基準規程155条の併用乗車券による他経路乗車は、特定都区市内の境界駅から外に伸びる二つの路線が、エリアの近くで閉じているケースに設定されている。12月28日の記事のコメントで、2011年以降2号追加されたという情報があった。最近開業した新線でこのようなケースがあったか考えて、仙石東北ラインに思い至り、あたりだったと確認された。
あらためて155条の設定区間をまとめると、次のとおり。
号 | 都区市内 | 他経路 | キロ | 券面経路 | キロ | 差 |
---|---|---|---|---|---|---|
1,2 | 仙台市内 | 岩切・高城町間 | 15.6 | 中野栄・高城町間 | 15.2 | 0.4 |
3,4 | 東京都区内 | 葛西臨海公園・南船橋間 | 15.4 | 小岩・南船橋間 | 13.2 | 2.2 |
葛西臨海公園・西船橋間 | 13.5 | 小岩・西船橋間 | 7.8 | 5.7 | ||
5,6 | 蒲田・武蔵小杉間 | 11.3 | 西大井・武蔵小杉間 | 6.4 | 4.9 | |
7,8 | 横浜市内 | 戸塚・大船間 | 5.6 | 本郷台・大船間 | 3.6 | 2.0 |
9,10 | 鶴見・武蔵小杉間 | 7.8 | 矢向・武蔵小杉間 | 4.9 | 2.9 | |
11,12 | 大阪市内 | 塚本・尼崎 | 4.3 | 加島・尼崎 | 2.2 | 2.1 |
(加美・久宝寺) | 1.7 | (新加美・久宝寺) | 1.6 | 0.1 |
左が他経路乗車区間、右が併用乗車券の券面区間である。短い距離の併用乗車券で、長距離の区間を乗車できる。とくに蒲田・武蔵小杉間は4.9キロ差で、運賃キロ帯が1ランク以上下がるケースもありうる。しかし、都区内着で南武線武蔵中原方面に行く場合、西大井経由のほうが時間的にも早いから、あまり需要がないだろう。また、3,4号に併記されている葛西臨海公園・西船橋間は、併用乗車券の小岩・西船橋間より0.2キロ短く、他経路乗車の意味がない。
大阪市内の拡大で155条に追加設定されるとすれば、新加美発着の久宝寺以遠の併用乗車券で、他経路乗車区間が加美・久宝寺間ということになろう。0.1キロの差しかないが、大阪駅から環状線・関西本線への直通列車が利用できる駅で、155条適用で運賃キロ帯が1ランク下がる駅があるかもしれない。紀勢本線から関西本線方面は、大阪市内着の乗車券と併用するよりも、目的の駅までの乗車券を購入したほうが安い。
12月28日の記事のコメントで、150条2項の新加美・久宝寺・加美間の区間外乗車は、旅客流動上設定されないという意見、別の特例にしてもよいという意見があった。紀勢本線から新加美までの場合は、たしかに単駅指定にしたほうが安上がりである。155条の適用区間のうち7、8号の大船駅は横浜市内から1駅だけ外れていて、*1、尼崎や久宝寺と同じ状況である。東京方面から大船で乗換えて本郷台に戻る需要はあるだろうから、150条2項に追加してもよいと思った。こうしてみると、12月28日の記事の追記2で「150条2項に規定されず、155条だけに規定されることはないと思う」と書いたが、「155条だけ」もありうるかもしれないと考え直した。
、