共用駅

11月24日の記事都道府県別無人駅比率国土交通省都道府県別駅数と筆者が事業者別に集計している駅数に差があると書いた。差異を確認するために事業者の共用駅を調べたが、このブログに記載するのは表が見にくくなるので、データルームに共用駅として掲載した。

共用駅としたのは、JR2社共用駅、ノーラッチ直通駅及びラッチ共用駅。大月のような直通する列車がある別ラッチ駅を除外したこの3種類で北海道、埼玉県、神奈川県、愛知県、大阪府など27府県の駅数の差が説明できた。しかし、東京都が差13に対し21、三重県が10に対し12と超過した都県がある一方、栃木県が5に対し1、富山県が6に対し3など足りない県もある。このため参考として別ラッチ直通駅と紛らわしい別ラッチ駅を記載した。

国土交通省の駅総数よりも事業者別の駅数のほうが多い県の謎は、解決していない。広島県が4多いのは、3駅ある新幹線と在来線の共通駅を別計上しているのかもしれないと考えたが、ほかの県のつじつまが合わなくなる。筆者の集計に漏れや間違いがあると思うので、気が付かれた方はコメント頂ければ幸いである。

なお、前記事のコメントにあった大船渡線気仙沼線のBRT区間については、BRT化以前の鉄道駅のみを計上し、BRTの新設駅を含んでいない。大船渡線は12駅、気仙沼線は5駅のBRT新設駅があり、これらを含むと岩手県宮城県の駅数の差はさらに大きくなる。

阿佐海岸鉄道に対する阿波海南・海部間の移管をRailway NewsRailways of Japanに記載、大井川鐡道五和駅の合格駅への改称を駅名改称の研究駅名改称1987-2020に記載し、それぞれ更新した。

追記(11月29日):コメントを受けて表を加筆訂正した。

ラッチ共用駅に追加したのは、指摘を受けた宮古、銚子、八丁畷、厚木、弥富と新たに見つけた今泉、御坊。なお、八丁畷と厚木は、中間駅であり、国土交通省の統計でも別駅として扱っていると思う。ラッチ共用駅から外したのは、盛岡と近鉄四日市。コメントに書いたように近鉄四日市とあすなろう四日市は共用だと誤解していた。移管日に撮影したあすなろう四日市駅の写真があったのに(Railway NewsのApril 1, 2015の項参照)。桑名(養老鉄道)も外した。なお8月30日から桑名駅は3社とも別ラッチになったよう(トラベル Watch)。

事業者ごとにラッチがある十日町、大和は採用しなかった。いずれも中間ラッチを通って相手方のラッチから入出場できるが、この形態の駅はメトロと都営の接続駅、市ケ谷門前仲町青山一丁目なども同様。赤湯も中間ラッチはないが同様の形態として別ラッチ駅に追加した。

印旛日本医大も採用しなかった。京成は成田空港線北総鉄道共用区間の第2種事業者となっているが、乗車券の発売を行なわない実体のない第2種事業者である*1。事実上京王による北総線への乗り入れであり、筆者の事業者別集計では京成の駅として計上していない*2

追記2(11月30日):さらにコメントを受けて表を再訂正し、更新した。新幹線と在来線が別事業者の駅は、2社の新幹線が直通している駅を除き、別駅とした。JR側と近鉄側に個別にラッチがあるを共用ラッチ駅から外した。

あらためてこの記事の趣旨を確認しておきたい。国土交通省都道府県ごとの駅総数と筆者が集計した事業者ごとの駅数が異なるのは、複数事業者の共用駅を同一駅とカウントしているためである。どのタイプの共用駅を同一駅としているかを判定するため、共用駅を拾い上げたものである。したがって、同一事業者の別ラッチ駅(浜川崎、メトロ池袋など)は検討の対象外。

ただし、同一事業者の新幹線と在来線の併設駅や輸送モードの異なる路線の同名駅(例えば東京都荒川線と日暮里・舎人ライナー熊野前東急田園都市線世田谷線三軒茶屋伊予鉄道高浜線城北線*3の古町など)は、筆者の集計では二重計上していないが、国土交通省は別カウントしている可能性がある。差が拡大する方向ではあるが。

ラッチ共用駅と別ラッチ駅の定義を明確にしていなかったので、一部で混乱を招いたかもしれない。ラッチ共用駅は、複数社の旅客がいずれかの会社が管理する1箇所のラッチから入出場する駅(上総中野などラッチのない駅を含む)。中間ラッチまたは簡易ICカード乗車券読み取り機設置の有無を問わない(中間ラッチ等あり:厚木、清音など、なし:今泉、桐生など)。別ラッチ駅は、会社ごとにラッチがある駅。中間ラッチの有無を問わず構内を共用している駅及び直通列車がある駅を含む(中間ラッチなし:釜石、赤湯など、あり:大和、青山一丁目門前仲町十日町、清音など、直通:大月、三島、福知山など)。

