渋谷よりみチケット


マスメディアが報道していないので気が付かなかったが、東急は「アフター5に渋谷を楽しむための」と称して渋谷よりみチケットを6月26日から12月26日まで期間限定で発売している。発売対象は、東横線横浜・田園調布間と多摩川線各駅発着の目黒線田園調布・目黒間を経路に含むPASMO大人通勤定期券の所持者。1カ月500円で、渋谷から田園調布までの下り電車を何度でも乗車できるが、田園調布から渋谷までの上りの乗車や途中駅での乗降はできない。
自動改札は利用できず、渋谷駅の改札窓口に設置された利用端末に「渋谷よりみチケット」を投入、乗車日の印字を受け、PASMO定期券とともに係員に提示して入場。下車駅では、有人改札窓口で「渋谷よりみチケット」とPASMO定期券を提示して出場する。
7月3日、JR東日本の2013年度の駅別乗車人員ランキングが発表され、渋谷駅が19年連続でキープしていた3位から、東京駅、横浜駅に抜かれ5位に転落した。東京メトロ副都心線との相互直通運転によって、東急東横線が地下化され、地上駅のJRに乗り換える客が減ったことが原因とされている。直通運転の影響でJR東日本は年間二十数億円の減収になったとされる一方、副都心線池袋、新宿三丁目明治神宮前各駅の乗降客は大幅に増加、「渋谷の一人負け」といわれている。
「渋谷よりみチケット」は、拠点の渋谷の復権のために東急が打ち出した対抗策といえる。渋谷・田園調布間は200円(IC運賃は195円)だから、1か月500円という価格設定はかなりお買い得だ。しかし発売対象が限定的だ。田園都市線大井町線から目黒までの定期券保持者に対し同様なチケットがあってもよい(中央林間・二子玉川間から目黒は渋谷から二子玉川まで、上野毛・自由が丘間から目黒は渋谷から自由が丘までを利用可能に)。また、自動改札に対応しておらず使い勝手もあまりよくない。相互直通運転の「渋谷スルー」対策として効果があるだろうか。