駅ナンバリング

近鉄駅ナンバリングの導入を発表した。けいはんな線だけは、直通運転する大阪市営地下鉄中央線からの連番で付番していたが、これを鉄道全線全駅に拡大する。関西大手私鉄の中で最後の実施である。関東大手私鉄はすべて実施しており、残るは名鉄西鉄だけになった。JRは、北海道と四国だけが実施している。
ナンバリングは一般に、記号部分と数字部分から構成される。記号は1または2字のアルファベットで、数字部分は起点駅*1を01(JR四国は00、大阪市は11)として、2桁で付番する例が多い。このほか数字だけで記号がない事業者や、記号部分も数字の事業者がある。近鉄のナンバリングは、記号部分がアルファベット1字、数字が01からの2けたである。路線(運転系統)別に、難波・奈良線がA、京都・橿原線がBとなる。A22からA25は欠番とし大和西大寺駅のナンバリングを奈良線A26、京都線B26とするなど、多くの線で欠番を設け、分岐駅の番号を一致させている。
全路線が同一の記号の事業者と、路線・系統別に記号を分ける事業者がある。関西の大手私鉄は、京阪(京阪線系統KH、大津線系統OT)を除き事業者ごとの記号であった。記号部分がアルファベット1字で、路線別に分けるのは、地下鉄に共通する付番法である。近鉄は、先行したけいはんな線のCを継承して、この付番法を採用した。アルファベット1字だから、同じ記号を複数の事業者がダブって使用することになる。近鉄道明寺線のNは、札幌市、仙台市東京メトロ京都市の各南北線大阪市長鶴見緑地線、福岡市七隈線の地下鉄6事業者と、地下鉄以外にJR北海道函館本線(東森支線)、長野電鉄JR四国鳴門線琴電長尾線と全11事業者が採用している。
近鉄に乗り入れている京都市大阪市がNを使用しているのだから、近鉄はこれを避けるべきだった。道明寺線道明寺駅長堀鶴見緑地線の心斎橋駅はともにN15であり、わずか20キロしか離れていない。天王寺大阪阿部野橋)で接続している御堂筋線の心斎橋駅と南大阪線道明寺駅は、それぞれM19とF15なので、紛れはないと判断したものか。なお、アルファベット2字でダブっているのは、北総鉄道阪神のHS、小田急多摩線と京阪大津線系統のOT、札幌市電西武多摩湖線のST、西武山口線山陽電鉄のSYの4例だけで、同じエリアにはない。
複数の事業者が共通の記号で連番とする例がある。小田急小田原線のOHは、箱根登山鉄道の鉄道線、鋼索線箱根ロープウェイ箱根観光船との共通連番である。大阪市営地下鉄は中央線と近鉄けいはんな線の連番のほか、御堂筋線(M)は北大阪急行千里中央駅からの、神戸市の西神・山手線(S)は北神急行谷上駅からの連番である。大阪市が11から付番するのは、1から10を他社の路線に残しておくためで、中央線のコスモスクエア駅がC10なのは、C11の大阪港駅まではOTSの路線だったなごりだろう。
全駅同一記号の事業者は、同じ駅に複数の番号が与えられることはない。路線・系統別の事業者は、複数の番号を付与する事業者と、複数付番を避ける事業者に分かれる。小田急は路線別に記号を分けるが、新百合ヶ丘と相模大野は、小田原線(OH)の番号だけで、多摩線(OT)は五月台から、江ノ島線(OE)は東林間から付番している。東武も分岐駅に複数の付番を行わないが、路線が交差する春日部駅だけは、スカイツリーライン系統(TS27)と野田線(TD10)のそれぞれの番号をもつ。これに対し東急は、分岐駅に二つの番号を付与するほか、東横線田園調布・日吉間には運転系統別に東横線(TY)と目黒線(MG)の両方の番号を与えている*2多摩川駅はこれに加え、東急多摩川線の番号をもつ。
一事業者の最多は東京メトロ大手町駅の4(M18、T09、C11、Z08)で、複数事業者の共通駅では渋谷駅の6(G01、Z01、F16、TY01、DT01、IN01)が最多だろう。
JR北海道は札幌を記号なしの01とし、運転系統別に札幌駅からの連番で付番する。留萌本線日高本線江差線と、根室本線武佐駅以東、札沼線石狩金沢駅以北、室蘭本線遠浅駅以北(追分は石勝線で付番)は付番されていない。室蘭本線北海道新幹線開業時に第三セクターに移管される江差線を除くと、7月3日の記事で書いた廃線候補リストに含まれている。2007年に導入したというが、偶然というわけではないだろう。

*1:必ずしも線路名称上の起点駅ではない

*2:田園調布が渋谷からも、目黒からも8駅目なので、TY08、MG08と数字部分が一致する