JR東日本旅規改訂履歴追加更新

3月17日の記事にコメントがあったように、JR九州から3月15日付及び3月26日付の旅規改正公告が掲載された。これにもとづき、JR東日本旅規改訂履歴(条項順)・(日付順)に183条(3月17日施行)及び290条(4月1日施行)の改定を追加した。
JR東日本のページは相変わらず3月16日現在だが、3月17日改定の条項は183条を除き記載されている。乗車券類の様式から「平成」を削除しているが、183条2項「前項第3号及び第4号について、元号表示のものを西暦表示に、西暦表示のものを元号表示とすることがある。」は挿入されていない。しかしJR東海JR九州の公告にしたがって、4月1日の290条改定(大阪・新大阪間の運転取りやめの場合の特急料金等を全額払い戻しに変更)とともに採用することにした。JR西日本の約款は3月17日現行になっているが、183条は改定されていない。JR東日本JR西日本JR東海JR九州とで対応が分かれている。なおJR四国は2017年7月1日現行、JR北海道は2017年4月1日現行のままである*1
JR東日本は、2016年3月26日の85条1号の改定(JR北海道に係る加算運賃の規定に、北海道新幹線の開業によって生じた「幹線相互を乗車する場合」を追加)をいまだに記載していない*2

*1:JR北海道は2月15日付改正公告を掲載したが、JR九州の2月5日付公告から別表の改正を除いたもので、追加改正条項は記載されていない

*2:2016年3月30日の記事及び2017年3月4日の記事参照

続・2018年春の旅規改定

2月6日の記事JR九州の旅規改正公告を紹介した。JR東海のサイトをほぼ毎日チェックしていたが、新旧対比表がようやくウェブに掲載された。2月9日付となっている。JR北海道の旅規改正公告は、まだ掲載されていない。
JR九州の公告にある284条1項の無賃送還条項の改定がJR東海版には記載されていない。他社のウェブが更新されるまで、どちらが正しいかわからない。
一方、同日付の旅客連絡運輸規則の改定は、JR九州版で72条の2から削られていた富士急行が残っており、JR九州の公告はやはり誤りだったようだ。

国鉄連絡運輸規則(1970)

旅規ポータルのアーカイブ日本国有鉄道連絡運輸規則(1970年1月1日現行)を掲載した。旅客連絡運輸規則ではなく、荷物・貨物も含めた規則だが、所持している資料に荷物・貨物編の記載がないため、旅客編のみを掲載した。
等級制からモノクラス制になった1969年5月の旅規改定直後の規則で、特別車両・船室券が旧1等乗車券に限りなく近かった時代である。当時の別表(赤表紙)は所持していないが、本文中に記載されている連絡会社線には多くの地方私鉄やバス、航路が含まれており、おそらく連絡運輸の最盛期の規則と思われる。19条の100キロ以上の乗車船に学割の適用がある社線区間には、現行規則にもある東武近鉄以外に名鉄が、また東海自動車の自動車線と関西汽船など多くの航路が含まれていた。第7章の2(連絡急行券等の発売)も興味深い。
だいぶ前に2010年10月30日の記事で書いた、連絡運輸規則の選択乗車が55条(乗車区間の選択)と56条(接続駅の選択)に規定されている。国鉄近鉄の鶴橋接続の連絡乗車券で、上本町駅から乗車できたというのは、資料を入手するまで知らなかった。
37条(特定都区市内にある国鉄線の駅に接続する社線及びその接続駅)の小田急の接続駅に、「新宿、渋谷」とあるが、渋谷は間違いだろう。その他、「但し」と「ただし」など表記の乱れがあるが原文に忠実に記載したつもりである。

2018年春の旅規改定

例年は1月下旬に発表される春の旅規改定が遅れていたが、JR九州2月5日付公告を掲載した。JR北海道及び新旧対比表を掲載するJR東海は、まだ発表していない。
次の通り、軽微な改定にとどまっている。

