今週発売の「AERA」にデスクトップ鉄が登場した。キラキラ駅名反対の声、京急に届いた?の後段、猛反発生んだ「高輪ゲートウェイ」 駅名で見習うべきはJR西?の次の2箇所。
駅名改称の歴史に詳しい鉄道ブロガーのデスクトップ鉄さんは、JR東日本の近年の新駅命名法からはある程度予想できたと言う。
「高輪という地名とグローバルゲートウェイ品川という再開発エリアのコンセプト名をつなげたもので、『越谷レイクタウン』の先例があります」
(中略)
駅名に宣伝効果を持ち込むJR東。それに対し、前出のデスクトップ鉄さんが評価するのはJR西日本の手法だ。既設の私鉄駅がある場所に後から開業した場合、駅名に「JR」を冠しており、「JR藤森」(京阪本線藤森駅)などがある。
デスクトップ鉄の発言に間違いはないが、いったことのすべてが書かれているわけではないので、高輪ゲートウェイとJR西日本とがつながらない。二つの発言のつながりは次のとおり。
- 応募数1位の高輪を採用しなかったのは、地下鉄の高輪台や白金高輪との混同を避けるためだろう(1872年の鉄道開業時に高輪に所在する駅を品川とせず、高輪と命名しておけば、新高輪や北高輪でもよかった*1)。
- 既設の最寄駅で応募4位の泉岳寺を使ったJR泉岳寺は、JR東日本としては採用したくないのだろう。
- 私鉄の既設駅名にJRを冠すJR西日本の命名法は、JRも一鉄道事業者という自覚がみられ、好感がもてる(鉄道省時代の1927年、国鉄松山駅開業によって伊予鉄道の松山駅が松山市駅に改称させられた例などがある)。
AERAの記者は、記事のタイトルにあるように、京急がキラキラ駅名を採用しなかったことを評価したようだ。記者には、キラキラ駅名の代表例として、2017年3月のえちぜん鉄道の市内4駅の改称を伝えた。太郎丸を太郎丸エンゼルランド、西春江を西春江ハートピア、西長田を西長田ゆりの里と施設名をつけ、下兵庫を「興福(こうふく)寺とのゆかりと、幸福(こうふく)度1位の福井県をかけあわせ」た語呂合わせで下兵庫こうふく駅としたもの。(2017年3月25日記事参照)。
しかし朝日新聞の2月1日付記事(耕論)駅名もキラキラ?では、えちぜん鉄道4駅の改称を主導した福井県坂井市シティセールス推進課長が登場し、4駅はキラキラネームではないといっている。
ただ、役所の宣伝ではないので、住民の皆さんが駅名に愛着を感じることが大切だと私は思います。市が考えた新駅名は地域と無関係のキラキラネームではなく、住民が大事にしている施設や公園の名が入っています。誇りや愛着には形がない。駅名という見える形にして、実感してもらいたかったのです。
改名を「自分事」に感じてもらうため、構想段階から地域と話し合いも重ねました。駅名は街のイメージとなり、沿線の発展にも影響する。鉄道会社のものであり、沿線住民のものでもあるのです。昭和初期の地名で住民に親しまれてきた旧駅名と合わせることにしました。住民、鉄道会社、行政、沿線企業にとり「四方良し」となった駅名変更に、反対は出ませんでした。
新旧の言葉がまざった「高輪ゲートウェイ」もうちと近いかもしれません。(後略)
駅名は基本的に地名とすべきである。施設名をつけて旧駅名が残ればよいというものではない。施設は同じ場所に永久に存在するものではなく、名称も頻繁に変わる*2。とくに下兵庫こうふくは、キラキラ駅名としかいいようがない。
えちぜん鉄道の施設名駅と高輪ゲートウェイの違いは、ゲートウェイは施設名ではなく、開発コンセプト名であること。行川アイランドやスペースワールドのような事態にはならないだろう。