旅規ポータル更新

4月19日の記事のコメントで情報提供を受けた万葉線の約款等を旅規リンク集に追加した。前記事に書かなかったが、リンク集を事業者のカテゴリー別に再編した。地下鉄を新設し、東京メトロと大阪メトロのほか、公営交通から東京都(都電、日暮里舎人ライナーとの共通規則を含む)及び各市営地下鉄を移転した。また路面電車万葉線を加えたほか、京福電鉄*1熊本市及び鹿児島市を移転した。

本日の改定では、JR東日本旅規改訂履歴(条項順)・(日付順)を更新し。4月26日のJR九州の特急「かんぱち」・「いちろく」運転開始に伴う旅規改定を反映した。

また「旅規の変遷を読む 」の   等級制からモノクラス制へに3月16日の首都圏普通列車グリーン券の制度変更を追記した。また時間がたってしまったが、連絡船とバスを更新し、4年前の気仙沼線大船渡線BRT代行区間の鉄道事業廃止及び昨年の日田彦山線のBRT運行開始を記載した。

*1:旅規は、鋼索線と索道を含む

阪神旅規の構成

4月4日の記事で、名鉄阪神がようやく旅規をウェブ公開したことを書いた。阪神神戸高速線の規則について特記したが、本体の旅規構成もJRをはじめとする各社の旅規や阪神の1962年旅規と異なり、かなり変わっている。節以上の目次は次のとおりで、国鉄が1958年の全面改定まで採用していた券種別の旅規構成に似ている。1958年以前の国鉄旅規は、乗車券、急行券、特別2等車券、寝台券と券種別に記載していた*1阪神は料金券がないが、第1章を通則として共通事項を記載し、以下第2章の普通乗車券から第6章の貸切乗車券まで券種別に、発売、運賃、効力、様式、改札・引渡し、特殊取扱という構成である。

第1編 総則 1~3条
第2編 旅客運送  
第1章 通則  
第1節 通則 4~14
第2節 乗車券類の発売 15~20
第3節 旅客運賃及び料金 21~27
第4節 乗車券類の効力 28~30
第5節 乗車券類の様式 31~33
第6節 乗車券類の改札及び引渡し 34~35
第7節 乗車変更等の取扱 36~50
第2章 普通乗車券  
第1節 普通乗車券の発売 51~56
第2節 普通旅客運賃 57~62
第2節 普通乗車券の効力 63~72
第3節 普通乗車券の様式 73~75
第4節 普通乗車券の改札及び引渡し 76
第6節 乗車変更等の取扱 77~97
第3章 定期乗車券  
第1節 定期乗車券の発売 98~104
第2節 定期旅客運賃 105~109
第3節 定期乗車券の効力 110~119
第4節 定期乗車券の様式 120~121
第5節 定期乗車券の改札及び引渡し 122
第6節 定期乗車券を使用する旅客の特殊取扱 123~130
第4章 回数乗車券  
第1節 回数乗車券の発売 131~137
第2節 回数旅客運賃 138~139
第3節 回数乗車券の効力 140~150
第4節 回数乗車券の様式 151~152
第5節 回数乗車券の改札及び引渡し 153
第6節 回数乗車券を使用する旅客の特殊取扱 154~162
第5章 団体乗車券  
第1節 団体乗車券の発売 163~172
第2節 団体旅客運賃 173~177
第3節 団体乗車券の効力 178~185
第4節 団体乗車券の様式 186~187
第5節 団体乗車券の改札及び引渡し 188
第6節 乗車変更等の取扱 189~203
第6章 貸切乗車券  
第1節 貸切乗車券の発売 204~210
第2節 貸切旅客運賃及びその他の料金 211~215
第1款 貸切旅客運賃 216~221
第3節 貸切乗車券の効力 222~223
第4節 貸切乗車券の様式 204~214
第5節 貸切乗車券の改札及び引渡し 224
第6節 貸切乗車券を使用する旅客の特殊取扱 225~238
第7章 入場券 248~260
第9章 手回り品 239~248

