定期券の他経路乗車

Q&AサイトOK Waveの環状線での定期についてという質問で、京橋・新三田間の大阪駅経由の定期乗車券でJR東西線に乗車できるか、また北新地で下車できるかという議論がされている。回答者5名中4名までが、定期券は他経路乗車不可という回答。5人目がJR西日本FAQサイトの大阪駅まで乗車区間が有効な定期券を使って北新地駅で下車できますか?を紹介、「大阪駅北新地駅には特例がある」ので可と回答し、これがベストアンサーとなっている。
特例の根拠規定は、旅客営業基準規程の153条の2*1

(定期乗車券及び普通回数乗車券の他経路乗車等の取扱いの特例)
第153条の2 次の各号の左欄に掲げる区間に有効な定期乗車券又は普通回数乗車券(併用となるものを除く。) を所持する旅客に対しては、当該乗車券に表示された経路及び区間にかかわらず、右欄に掲げる区間について、当該区間内の途中駅 (北新地駅及び大阪駅を除く。以下この条において同じ。) において入出場しない場合に限つて、乗車の取扱いをすることができるものとする。
 (1) 塚本経由となる尼崎・大阪間     加島経由となる尼崎・北新地間
 (2) 加島経由となる尼崎・北新地間    塚本経由となる尼崎・大阪間
 (3) 桜ノ宮経由となる京橋・大阪間    大阪城北詰経由となる京橋・北新地間
 (4) 大阪城北詰経由となる京橋・北新地間 桜ノ宮経由となる京橋・大阪間
2 前項により右欄の区間を乗車した旅客が途中駅において出場をしたときは別途乗車として、所持する乗車券面の区間外の実際乗車区間に対する相当の旅客運賃を収受する。
3 第1項により右欄の区間を乗車する場合で、北新地駅又は大阪駅を越えて乗車するときは、当該区間の右方の駅を別途乗車の開始駅又は終了駅として旅客運賃を収受する。

京橋・新三田間は大阪経由48.8km、東西線経由49.4km。普通運賃は同額だが、1か月通勤定期運賃は大阪経由のほうが300円安い。この特例を知っていれば、大阪経由の定期券を購入し、直通列車がある(または尼崎駅の同一ホームで乗換可能な)東西線経由で乗車するという選択ができる。定期券の他経路乗車としては、基準規程153条(三角形の2辺経由の定期券で他の1辺に乗車可能)があるが、153条の2は旅客にかなり有利な規定である。
問題は、このブログで何度も書いているように、旅客との契約事項を非公開の部内規定である基準規程で定めていることである。8割の回答者がこの本則緩和条項を知らず、誤答したのを責められない。FAQサイトでとりあげるくらいなら、旅規に規定してほしいものだ。
追記(4月6日):基準規程153条の2導入当初の別途乗車の処理方法は、コメントのとおりだった*2。所持する1997年4月1日現行版の条文は次のとおり。

(定期乗車券及び普通回数乗車券の他経路乗車等の取扱いの特例)
第153条の2 次の各号の左欄に掲げる区間に有効な定期乗車券又は回数乗車券(併用となるものを除く。) を所持する旅客に対しては、当該乗車券に表示された経路及び区間にかかわらず右欄に掲げる区間について、右欄末尾のかつこ内の駅で乗車又は下車する場合であつて、当該区間内において途中下車しない場合に限つて、乗車の取扱いをすることができるものとする。
 (1) 塚本経由となる尼崎・大阪間     加島経由となる尼崎・北新地間(北新地)
 (2) 加島経由となる尼崎・北新地間    塚本経由となる尼崎・大阪間(大阪)
 (3) 桜ノ宮経由となる京橋・大阪間    大阪城北詰経由となる京橋・北新地間(北新地)
 (4) 大阪城北詰経由となる京橋・北新地間 桜ノ宮経由となる京橋・大阪間(大阪)
2 前項により右欄の区間を乗車した旅客が途中駅において下車をしたとき又は右欄末尾のかつこ内の駅で下車せず当該駅を越えて乗車した場合は、所持する乗車券面の区間外の実際乗車区間に対する相当の旅客運賃を収受する。

*1:2011年当時の条文だが、FAQサイトにあるので、存続していると思われる

*2:コメントの第2号、第3号は、それぞれ第2項、第3項と解釈