「等級制からモノクラス制へ」掲載−本日のウェブ更新

別館「旅規ポータル」に「旅規の変遷を読む」シリーズの第一弾として、等級制からモノクラス制へを掲載した。久々の新作である。
本館「デスクトップ鉄のデータルーム」には、経路特定区間・大都市近郊区間等の変遷をたどったJR旅客制度特例の変遷がある。また別館には、1958年10月1日の旅規全面改訂から1987年4月1日の分割民営化にいたる、旅規条文の変遷について、官報に掲載された国鉄公示をもとに、旅規改訂履歴を掲載している。
今回のシリーズは、「旅規改訂履歴」の条文改訂内容を別フレームで参照しながら、旅客制度の変遷をたどろうというもの。本来なら1987年4月1日以降の改訂条文も参照したい。そのため分割民営化以降の旅規の変遷を追跡しているのだが、以下に記すように苦戦しており、公開にはほど遠い。「等級制からモノクラス制へ」は、かねてから準備していたテーマだが、5月16日の記事に書いた「初期グリーン制の矛盾」を追記して見切り発車することにした。
国鉄の旅規改定公示は鉄道公報(1958年10月以降は官報にも)に掲載されたが、民営化後はこのような公開資料がない。民営化後の旅規改定の公告は、鉄道公報に代わるJR各社の「社報」に掲載されているが、これは一般に公開されていない。一時JR西日本のウェブに旅規改定公告のPDFファイルが掲載されたが、2009年2月10日の公告を最後に掲載が途絶え、以前の公告も削除されてしまった。先日鉄道博物館のライブラリーで、東日本旅客鉄道社報の閲覧を申し込んだら、本社の許可がないと閲覧を認めていないと断られた。
民営化後刊行されたJR各社の冊子版旅規は、国会図書館に所蔵されており、大宮まで出かけて入場料を払うことなしに閲覧できる。これにあたって、新旧版間の条文の差異を見つけてゆくしかない。旅規の改定日と改定された条番号は、JR旅客営業制度のQ&Aの巻末に記載されている。新旧版の間にある条文が1度しか改定されていなければ、改定日と改定内容が特定できる。しかし、その間に同一条文に複数回の改定がある場合は、それができない。
たとえば、1999年2月15日現行の東日本版の次に発行された冊子版は、2002年1月1日現行の東日本版である。この間、第125条(急行料金)は5回改定されている。このようなときは、いつ、条項のどの部分が変わったのか、時刻表のピンクのページなどから、推定するしかない。第86条(特定都区市内)もこの間5回改定されているが、駅や路線の新設時期などから特定することができる。しかし、東北本線二枚橋駅が花巻空港に改称されたのは1988年3月なのに、これが第157条(選択乗車)に反映されたのは11年後の1999年2月15日現行版というようなこともあるから、それほど単純ではない。一番困るのは、旧版以降に一度改定され、その後新版の発行までに削除された条項である。これは、改訂公告がないとまったくお手上げである。
というわけで、JR版「旅規改訂履歴」の公開は、まったくめどが立っていない。