大手私鉄旅規目次を改訂し、Group Bに東京メトロに代えて名鉄を記載し、Griop Cに阪神を追加した。阪神の旅規構成の特異性がわかると思う。名鉄の旅規は、編章構成をとらず第1編総則と第2編旅客営業第1章通則を統合して、第1章総則としている*2

他の大手私鉄各社の旅規も3月16日付または4月1日付で更新され、URLが変わっているものがあり、旅規ポータルのリンク集を更新した。

*1:旅規ポータルの旅客及び荷物運送規則(1952)参照

*2:1999年の名鉄旅規について紹介した2017年4月25日記事参照

名鉄・阪神がウェブに旅規を掲載

名鉄阪神がウェブに旅規を掲載していた。旅規ポータルの旅規リンク集を更新した。

名鉄は旅客営業規則だけの掲載だが、阪神は連絡運輸規則をはじめ各種規則を掲載した。注目すべきは、神戸高速線に適用する規則を別建てにしていること。旅規の1条と2条は、

(この規則の目的) 
第1条 この規則は、阪神電気鉄道株式会社、阪急電鉄株式会社及び神戸電鉄株式会社(以下、3社を併せて「社」という。)の神戸高速線の旅客の運送並びにこれに附帯する入場券の発売等(以下「旅客の運送等」という。)について合理的な取扱方を定め、もって利用者の便利と事業の能率的な遂行を図ることを目的とする。

(適用範囲) 
第2条 神戸高速線における旅客の運送等に関する契約については、旅客と、社のうち当該旅客の乗車区間を営業する者(次条第1号参照)との間で締結されるものとし、この場合、いずれの社との間においても、この規則及び次の各号に掲げる社が別に定める規則(以下まとめて「社の規則」という。)が共通して適用され、契約の内容となる。なお、社は社の規則の規定内容の適用を前提として、旅客からの運送等に関する申込みを承諾する。
(1)連絡運輸取扱規則 
(2)IC乗車券取扱規則 
(3)ICOCA乗車券取扱規則 
(4)企画乗車券取扱規則 
(5)身体障害者旅客運賃割引規則 
(6)知的障害者旅客運賃割引規則

と阪急・神戸電鉄を含む3社の神戸高速線の規定になっている。地方鉄道法の時代にインフラだけを所有する会社として設立され、鉄道事業法の施行によって第3種事業者となった、神戸高速鉄道の性格を示している。

これまで名鉄旅規や阪神旅規で検索すると、旅規アーカイブ名古屋鉄道旅客営業規則(1999年2月1日現行)阪神電気鉄道旅客営業規則(1962年12月1日現行)がトップに表示されたが、2番目に下がった。

4月1日ウェブページ更新

本日は多くのトピックスがあり、デスクトップ鉄のウェブページを次のとおり更新した。

ページ 内容
最長片道切符のルート変遷 1961-2024 根室本線富良野新得間廃止
JRの運賃計算ルールは複雑すぎる JR東海京成電鉄の鉄道バリアフリー料金新設、名古屋鉄道の運賃改定
JR旅客制度特例の変遷 基準規程の区間外乗車関連規定の旅規への移行
町村名と駅名の関係(町村代表駅) 根室本線富良野新得間廃止、箱根登山鉄道小田急箱根への社名変更
「国名*」駅-駅名接頭・接尾語考(2) 根室本線富良野新得間廃止、箱根登山鉄道小田急箱根への社名変更
旧国名駅 根室本線富良野新得間廃止、箱根登山鉄道小田急箱根への社名変更
市区町村名と駅名(1949) 根室本線富良野新得間廃止、箱根登山鉄道小田急箱根への社名変更
国界を越える鉄道 根室本線富良野新得間廃止
分水界を越える鉄道 根室本線富良野新得間廃止
Railway News 根室本線富良野新得間廃止
Railways of Japan 根室本線富良野新得間廃止、JR貨物東海道貨物支線(名古屋港線)廃止、箱根登山鉄道小田急箱根への社名変更、近江鉄道の第2種事業への移行
The Longest One-way Ticket 根室本線富良野新得間廃止

全国のJR駅リスト(クイズページ)

