「JRの運賃計算ルールは複雑すぎる」の表11 急行料金体系の(2)にまとめている在来線特急料金の旅規・基準規程の規定の対応関係を改めて整理してみた。なお、基準規程の条項は2011年当時のものであり、変更になっている可能性がある。
発売規定 | 会社・区間・列車 | 種別 | 料金規定 | おトク*1 |
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規57条1号イロハ | 指・立・自 | 規125条1号ロ(イ)a,b | ||
規57条1号ニ(ロ) | 鳥取・出雲市間、米子・益田間(>101km) | 特定 | 規125条1号ロ(イ)c(a) | 〇 |
規57条1号ニ(ロ) | 盛岡・秋田間 | 特定 | 規125条1号ロ(イ)c(b) | |
規57条1号ニ(ハ) | 別に定める区間 | 特定 | ||
規57条の3,2項(基97条の2,1号?) | JR東日本・JR西日本・JR九州以外 | 指・立・自 | 規125条1号ロ(ロ)a(a,b) | |
特定 | 規125条1号ロ(ロ)a(c) | |||
JR東日本(あずさ・ひたち等以外) | 指・立・自 | 規125条1号ロ(ハ)a(a,b) | ||
JR東日本(あずさ・ひたち等) | 指(事前) | 規125条1号ロ(ハ)b(a) | ||
指(車内) | 規125条1号ロ(ハ)b(b) | |||
JR西日本 | 指・立・自 | 規125条1号ロ(ニ)a(b),b(a) | 〇*2 | |
特定 | 規125条1号ロ(ニ)b(b) | |||
JR九州(あそぼーい!・かわせみやませみ以外) | 指・立・自 | 規125条1号ロ(ホ)a(a,b) | ||
JR九州(あそぼーい!・かわせみやませみ) | 指定席 | 規125条1号ロ(ホ)b | ||
基97条の2,2号 | 岡山・児島、宇多津、丸亀間(<=50km) | 指・立・自 | 基129条の2,1号 | 〇 |
基97条の2,3号 | JR四国(<=50km) | 指 | 基129条の2,2号アイ | 〇 |
基97条の2,4号ア | 名古屋・亀山・新宮間、富士・甲府間、豊橋・辰野間、岐阜・猪谷間、多治見・塩尻間(<=50km) | 立・自 | 基129条の2、3号ア | 〇 |
基97条の2,4号イ | 松田・御殿場間(<=30km) | 指・立・自 | 基129条の2,3号イ(ア)(イ) | 〇 |
基97条の2,4号ウ | 三島・静岡間、静岡・浜松間、豊橋・名古屋間(>51km) | 立・自 | 基129条の2,3号ウ | |
基97条の2,5号 | 博多・博多南間 | 指・自 | 基129条の2,4号 | 〇 |
基97条の2,6号 | 越後湯沢・ガーラ湯沢間 | 指・自 | 基129条の2,5号 | 〇 |
規57条の2,4項 | 新在直通区間 | 指・立・自 | 基129条の2,6号アイ | |
基97条の2,7号 | JR北海道(>=150km) | 指・立・自 | 基129条の2,7号アイ | |
- | 門司港/下曽根・博多間、吉松/霧島神宮・鹿児島中央/宮崎・南郷間(>26km) | 指・立・自 | 基129条の2,2項1号アイ | 〇 |
- | 博多・直方間(>26km) | 指・立・自 | 基129条の2,2項2号アイ | 〇 |
- | 国分・鹿児島中央間、霧島神宮・重富間、吉松・隼人間 | 指・立・自 | 基129条の2,2項3号アイ | 〇 |
- | 東武鉄道直通 | 指 | 基129条の2,5項 | 〇 |
- | 「成田エクスプレス」渋谷・千葉間 | 指 | 基129条の2,6項 | 〇 |
- | 「スーパービュー踊り子」東京/池袋・伊東間(101~150km) | - | 〇 |
発売規定と料金規定の対応が取れていない。ともに旅規に規定されているのは、旅規57条1号と125条1号ロ(イ)のいわゆる「A特急料金」だけである。旅規57条の3、2項の「特定の特別急行料金」は、旅規125条1号ロの(ロ)から(ホ)までの特急料金が対応しているが、「特定の特別急行料金で特別急行券を発売する区間」は、基準規程97条の2に委ねられていて、その対応関係は旅規に規定されていない。規程97条の2、1号の「B特急料金」区間がこれに対応していたと思われるが、運転区間がB特急区間外に及ぶ「ひたち」・「あずさ」の特急料金が旅規125条1号ロ(ハ)bに規定され、この関係がわからなくなった。
旅規57条の3第4項の新在直通区間の「別に定める」特急料金と基準規程97条の2第2号以下の区間の特急料金は、規程129条の2に定められている*3。基準規程97条の2に発売規定がないJR九州の一部区間については、129条の2に料金規定が旅規125条1号ロ(ホ)の例外として定められている。また東武直通と成田エクスプレスの千葉・渋谷間も、発売規定なしに料金のみ規定されている。「スーパービュー踊り子」の東京または池袋・伊東間の特急料金は、「おトクな特急料金」に記載されているが、旅規にも基準規程にも規定されていない。
旅規125条1号ロ(ロ)a(c)、125条1号ロ(ロ)a(c)及び125条1号ロ(ニ)b(b)に、1,320円の特定特急料金が規定されている。57条1号ニ(ロ)の鳥取・出雲市間、米子・益田間は、A特急料金の125条1号ロ(ロ)a(c)だけに規定すればよいはずだ。57条の3、2項にも「別に定める区間」の特定特急券を発売するとあるが、基準規程に97条の2規定されていない特定特急券の発売区間があって、125条1号ロ(ロ)a(c)及び125条1号ロ(ニ)b(b)に定めているのだろうか。それでも、同じ1,320円というのは変だ。
本日「JRの運賃計算ルールは複雑すぎる」の表11(2)を再更新し、成田エクスプレスの立席特急券の削除や条項の記載漏れの追加などを行った。
追記(11月27日):問題なのは、どの列車にどの料金表が適用されるか、旅規ではわからないことである。コメント頂いたように通達で規定されるものがあると、基準規程が公開されていてもわからないことになる。「成田エクスプレス」・「スーパービュー踊り子」のA特急料金適用も、根拠規定が見当たらない。