かじきさんからコメントをいただき、ラッチ内で乗継可能な接続駅におけるラッチ外乗継が途中下車に該当するか、各社の規則を読み直してみた。どうも私の読み方が足りなかったようで、途中下車に該当するようである。
JRの旅客連絡運輸規則第76条において、途中下車は次のように規定されている*1。
旅客は、旅行開始後、その所持する乗車券によつて、その券面に表示された発着区間内の着駅(旅客運賃が同額のため2駅以上を共通の着駅とした乗車券については、最終着駅)以外の駅に下車して出場した後、再び列車等に乗り継いで旅行すること(以下「途中下車」という。)ができる。ただし、次の各号に定める駅(連絡接続駅を除く。)においては、途中下車をすることができない。
「次の各号」は、旅規156条と同様、100キロ以内、特定都区市内・山手線内発着、大都市近郊区間とこの区間に接続する連絡会社線との相互発着などの例外を規定している。
上記条文に「連絡接続駅を除く」の文言があることから、連絡乗車券の場合、接続駅で下車して出場することも途中下車とみなしているようだ。JRと連絡会社線の乗継割引は、連絡運輸規則第22条に
旅客が旅客会社線と連絡会社線との特定の区間に乗継いで乗車する場合は、別に定めるところにより乗継ぎの割引普通乗車券を発売することがある。
と規定されている*2。乗継割引が適用される乗車券で、接続駅での途中下車を禁止する規定はないので、第76条が適用され、かじきさんのコメントにあるように、連絡接続駅では途中下車が可能と解釈できる。
一方、SUICA約款では、
(複数の鉄道会社線を乗継ぐ場合のSuica乗車券の効力)
第55条 接続駅において改札を受けることなく乗継いで乗車する場合は、片道乗車1回に限ります。ただし、ICカード乗車券を使用できない区間及び鉄道会社線をまたがって乗車することはできません。
2. 途中下車の取扱いはしません。
3. 入場後は、当日に限り有効とします。
と規定され、途中下車の定義が連絡運輸規則どおりとすると、接続駅でも途中下車できず、途中下車したときは乗継割引が適用されない。したがって、JRから他社への乗継における、接続駅でのラッチ外乗継は、紙の乗車券とSuica使用の場合とで取扱が異なることになる。
PASMO約款でも、かじきさんのコメントどおり、第15条第3号に「ICカードで途中下車の取扱いはしない」と規定されているので、ラッチ外乗継が可能な駅でのラッチ外乗継は、途中下車となり、乗継割引が適用されない。紙の乗車券については、都営地下鉄の連絡運輸規程に途中下車を禁止する規定はないが、旅客営業規程第56条の「途中下車前途無効」の規定が準用されるようだから*3、ラッチ外乗継は途中下車とみなされ、できないことになる。東京メトロの旅客営業規則、連絡運輸規則にあたっていないので、取扱はわからないが、営団時代の旅客営業規則第156条に途中下車の禁止規定があったから、おそらく同様の扱いだろう。
したがって、IC乗車券による白金高輪駅でのラッチ外乗継に乗継割引を適用しなかったこと及び紙の乗車券でラッチ外乗継を認めなかったことは、規則にしたがった取扱ということになる。というわけで、メトロ都営全ラッチ外接続駅全制覇260円最長ルートの2008年6月最長ルートは、名実ともに西葛西−押上−築地市場であることが判明した。この間違いを解明できたのは、実際に乗車されブログで報告されたかめどんさん及びコメントをいただいた西武沿線さんとかじきさんのおかげである。ありがとうございました。
ところで、かじきさんのコメントのうち
東京都地下高速電車旅客営業規程では第56条で「途中下車前途無効」を宣言しているだけで、東日本橋/馬喰横山・蔵前で乗り換えのための出場は可能となる直接的な根拠も良く分かりませんね。すぐ次の第56条の2で間接的には言及されていますが。
については、これらのラッチ外乗換駅での自社路線間の乗換は、ラッチ内乗継ができない接続駅におけるラッチ外乗継と同様、途中下車ではないと考える。途中下車とは、旅客の意思によりいったん駅から出場したあと、旅行を再開することである。駅の構造上出場を余儀なくされる場合は、途中下車には該当しない。したがって、都営地下鉄の旅客営業規程も、前回引用した大阪・神戸の各地下鉄の規則も、ラッチ外乗換を途中下車(途中下車禁止の例外)として扱っていない*4。