根室本線富良野新得間廃止
全国の鉄軌道路線リスト(クイズページ) 根室本線富良野新得間廃止、JR貨物東海道貨物支線(名古屋港線)廃止、箱根登山鉄道小田急箱根への社名変更、近江鉄道の第2種事業への移行

JR東海京成電鉄の鉄道バリアフリー料金新設、名古屋鉄道の運賃改定を反映して、「JRの運賃計算ルールは複雑すぎる」の特定運賃設定区間バリアフリー料金加算額・改定運賃に変更した。名鉄の値上げでJR東海の特定運賃区間との運賃格差は拡大した。4月1日は、流鉄、東京モノレール福井鉄道えちぜん鉄道遠州鉄道豊橋鉄道なども運賃を改定したが、「鉄道事業者の運賃比較」の更新は時間がかかりそう。

北大阪急行電鉄ウェブページを閲覧して、千里中央箕面茅野の延伸区間の路線名が「(南北線)延伸線」らしいことがわかった。「Railways of Japan」と「全国の鉄軌道路線リスト」は南北線延伸線とした。

追記(4月3日):コメントで指摘を受け、更新したページを表に追加した。

3月16日のJR旅規改定

JR東日本の運送約款のサイトに2月1日付で、3月16日施行の旅規改正公告が掲載された。JR西日本北陸新幹線敦賀延伸開業関連、乗継特急料金廃止及び首都圏特別車両料金(B) の改定がメインである。JR東海の鉄道駅バリアフリー料金は4月1日施行で未掲載。

既報(2023年9月23日記事)のとおり乗継特急券が廃止され、第57条の2(乗継急行券の発売)が削除される。敦賀駅での在来線と新幹線の乗継は、第57条の3(特定の特別急行券の発売) に第8項が新設され、料金は第125条第1号ニに「第57条の3第8項の規定により発売する特別急行料金」として規定される(金額は別表第2号ク)。

8 旅客が、北陸新幹線富山・敦賀間の新幹線停車駅と、新幹線以外の線区の特別急
行列車の停車駅との相互間を、次の各号の1に該当する列車に乗車し敦賀駅で出
場しないで乗継ぎをする場合は、新幹線と新幹線以外の線区とを通じた全区間(第
57条第2項第1号の規定により2個以上の特別急行列車を乗り継ぐ場合を含む。)
に対して特定の特別急行料金によって指定席特急券立席特急券又は自由席特急
券を発売する。 
特別急行列車しらさぎ号 
特別急行列車サンダーバード号 
⑶ 別に定める特別急行列車

首都圏特別車両料金(B) の改定が昨年12月15日にリリースされた。現行の事前料金・車内料金と平日料金・ホリデー料金の区分を一本化し、 Suica グリーン料金と通常料金(紙のきっぷの料金)の区分に変更される。旅規第130条第2号には、通常料金が規定されている。JR東日本が同時に発表したICカード乗車券取扱規則の改定公告は2月1日施行の別表のバス事業者の追加と削除で、Suicaグリーン料金の規定はまだ発表されていない。

片道定期券・自動車運転免許証返納者割引

年末に続いて旅規ポータルの旅規リンク集を更新した。新たに見つけたいすみ鉄道の旅規を追加したほか、公営交通などのデッドリンクを解消した。バス事業者では、最大手の神奈川中央交通がようやく約款を掲載した。

ウェブに旅規を掲載している旧国鉄線転換の第3セクター事業者が10社(並行在来線転換事業者5社、地方交通線転換事業者5社)となった。これを機会に第三セクター旅規目次を更新した。

11枚つづりの普通回数券はJRが全廃し、首都圏の大手私鉄では京急だけになってしまったが、3セク10社中愛知環状鉄道を除く9社が残している。三陸鉄道はそのほか、12枚つづりのシルバー回数券、通院回数券と100円券22枚綴りの金額式回数回数券を発売している。

定期券では、三陸鉄道が通学片道定期乗車券を発売している。往路は親が車で送り、帰路に鉄道を利用するというように使われるようだ。鹿児島市電車乗車料条例施行規程にも片道定期券の規定があり、通学に限定していない。また、津軽鉄道(通学)、青い森鉄道(通学)、北陸鉄道(通勤・通学)にもあった。

