大宮間、日暮里・尾久・赤羽間及び赤羽・武蔵浦和・大宮間、山手線、赤羽線常磐線中日暮里・取手間、・・・」に対し、156条では、「東海道本線中東京・平塚間及び品川・新川崎・鶴見間、山手線、赤羽線南武線、・・・」となっている。旅規における路線名は、線路名称順に記述するのが普通だから、東海道線の部に属する山手線・赤羽線の配列は、156条の方が正しい。
山手線は、日本鉄道が開業した経緯から、永らく東北線の部に所属(品川・赤羽間、池袋・田端間)していた。これが、昭和47(1972)年7月1日の国鉄公示第117号で、

日本国有鉄道線路名称(昭和24年6月日本国有鉄道公示第17号)の一部を次のように改正し、昭和47年7月15日から施行する。

東海道線の部東海道本線の項の次に次のように加える。
 山手線 品川・新宿・田端間
 赤羽線 池袋・赤羽間
東北線の部中山手線の項を削る。

と、東海道線の部に配置換えとなり、山手線の池袋・赤羽間が赤羽線として分離した。また同日の公示第120号で、

旅客及び荷物営業規則(昭和33年9月目本国有鉄道公示第325号)の一部を次のように改正する。ただし、第156条の改正規定は、昭和47年7月15日から施行する。
(中略)
第156条第2号イ中「山手線、」を削り、「東京・大船間、」の右に「山手線、赤羽線、」を加える。
(後略)

と、156条の電車特定区間(1974年に大都市近郊区間に変更)が線路名称にあわせて改定された。
ところが、1984年4月に山手線・大阪環状線内、幹線、地方交通線と賃率を3段階に区分したときに、第84条第2項に「国電区間」が次のように定められた(国電区間には幹線の賃率が適用されたが、10キロまでの運賃が据え置かれた。1986年9月の運賃改定で、国電区間の賃率が据え置かれ、初乗り運賃だけでなく、賃率についても幹線と区分された)。

2 前項第1号ハの東京附近及び大阪附近における国電区間の範囲は、次のとおりとする。
イ 東京附近にあつては、東海道本線中東京・大船間、南武線鶴見線武蔵野線横浜線根岸線横須賀線中央本線線中東京・高尾間、青梅線五日市線東北本線中東京・大宮間及び日暮里・尾久・赤羽間、山手線、赤羽線常磐線中日暮里・取手間、総武本線中東京・千葉間及び錦糸町御茶ノ水
ロ 大阪附近にあつては、東海道本線中京都・神戸間、大阪環状線桜島線山陽本線中神戸・西明石間、関西本線中奈良・湊町間、片町線中長尾・片町間及び阪和線

ここで、1972年7月以前の線路名称の山手線の位置に記載してしまったのだ。国電区間は、民営化によって電車特定区間となり、その後第78条第2項に移転した。
第78条には、条項の符番体系の不統一もある。旅規は、条・項・号以下、イロハ、(イ)(ロ)(ハ)、abc、(a)(b)(c)という符番体系を採用している。ところが、第78条第2項は、上記のように号を飛ばして、項の次がイロハになっている。
同様の符番体系の不統一は、第295条にもある。号の下位が、イロハではなく、アイウとなっているのだ。

(入場券の種類及び料金)
第295条 入場券は、普通入場券及び定期入場券の2種類とし、その料金は、1枚について次の各号に掲げるとおりとする。
(1) 普通入場券
  ア イ又はウ以外の駅
    大人140円
    小児 70円
  イ 東京付近の電車特定区間内の各駅
    大人130円
    小児 60円
  ウ 大阪付近の電車特定区間内の各駅
    大人120円
    小児 60円
(後略)

二点とも旅客制度に関係することではないが、精緻な旅規の体系において永く放置されているのが不思議である。