「JR旅客制度特例の変遷」更新

3月26日の新線・新駅開業等に伴う制度変更として、小田栄駅関連の特定分岐区間の表記変更、分岐駅通過列車及び折り返し列車からの五稜郭・函館間と中小国・蟹田間の削除があった。基準規程の改定は公開されていないが、時刻表のピンクのページに記載されている。これによりJR旅客制度特例の変遷を更新した。
時刻表記載の折返し列車は、実際に運転されている列車に限っている。したがって、2011年当時の基準規程152条に掲載されていた、南千歳・新千歳空港間、羽前千歳・山形間、日暮里・上野間、金山・名古屋間、備中神代・新見間、宇多津・高松間が記載されていない。これらが基準規程から削除されたかどうかは不明である。
なお、小田栄駅についてはブログ「叩け!マルス」の5月3日記事によると、基準規程に第110条の2(営業キロを定めていない区間の旅客運賃・料金の計算方の特例)が新設され、「規則第71条第1項第1号ただし書の規定は、小田栄駅八丁畷以遠(尻手方面)の各駅相互間の旅客運賃・料金を計算する場合に適用する。」と規定されたようだ。
追記(5月17日):小田栄駅発着の運賃を川崎新町駅発着で計算する特例は、旅規71条の特例として、基準規程110条の2に定められた。旅規71条は「営業キロを定めていない区間」についての運賃計算の規定であるが、小田栄駅は正式な駅であり、隣接駅間に営業キロが定められている。運賃計算の根拠規定として71条を適用したことが、旅規の規定の不統一の原因といえる。
むしろ、86条の特定都区市内や89条の北新地駅発着のように、エリア内の中心駅からの営業キロで運賃を計算する特例の一種と考えたほうがすっきりする。これらの条項は、旅客にとっての便宜というよりは、むしろ運賃計算の簡素化、常備乗車券の節減などの事業者側の合理化への要請から、生まれた制度である。
「叩け!マルス」の筆者は、「運賃改定時までの間、運賃表、券売機、ICカード乗車券システム等への改修費用を抑制することが主な目的と見る向きもある」と書いている。旅客業務のIT化によって86条などによる合理化の意味は薄れたが、マルスの進化やICカードの登場などIT化に対応した合理化の手段として、川崎新町駅発着で運賃を計算する特例が誕生したといえる。