長良川鉄道は、高齢運転免許自主返納者割引普通乗車券を発売している。沿線に居住する自動車運転免許証返納者に対する返納後2年間の割引は、次のように広く行われている。自治体や県警のページに記載され、事業者が旅規やウェブに記載していないものが多く、自治体の助成事業として行われているようだ。

事業者 割引率 情報源 備考
由利高原鉄道 50% 由利高原鉄道  
わたらせ渓谷鉄道 50% 群馬県 わたらせ渓谷鉄道
上毛電気鉄道 50% 群馬県  
上信電鉄 50% 群馬県 上信電鉄
いすみ鉄道 20% 千葉県警 旅規に規定なし
小湊鉄道 20% 千葉県警 69歳以上
銚子電鉄 50% 千葉県警 銚子電鉄
流鉄 50% 千葉県警 流鉄
あいの風とやま鉄道 50% あいの風とやま鉄道 旅規に規定なし
長良川鉄道 50% 長良川鉄道 旅規に規定
土佐くろしお鉄道 50% 高知県 中村・宿毛線
熊本電鉄 50% 熊本電鉄  
熊本市電 50% 熊本市交通局 軌道条例施行規程に規定
鹿児島市電 50% 鹿児島市交通局 電車乗車料条例施行規程に規定

高齢自主返納者に対する助成制度として、ICカード乗車券をタクシー乗車券などとともにメニューに入れている自治体もある。白山市は、65歳以上の返納者にJR西日本の「ICOCA」または北陸鉄道の「ICa」を19,500円分(デポジット込みで20,000円)を交付する(野々市市川北町は10,000円分)。高松市は70歳以上の返納者に、高松琴平電気鉄道の「ゴールドIruCa」またはJR四国の「SHIKOKU ICOCA」チャージ9,500円分(デポジット込みで10,000円)を交付する。

返納者に対する乗り放題切符もある。上毛電気鉄道は、前橋市桐生市みどり市の65歳以上の運転経歴証明書の保持者に500円のワンデーフリーパスを発売している(通常の「赤城南麓1日フリー切符」は1,300円)。福井鉄道越前市鯖江市・福井市在住の65歳以上または自動車運転免許返納者を対象とした、「プレミア1日フリー乗車券」を500円で発売している(一般向けの「土・日・祝日1日フリー乗車券」は600円)。とさでん交通の65歳以上限定の全線定期券「おでかけ電車65」は、自主返納者が初回購入時に半額となる(高知県)。 JR九州は、昨年10月から12月にかけて、福岡・北九州エリアを1 ヶ月間5,000円で乗り放題の「免許返納おでかけきっぷ」の実証実験を行った(JR九州)。

旅規ポータル更新

旅規ポータルの旅規リンク集を更新した。12月23日の旅規リンク集の更新時に神戸電鉄、IRいしかわ鉄道と高松琴平電気鉄道を追加したが、ファイル名の変更等により、多くのページがデッドリンクになっていた。

あわせてJR六社旅規目次及び大手私鉄旅規目次を2年半ぶりに更新した。鉄道駅バリアフリー料金と回数券の廃止が主な変更点である。

3月29日の記事で指摘したが、回数券を廃止した相鉄の旅規に普通・時差・土休日回数券の条項がまだ残っている。東急の169条(定期乗車券による他経路乗車(短絡乗車)の取扱いの特例)は、JRの旅客営業取扱基準規程153条の三角形の二辺を経由する定期券で他の一辺を短絡乗車できる規定である。これまで見た記憶がなく、おそらく新設条項と思われる。日吉・綱島間(新綱島) の定期券で日吉・新綱島間(綱島) に乗車可能な規定(169条の2)とともに追加された。

12月27日の東京都上野懸垂線の廃止を英語ページのRailways of Japanとクイズのページの全国の鉄軌道路線リストを更新し、記載した。

今年もブログのコメントやメールで、情報提供と誤記の指摘を受けました。ありがとうございます。来年もよろしくお願いします。