ほかに、4年間訂正されなかった139条の4(乗継座席指定券に対する座席指定料金)の改定漏れが2014年3月に遡って改定される。57条の2(乗継急行券の発売)第1号の表を参照しているが、イとロだけになったのに、ハとニが残っていた。
連絡運輸規則の改定も、同日公告された。72条の2の連絡会社線との直通列車の座席指定料金の規定で、第1号のWILLER TRAINS(京都丹後鉄道)の座席指定料金が100円から200円に値上げされた。なぜか富士急行(200円)が消えている。ホリデー快速富士山号、快速山梨富士号などの直通列車は3月17日のダイヤ改正後も残る。条見出しと本文に「富士急行株式会社線」が含まれているが、こちらは変更がないようなので、単なるミスだろう。
連規にも改定漏れの遡及適用がある。昨年7月1日にJR北海道団体運賃の期間区分が他社と統一され、旅規111条が改定されたが、連規63条2号はもとのままだった。

旅規290条

読者からメールをもらった。JR西日本1月31日プレスリリースは、1月29日新大阪で運転取りやめになった特急サンダーバード4号について、指令員が特急料金を払い戻さないとしたのは誤りで、全額払い戻すとしているが、旅規290条に基づけば指令員の取り扱いは正当ではないかとの疑問である。
結論から言えば、本件に旅規290条は適用されず、289条2項の本則に従って全額払い戻しとなる。290条は「新大阪駅着となる急行券、特別車両券」で「大阪駅新大阪駅との区間が乗車できなくなった場合」は「すでに収受した急行料金又は特別車両料金とすでに乗車した区間に対する急行料金又は特別車両料金とを比較して過剰額の払いもどしをする」という規定であり、新大阪・大阪間で運転停止になったサンダーバード大阪駅着の特急券には適用されない。
旅規290条はもともと、東北本線常磐線にあった一部の東京駅着の急行列車が上野駅で打ち切りになったときに適用するため、1968年10月1日の旅規改定で規定された(当時の旅規290条5項として挿入)。大阪・新大阪間に旅規290条が適用されたのは、1970年3月10日の旅規改定時である。当時は、山陽本線の多くの急行列車が新幹線乗継のため、大阪経由新大阪まで運転されており、大阪まで正常に運転され、大阪・新大阪間が運行不能等になったケースに適用されたものである。その後新幹線の岡山・博多延伸開業及びブルートレインの全廃等により、新大阪発着の特急列車の多くが廃止され、現在290条の「新大阪着」が適用されるのは、新大阪発着の「こうのとり」と京都発着新大阪停車の「スーパーはくと」だけである*1
1973年4月1日の旅規改定で、本来の上野・東京間の特例が廃止*2、代わりに品川・東京間が規定され、現行の290条1項となった。民営化後、運転系統の変更にあわせて2、3項が追加され、2015年3月14日の上野・東京ライン開業により、4項としてもともとの東北本線の急行列車への適用が復活した。指令員が勘違いしたように、290条を大阪着の北陸本線特急に適用してもよいと思う。品川・東京間や上野・東京間と比べてバランスが取れていない。なぜ、現在まで旅規に規定されないのだろう。
上記の趣旨を読者にメールしたところ、読者からJR東日本「きっぷあれこれ」の事故などの場合の取り扱い

運転をとりやめた列車の特急・急行料金は全額お返しいたします。ただし、品川〜東京間(東海道新幹線を含む)、上野〜東京・品川間、大阪〜新大阪間及び東北、上越北陸新幹線の大宮〜上野・東京間または上野〜東京間のみ運転をとりやめた場合は、特急・急行料金の差額のみのお返しとなります。

と書かれている(下線筆者)ので、誤解していたと返事があった。JR西日本の説明も全く同じである。JR西日本の指令員が誤った案内をしたのも、情状酌量の余地がある。
追記(2月4日):混乱があるようなので、あらためて290条の差額払い戻しの適用範囲を整理する。

路線 下車駅 不乗区間
1項 東海道本線(含む新幹線) 新橋、東京 品川・東京間
1項 東海道本線 新大阪 大阪・新大阪間
2項 東北・上越新幹線 上野、東京 大宮・上野、上野・東京間
3項 東海道本線・山手線 品川・池袋間各駅 品川・池袋間
4項 東北本線東海道本線 上野・品川間各駅 上野・品川間

