続・2017年春の旅規改定

1月28日の記事にコメントがあったように57条9項及び58条5項に「一部区間普通列車として運転する急行列車」が挿入され、特急券及び特別車両券の発売について「急行列車と普通列車とが直通して運転する列車」と同じ取扱いをする。
JR九州のダイヤ改正リリースによると、「いさぶろう」と「しんぺい」は特急列車化し、人吉・吉松間は普通列車として運転される。また、「かもめ104号」と「有明4号」が吉塚着となり、博多・吉塚間は普通列車として運転されるようだ。「にちりん」などは、これまで全区間急行列車として運転され、宮崎・宮崎空港間は「乗車券のみで普通車自由席に乗車できる」という取扱いだったが、宮崎・宮崎空港間を普通列車とすることになる。
「急行列車と普通列車とが直通して運転する列車」は、特急「すずらん」の東室蘭・室蘭間が列車番号が変わって普通列車となる例がある*1。しかしJR九州の特急列車は、全区間同一列車番号で運転される1個の列車である。料金券は列車ごとに発売するのが原則だから、57条9項の「1個の列車とみなして、1枚の急行券を発売することがある。」というのは、矛盾している。なお、58条5項は、「全区間に対して、1枚の特別車両券(A)を発売する。」となっている。この違いもよくわからない。
JR九州も、普通列車区間列車番号を変えれば、「一部区間普通列車として運転する急行列車」の規定は必要ない。なぜJR北海道の方法を取らないのだろう。
コメントの

宮崎駅に定刻に到着したとしても、宮崎空港駅に2時間以上遅延して到着した場合は、特急料金を全額払い戻すという意味なんですかね?

については、

(急行列車と普通列車とが直通運転する場合の急行料金)
第126条 第57条第9項の規定により急行券を発売する場合の急行料金は、急行列車の乗車区間に対する急行料金とする。

が新設され、特別車両料金についても、現行の130条3項に

3 第58条第5項の規定により特別車両券(A)を発売する場合の特別車両料金は、急行列車の特別車両の乗車区間に対する特別車両料金(A)とする。

と規定されている。普通列車区間は急行料金及び特別車両料金の対象外だから、282条の2の払いもどしはないということだろう。
今回の旅規改定では、ほかにJR九州の指定席特急料金が10円値上げされ、自由席特急料金との格差が520円に統一される。
追記1(2月8日):現行の特急「有明4号」は、時刻表によると列車番号が変わらず、まさに「一部区間普通列車として運転する急行列車」だった。「グリーン券は車内で販売します」と注記があり、「列車の編成ご案内」には「博多−吉塚普通列車で、1、5号車のグリーン車指定席はグリーン車自由席になります」とある*2。特急区間普通列車区間にまたがる乗車には1枚の特別車両券(A)が、博多・吉塚間だけの乗車には特別車両券(B)が発売されるのだろう。
一方、現行の「にちりん」などは、宮崎・宮崎空港間も特急列車で、「宮崎−南宮崎宮崎空港間の各駅相互間は、乗車券のみで特急の普通車自由席に乗車できます。」という、石勝線の新夕張新得間の各駅相互間と同じ取扱いである*3。グリーン券については、「有明4号」と同じく、宮崎・宮崎空港間のグリーン車指定席は自由席になるとの注記があるが、宮崎・宮崎空港間のみグリーン車に乗車する場合も、特別車両券(A)が必要なのだろう。
「急行列車と普通列車とが直通して運転する列車」の「すずらん」は、グリーン車が併結されず、「室蘭−東室蘭普通列車、全車自由席です」となっている。
追記2(2月10日):「宮崎〜宮崎空港間は従来から普通列車ではないか」とのコメントがあったが、JTB時刻表ではゴシック体、JR時刻表では赤字で表示されており、どちらも特急列車である。
JTB時刻表は、「宮崎−南宮崎宮崎空港間の各駅相互間は、乗車券のみで特急の普通車自由席に乗車できます。」に加えて、「宮崎空港発着の特急の指定席は宮崎以遠にまたがって利用の場合に発売します。」と注記している。JR時刻表も、「宮崎−田吉宮崎空港間の特急は、乗車券のみで普通車自由席に乗車できます。」である。
しかし、「にちりんシーガイア24号」の宮崎空港・宇島間をジョルダン乗換案内で検索したところ、コメントのように指定席特急料金は2,000円である。また、宮崎空港南宮崎間は特急のマークがついていない。一体どうなっているのか。
3月の旅規改定で新設される「一部区間普通列車として運転する急行列車」は、このような混乱した事態を収拾するためのものだろうが、JR時刻表2月号の3月4日改正ダイヤの特急列車を記載したページには、「特急列車は宮崎−宮崎空港間乗車券のみで普通車自由席にご乗車になれます。」の注記が残っており、旅規改定が反映されていない。JTB時刻表の「3月4日からの時刻表」には、なにも注記がない。
追記3(3月1日):コメントのあった「出雲3号」と「彗星」について、当時の時刻表で調べてみた。
「出雲3号」は1987年10月号(9.21訂補)で初めて、出雲市−知井宮間普通列車と記載された。列車番号は「出雲3号」が1003レ、普通列車区間が9233レと異なり、「急行列車と普通列車とが直通して運転する列車」であった。「香住−出雲市間は立席特急券で乗車できます」との注記はそれ以前から変わっていない。9233レには、「9月21日〜11月30日運転」と注記があったが、11月号(10.26訂補)では外れている。
9233レは、その前の9月号(8.25訂補)に「出雲3号」との関連付けなしに登場した。出雲運転区への回送時の客扱いは、このとき始まったと思われる*4。1988年3月13日のダイヤ改正で9233レの運転は終了し、「出雲3号」と接続する普通列車は、出雲市大田市間の257Dに代わった。
「彗星」は、都城発着から南宮崎に短縮された1年後の1996年4月号と廃止半年前の2005年3月号を確認したが、ともに「B寝台の別府−南宮崎間は立席特急券で乗車できます」で、全区間特急である。また、2005年3月号の注記「宮崎−南宮崎宮崎空港間の各駅相互間は、乗車券のみで特急の普通車自由席に乗車できます」に「【彗星】を除く」と記載されていた。

*1:2016年3月ダイヤ改正以前は、「スーパーカムイ」も札幌・新千歳空港間を快速「エアポート」として直通運転していた

*2:普通車指定席が自由席になるとは記載されていない

*3:どちらも、旅規及び基準規程に特例として規定されていない

*4:1988年3月以降も続いた「やくも」の一部列車の出雲市−知井宮間普通列車直通もこのときから