都道府県別の再集計は次のとおり。なお京都府は、筆者の集計が間違っていた。指摘を受けて確認したところ253駅だった。

都道府県 駅総数 事業者別 差再計 共用計 JR境界 直通 ラッチ共用
北海道 512 513 1 0 1 0 1 0
青森県 154 160 6 1 5 1 2 2
岩手県 180 181 1 -1 2 0 1 1
宮城県 175 176 1 -1 2 0 2 0
秋田県 147 147 0 0 0 0 0 0
山形県 122 122 0 -1 1 0 0 1
福島県 189 191 2 -1 3 0 2 1
茨城県 133 138 5 0 5 0 1 4
栃木県 113 118 5 4 1 0 1 0
群馬県 140 139 -1 -4 3 0 0 3
埼玉県 237 241 4 0 4 0 1 3
千葉県 353 359 6 0 6 0 3 3
東京都 761 774 13 -6 19 0 15 4
神奈川県 381 387 6 0 6 1 3 2
新潟県 200 206 6 -1 7 1 5 1
富山県 192 198 6 3 3 1 0 2
石川県 72 77 5 0 5 0 5 0
福井県 133 130 -3 -4 1 0 1 0
山梨県 73 74 1 0 1 1 0 0
長野県 258 267 9 1 8 3 3 2
岐阜県 188 189 1 0 1 0 0 1
静岡県 224 226 2 -1 3 1 1 1
愛知県 496 503 7 -1 8 0 4 4
三重県 230 240 10 1 9 1 2 6
滋賀県 125 126 1 -1 2 1 0 1
京都府 251 253 2 0 2 0 2 0
大阪府 518 525 7 -1 8 1 5 2
兵庫県 383 391 8 -2 10 0 3 7
奈良県 130 131 1 0 1 0 0 1
和歌山県 123 125 2 -1 3 1 0 2
鳥取県 75 75 0 -1 1 0 1 0
島根県 93 94 1 1 0 0 0 0
岡山県 165 166 1 0 1 1 1 1
広島県 252 248 -4 -4 0 0 0 0
山口県 152 154 2 0 2 1 1 0
徳島県 76 77 1 0 1 0 0 1
香川県 102 102 0 0 0 0 0 0
愛媛県 146 146 0 0 0 0 0 0
高知県 170 173 3 0 3 0 3 0
福岡県 358 360 2 -1 3 1 1 1
佐賀県 79 81 2 0 2 0 0 2
長崎県 137 138 1 0 1 0 1 0
熊本県 161 161 0 0 0 0 0 0
大分県 87 87 0 0 0 0 0 0
宮崎県 76 76 0 0 0 0 0 0
鹿児島県 124 124 0 0 0 0 0 0
沖縄県 19 19 0 0 0 0 0 0
合計 9465 9588 123 -21 144 16 70 58

国土交通省の駅総数に共用駅を加えることにより、差は123から-21に縮小した。差がマイナスになったということは、3種類に限定しても共用駅数が多いということである。しかし、県ごとにプラスマイナスまちまちである。東京都は、東京、品川をJR東日本JR東海の駅に分けて外しても、6駅オーバーしている。逆に富山県高知県、福岡県は3駅足りない。

広島県の駅数があわないのは、広電市内線の駅ナンバーを2個もつ4停留所ではないかとのコメントがあった。しかし、伊予鉄道市内線、長崎電軌、鹿児島市電などにも、2個のナンバーをもつ停留所があり、この3県は差が0になっている。わたらせ渓谷鐡道の駅の所属を間違えて栃木県と群馬県が併せて0になっているというコメントは、そのとおりかもしれない。

別件だが、2020年度鉄道要覧により、昨年10月の島原鉄道の駅名改称の副駅名が正式のものでないことが判明したので、副駅名をつけただけの3駅(諫早本諫早、吾妻)を削除し、駅名改称の研究駅名改称1987-2020を更新した。

追記3(12月1日):コメントがあったように、ラッチを共用しているかだけで、共用駅かどうかを判定するのは無理があった。コメントがあった駅のうち、槻木、清音を変更し、表を改訂した。また追記2の県別表の宮城県岡山県を訂正した。これで一区切りとしようと思います。ご協力に感謝します。
槻木:構内図によると東口と西口があるが、Wikipediaに「阿武急はJR改札内に発着する」とあり、東西ともJRのラッチのよう。ノーラッチ直通に追加。
北千住:東側から東武つくばエクスプレス、JR、メトロ(千代田線)と各社のラッチが並んでいる。JRホームから千代田線、東武線・日比谷線構内とつながっている(中間ラッチなし)が、各社別のラッチがあるので別ラッチ。メトロ日比谷線東武ラッチを共用しておりノーラッチ直通と判定した。しかし、千代田線のラッチでも入出場でき微妙だが、もとのままとした。
上郡:構内図によると、智頭急行の駅舎は記載されているが、ラッチはなく、専用こ線橋で本屋のJR駅につながっているだけのよう。ノーラッチ直通のままとした。
桑名:3月時点の構内図がないので確認できないが、数はあうとのコメントもありこのままにしておく。
佐用JRおでかけネットに構内図がないので不明だが、コメントの現地確認情報により、別ラッチとする。
清音:構内図によると井原鉄道改札口があり、別ラッチ直通に変更。

 

*1:京成が実質を書いた第2種事業者であることは、北総運賃訴訟の一連の記事で書いている。続・北総線運賃訴訟東京地裁判決など

*2:印旛日本医大を含めると、東松戸などアクセス特急停車駅も含める必要がある

*3:法的には軌道ではなく鉄だが市内線の路面電車