いずれも一方向のみの適用である。双方向であれば、サンダーバードにも適用されることになる。東京駅で下車する(東京駅までの特急券を所持する)成田エクスプレスの旅客はいないと思うが、品川で打ち切られば、1項を適用して差額の払い戻しとなる。
本文で「品川・東京間や上野・東京間と比べてバランスが取れていない」と書いたのは、1項の品川・東京間と2項の上野・東京間を意識していた。
3項は、池袋・新宿着のスーパービュー踊り子・踊り子で品川駅を経由しないが、ここでも仮想品川駅が想定されている。

*1:上りの「サンライズ瀬戸・出雲」は大阪に停車するが、新大阪に停車しない

*2:東北新幹線建設工事の開始に伴い、東京・上野間の回送線が使用できず、東北本線の特急列車が東京駅を発着することがなくなったたため

タッチでGo!新幹線

JR東日本ICカード乗車券で新幹線自由席が乗車できるタッチでGo!新幹線の詳細を発表した(1月25日付リリース)。
サービスエリアはSuica首都圏エリアに相当する、東北新幹線那須塩原上越新幹線上毛高原北陸新幹線安中榛名までの区間東海道・山陽新幹線のスマートEXは登録したクレジットカードで決済するが、「タッチでGo!新幹線」はICカード乗車券のSFから減額する。
4月1日のサービス開始から「当分の間」は、新幹線の運賃と自由席特急料金の合計額から最大240円を割引く*1。しかし、在来線を乗り継ぐ場合は在来線区間IC運賃を別途減額し、東京山手線発着の運賃も適用されない。そのため、

在来線を含むご利用区間によっては、「タッチでGo!新幹線」ご利用のお値段が「タッチでGo!新幹線」を利用しない場合の精算額よりも高額になる場合があります。

と注記している。むしろ、窓口での乗車券類購入が不要になる利便性を売り込んでいる*2
「タッチでGo!新幹線」のサービス開始に伴い、新幹線自由席回数券の発売が2018年12月22日で終了する*3。東京(山手線内)・小山間の新幹線自由席回数券の1枚当たり2,980円に対し、「タッチでGo!新幹線」で渋谷・小山間を乗車すると、東京乗換3,694円(194円+3,500円)、上野乗換3,284円(194円+3,090円)。2015年3月の常磐線の座席未指定券導入時にひたち回数券、フレッシュひたち料金回数券及び定期券用月間料金券が廃止されたのと同様の措置で、リピーターにとっては痛い。

*1:大宮・小山間や上野・熊谷間など無割引の区間もある

*2:初回のみ事前の利用登録手続きが必要

*3:旅規第41条の2の急行回数券は1992年9月25日の改定で廃止されたが、特別企画券として発売されている

東急の12か月間定期券

東急は、3月17日から有効期間が12か月の定期券を発売する、鉄軌道旅客運賃の設定認可申請を行った(1月9日付リリース)。「定期券の多発期を分散させることにより定期券売り場などの混雑を緩和するとともに、購入回数の減少によるお客さまの利便性向上を図る」ことを目的としている。
運賃は1か月定期券の1割引で、現行の6か月定期券の割引率と変わらない。ただし、どちらも10円未満の端数を切り上げるので、6か月定期運賃の2倍額より10円安くなるキロ帯がある。
他社に先駆けての発売なので、連絡定期券は発売せず、利便性は疑問である。PASMO協議会などで、連絡運輸各社と調整できなかったのだろうか。
追記(2月3日):コメントがあった国鉄の12か月定期について、旅規を調べてみた。1966(昭和41)年3月5日の改定*1で、第35条(通勤定期乗車券の発売)に第2項が挿入され、

2 前項の規定によるほか、6箇月の通勤定期乗車券を継続して同時に購求する旅客に対しては、これを2倍して通用期間を12箇月とした1枚の通勤定期乗車券を発売することがある。

と規定された。別表第1号の2イの2(鉄道の大人通勤定期旅客運賃(2等))に12箇月定期の運賃は記載されておらず、「これを2倍して」は運賃を意味していると思われる。
コメントのとおり、1968年4月1日の旅規改定で第35条2項は削除されている。

*1:この日の改定で、普通定期券が廃止され、通勤定期券に一本化された