相鉄・JR直通線の運賃

国土交通省のサイトに掲載の報道発表資料に、2月27日付の興味深いリリースが。2019年度に開業する相鉄・JR直通線(西谷・羽沢横浜国大間)の運賃認可申請について、パブリックヒアリングを行うというもの。

相鉄は、基本運賃に以下の加算運賃を加えたものを申請したという。

  • 普通旅客運賃:30円
  • 通勤定期旅客運賃(1ヶ月):1,140円
  • 通学定期旅客運賃(1ヶ月):430円

区間営業キロは2.1キロであるが、いずみ野線の加算運賃と比べると、とくに通勤定期運賃の加算額がかなり高い。
一方、JR東日本2月26日付リリースで羽沢横浜国大駅からの運賃を発表した。羽沢横浜国大駅は、電車特定区間横浜市内駅及び東京近郊区間に含まれる。

西谷・渋谷間の運賃を現行の横浜経由の運賃と比較すると次のとおり。

経由 横浜(東急) 横浜(JR) 羽沢横浜国大(JR)
営業キロ 31.1キロ 36.1キロ 33.0キロ
6.9+24.2 6.9+29.2*1 2.1+30.9*2
普通運賃 450円 570円 730円
180+270 180+390 150+30+550
通勤定期運賃 16,980円 18,700円 21,820円
7070+9910 7070+11630 4870+1140+15810
通学定期運賃 6,660円 9,910円 10,140円
2470+4190 2470+7440 1620+430+8090

横浜・渋谷間の現行JR運賃は、東急対抗の特定区間運賃である。羽沢横浜国大・渋谷間に特定運賃は設定されず、現行運賃よりも大幅に高くなった。これでは、本命の相鉄・東急直通線が2022年度に開業するまで、新線に移行する旅客は多くないだろう。

追記(3月9日):コメントがあった基準規程149条の条文は、次のようになるのだろうか。めちゃくちゃ複雑だ。

  1. 羽沢横浜国大と、鶴見以遠(新子安又は国道方面)の各駅との相互間(鶴見・武蔵小杉・川崎・鶴見間)
  2. 羽沢横浜国大と、川崎以遠(蒲田方面)の各駅との相互間(鶴見・武蔵小杉・川崎間)
  3. 羽沢横浜国大と、尻手以遠(八丁畷方面)の各駅との相互間(鶴見・武蔵小杉・尻手間)

列車が新川崎に停車しないなら、「羽沢横浜国大と、新川崎駅との相互間(新川崎・武蔵小杉・新川崎間)」も必要だ。151条の分岐駅通過列車に対する区間外乗車ではないだろう。

追記2(3月14日):コメントがあったのであらためて考えてみたが、前追記の2と3は、149条の区間外乗車ではなかった。区間外乗車は券面経路から外れた区間の(往復)乗車を認めるものだが、2と3は券面経路に代えて他経路の乗車を認める他経路乗車(選択乗車)だった。羽沢横浜国大前・川崎間の乗車券の券面経路は羽沢・鶴見(東海道)川崎だが、この鶴見・川崎間に代えて武蔵小杉・南武線経由の経路を乗車を認めるので、他経路乗車(選択乗車)である。大都市近郊区間相互発着の普通乗車券による選択乗車は157条2項で認められている。

定期乗車券の他経路乗車としては、基準規程153条(定期乗車券による他経路乗車の取扱いの特例)がある。これは、三角形の2辺を券面経路とする定期乗車券を所持する旅客に対して他の1辺の乗車を認めるものである。羽沢・川崎間の場合、券面経路が短い1辺、実乗車経路が長い2辺となる。前例に従えば、同区間の他経路乗車は認められず、羽沢横浜国大前・武蔵小杉・川崎間の定期乗車券が必要になるのではないか。

前追記1に対し、現行の149条4号に追加できるというコメントがあった。現行の149条4号は、

鶴見、新子安、東神奈川又は川崎以遠(蒲田又は尻手方面)、国道以遠(鶴見小野方面)若しくは大口以遠(菊名方面)の各駅と、新川崎、西大井又は武蔵小杉以遠(武蔵中原又は向河原方面)の各駅との相互間(鶴見・横浜間、新子安・横浜間、東神奈川・横浜間)

である。券面区間が武蔵小杉・鶴見間、区間外乗車区間が鶴見・横浜間の全部または一部である。これに対し、前追記1の区間外乗車は、券面区間が鶴見・横浜間の全部または一部及び鶴見線方面、区間外乗車区間が鶴見・武蔵小杉間と異なり、同じ号で取り扱うことはできない。しかし、コメントで提案された

羽沢横浜国大と、新川崎又は鶴見以遠(新子安又は国道方面)の各駅との相互間(新川崎・武蔵小杉間又は鶴見・武蔵小杉間)

 は、149条の他の区間の表記と整合性が取れている。この場合、区間外の鶴見・武蔵小杉間の経路が往復ではなく、鶴見・武蔵小杉・川崎・鶴見という環状線経路でもよいかがカギになる。140条の特定分岐区間にこのような例がないが、東京近郊区間相互発着の選択乗車で可能なようにも思う。これが認められない場合は、コメントのように149条4号と併用すれば可能である。例えば羽沢横浜国大・大口間の乗車券では、羽沢・武蔵小杉・横浜・東神奈川・大口と乗車することになるだろう。

*1:品川・鶴見間は69条経路特定区間

*2:鶴見・羽沢横浜国大間は8.8キロで、現行の鶴見・横浜羽沢間よりも0.5キロ長い